「世界⼀戦術的なクラブ」はfootballを変えるのか?/Insight #8 イベントレポート
「史上最も戦術的なクラブ」をテーマとし、ソシオ制やオンラインを中心とした運営など様々な取り組みに挑戦している新しいサッカークラブGOAT FC。GOAT FCのユニークな試みは、footballにどのような変化をもたらすでしょうか。
<登壇者紹介>
ゲスト GOAT氏
ゲストコメンテーター 續木智彦氏
西南学院大学サッカー部監督
司会進行 和田タスク
前FC町田ゼルビアスタジアムDJ
YouTubeの戦術的サッカーチャンネル「GOAT football tactics」から生まれた、新しいサッカークラブGOAT FC
タスク:第8回目ゲストはGOATさんです。よろしくお願いします。まずはGOATさんについて掘り下げていきたいなと思うんですけど、何をされてるんでしょうか?
GOAT:2020年YouTubeでサッカー戦術の重要性を知ってもらうために活動し、今はGOAT FCというチームを作って、戦術的なサッカーを目指し戦っています。
タスク:なぜこの戦術的サッカーチャンネル「GOAT football tactics」を始めようと思ったのでしょうか?
GOAT:子供のときからサッカーが好きで、ただプレーするのは小学校の時点でやめちゃったんです。子供のときからディフェンスラインを上げ下げするのにこだわってて、「サイドバックのラインが整わない」とか試合中に選手に伝えたりしてたんですけど、上手くもないし、みんな言うこと聞いてくれない。だめだなということでやめたんです。
だけど、サッカーに対する情熱は捨てきれずに育っていって。
いろいろな仕事をした結果一番好きなことをやるべきだと、チャンネル開設にたどりつきました。
タスク:戦術的なところはどうやって学んでいったんですか?
GOAT:20代にペップ・バルサの試合を見て、とんでもない強さと論理性があったんで、やっぱ戦術って強いんだなと。
戦術の重要性が証明されたというか、もう当時は1日に3試合、4試合見てましたね。
それを全部ノートに書き溜めて、なぜ点が入ってなぜ負けたり勝ったりするかの理由を偶然とか、運っていう言葉を使わずに、全部戦術に紐づけて解明してたんです。それが今の礎になってるかなと思います。
サッカーの正解がわかっちゃったんですよね。
タスク:なぜ実際にリアルなチームを作ろうと思ったのでしょうか?きっかけは何だったんでしょうか?
GOAT:自分の中でこれが理想の戦術だってものが完全にあるんで、ぶれない部分でもうサッカーの正解がわかっちゃったんですよね。
その中で、チームを作ってほしい、指導してっていう声も多数いただいて、夢みたいな話なんですけど、作らせていただきました。
タスク:GOATさんはGOAT FCでどういう⽴場でいらっしゃるんですか。
GOAT:私は総合監督で戦術を構築していく役割になってますね。
タスク:別に現場の監督がいるってことですか?
GOAT:そうなんです。⼀つ⽬として東京に作ったのが今のチームなんですよ。例えば福岡でGOAT FCを作りたいって⼈が現れたらお願いして、全国に点々とGOAT FCみたいなのを作って、その集合体がGOAT FCになっていく。
結局同じ戦術でやっていきますんで、集合したときにすぐにフィットする選手がいる。それで頂点⽬指していければというビジョンです。
タスク:カテゴリーでいうと当然第一種は社会人。大人のカテゴリーの全国選抜みたいなものになっていくというビジョンがGOAT FC代表みたいなチームですね。
GOAT:今は東京だけですけども、点在していく全チームの試合現場に⾏けないじゃないですか。だからオンラインでやってるってことですよね。
タスク:選⼿はどうやって集めたのですか?
GOAT:選⼿たちはYouTube上から集めて、GOATの戦術を「ピッチ上で体現する体現者だよ」と伝え、そこに賛同した選⼿を集めています。
タスク:ファンサポーターもYouTubeチャンネルからの流れで多くいるんじゃないかなと思うんですけど。
GOAT:まだまだなんですけども。GOAT FCの特徴として選手も戦術を求めてくるんですよ。ファンサポーターも史上最も戦術的なクラブというテーマのもとに来てますんで、もう戦術好きに見ていただくというチームですね。
タスク:ファンサポーターもそういった話の定義ができてるとYouTubeのコメント欄でも話ができたり、そう考えると直接的にクラブと話せるような形ですね。
GOAT:距離感は近いと思いますね。
タスク:フォーメーションの位置づけをどう考えてらっしゃるのかお伺いしたいです。
GOAT:戦術っていうのは我々の中で「対策の対策」って定義づけしてるんですよ。相⼿のフォーメーションの数だけ、我々もフォーメーションをマスターしなきゃいけない。重要視しているのは「フォーメーション」と「戦術局⾯」。
GOAT:戦術局⾯はビルドアップ、フィニッシュ、プレス、ブロックの四つ。例えば4-4-2ならこういう攻撃、こういう組み⽴て、こういうフィニッシュ、こういう守備が最適という4-4-2ならば4-4-2の四つの戦術局⾯ごとに戦術があります。
フォーメーションを七つに分類してるので、7×4の戦術があるってことですね。フォーメーションはチームにとって戦術を行う⼀番最初の⼊⼝みたいな感じです。
タスク:四つの局⾯に対しても何パターンかありますか?
GOAT:さらに枝わかれしていきます。
タスク:手数として覚えていくのも当然大変ですけど、その分こっちも手数が増えるってことですね。
GOAT:すべての局面に「目的」を設定していてビルドアップは前進、フィニッシュはゴールを奪う、プレスはボールを奪う。ブロックはゴールを守ることが目的です。
失点場面を振り返ると、ゴールを守るべきなのにボールを取りに行ってる人がいる、何人かでボール取りに行った先にスペースができて使われることがある。GOAT FCの選手たちには「こことここの選手がボールを奪いに行ったら、ゴールを守るんだよ」と映像分析で説明してます。だから試合中に「ブロック、ブロック」ってみんなに言ってるんですよ。そしたら頭の中で「ゴールを守るんだ!ボールを奪うんじゃない」というのが意思統一されます。
タスク:ゲームプランのところも教えてください。
GOAT:技術とフィジカルとメンタルの心技体っていうのは全部戦術を遂行するためのもの。試合に応じたメンタルを持つべきだと伝えてます。
例えば、相手チームは我々が基本的に繋ぐことを前提にサッカーをやってるので、我々が失点したら、キックオフ後も繋いでくるだろうなって思うわけですよ。相手が「取りに行くぞ!」となった瞬間、あえてロングパスを蹴る。裏を狙いに行くとか、そういうことをゲームプランとして考えてますね。
タスク:ゲームをどういうものだと捉えていますか。
GOAT:私がいつも大事にしてることは相手の気持ちを考えることですね。もし自分が相手チームにいたらどう思うか。ここでがむしゃらに取りに行くのか、それとも守ろうって思うのか。例えば試合終了間際だったらどう考えるかとか、負けてたらどう考え、スコア差によってどう動くかっていうのは、自分だったらどう思うかと投げかけて、逆算して戦術ゲームプランを組み立ててるという感じです。
續木:僕は局面のゲームをしているけど、GOATさんは90分通したゲームをしている。点が動いたところでのゲームプランの落とし方がすごいなって思います。
サッカー界で物足りないって思うのがチームのカラー
タスク:試合だけじゃなくて運営って面があると思うんです。維持していくにはお金もかかるし、どう思われているのでしょうか?
GOAT:私がサッカー界で物足りないって思うのがチームのカラーなんですよ。
昔はイングランドはキック&ラッシュみたいな。見てる側も事前情報を理解した上で見る、その方がより面白く見れると思ってるんですよ。
カラーをより濃くするために、「史上最も戦術的なクラブ」というテーマを掲げて、永続させていかなきゃいけないと思ってます。
そのためにスポンサーが必要となってきますが、スポンサーの影響力が強すぎて商業的にり、負け込むと「監督変えよう。選手変えよう。」っていう話になってくるんです。
監督が変わったら、今まで積み上げてきたものが全部チャラになって、また積み上げていかなきゃいけない。
私が総合監督を永久に務められると、史上最も戦術的なチームが存続できる。そう考えた結果、スポンサーは影響しない立ち位置でついてもらって、スポンサー主体ではなくファンに支えられる形のソシオ制を取り入れることにしたんです。
タスク:ソシオ制についてもう少し説明していただきたいです。ソシオ制は大きなスポンサーに頼らず基本的にファンサポーターで維持していく、サポーターもクラブの一員であるということですかね。
GOAT:本来そうあるべきだと思うんですよね。企業とタッグ組んでるチームじゃなくてやっぱり、地元の方々に愛されるクラブ。好きな選手が移籍しちゃったらもうそのチームのことを忘れて、移籍先のチームを応援するようなのってあるじゃないですか。それは一つの形ではあるんですけれど、ソシオ制は真逆の方向ですよね。
タスク:GOAT FCというものがやっぱり目指すところは、各地域に根ざした部分、クラブごとファンになってもらえることで、そこを広げていかないと長く続かないというところですよね。
タスク:組織は個人の方々からどういうふうに活動資金を集めているんですか?
GOAT:YouTubeのメンバーシップっていう機能ですね。動画で練習から試合まですべて⾒ていただけます。
知育の⼀環として論理的思考を伝えて行くことが最良
タスク:それだけの手数を選手たちに落とし込むには時間がかかるし、幼少期からのアカデミーという部分ではどういうふうに考えてるのでしょうか?
GOAT:この前に選手間でひと悶着あったエピソードがありまして。我々はボールを奪ったときにロンドっていう戦術を設定してるんですよ。
チームの中でドイツでプロでやっていたうまい選手がいるんですけど、その選手が「狭いところで味方に繋いで奪われるぐらいなら、ドリブルで自分で運んで行った方がいい」と発言をしたんです。それに対して「いや、ロンドするべき」とチームで意見がわかれたんですよね。
ドイツだといろんな国の選手がいて、みんな違う環境で育ってるわけだからそういう考えになってしまう。だけど、幼少期からそのトランジションでロンドをすることでこんなに良くなるんだっていう成功体験を積めば重要性を理解すると思うんです。
戦術は12歳を超えてからの⾵潮では技術から⼊るが、我々は逆で、戦術っていうものを⼀番最初に伝えます。その戦術を遂⾏するための技術とフィジカルを鍛えていくことが最短ルートだなと思ってます。サッカーに限らず、知育の⼀環として論理的思考を伝えて行くことが最良だと思っています。
タスク:アカデミーは作らないんですか?
GOAT:来年の4月からジュニアユースをスタートさせようと今動いてます。チームとしては100年構想っていうことを掲げてます。一番大事なのは成功事例をどんどん引き継いでいくっていうことです。
タスク:これは非常に楽しみですね!
たくさんのコメントありがとうございました
タスク:参加者さんからメッセージをたくさんいただいています。紹介させていただきますね。
GOATさんにとってフットボールとは。
タスク:續木先⽣からいただきました。
GOAT:人生っていうか教えてもらうことが多いですよね。フットボールから。
タスク:そこに帰るんですね。イングランドが言ってましたもんね「フットボールが僕らを紳士にしてくれる」でしたっけ。
GOAT:おっしゃる通り。結局サッカーの試合中だけじゃなくて、試合が終わった後、準備だとか、相⼿チームも横の繋がりなわけで⼈間関係とかコミュニケーションとか駆け引きだとか、いろんなことが詰まってますよね。
いつかGOAT FCの代表が日本代表になる日が来るかもしれないですね。
タスク:北村さんからいただきました。
GOAT:今の日本代表は強いですよね。私がこの活動はじめたときは日本代表の試合見てても戦術っていうものが見えてこなかった。
だけど日本って、本当は戦術に一番向いてるはずと思っていて、勤勉さ、真面目さ、学ぶっていうことは得意だと思ってるんです。規律を守るっていう部分は国民性というか、一人一人が持って生まれたものだと思うし、他国にないものだと思うんです。そこを活かすとなると戦術連携力とかそういう部分が大事になるんですよね。
GOAT FC対GOAT FCだと、どちらが決めるのか
續木:絶対この質問だけはしようと思ってたんです。
GOAT:GOAT FCはその相手の守備にあった攻撃の形になるので、カオスになりそうです。最後は個かもしれないですね。個っていうのは技術っていう意味じゃなくて、アイディアだとか、駆け引きだとかそういうメンタルが分けるんじゃないかな。
タスク:GOATさん、今日は本当にありがとうございます。
次回の案内と「The Blue Print」のお知らせ
次回のインサイトは12⽉1⽇⾦曜⽇の20時から予定しています。今、海外で指導者等々でサッカーに関わっております池⽥亮太さんをゲストにお迎えして、選⼿以外のサッカーにかかわる様々な仕事について「サッカーで飯を⾷う」というタイトルをつけて、多⾓的な⾯で聞いていきたいなと思っていますので、年内最後となりますが来⽉もご参加いただけたら幸いです。
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