地域移住&プロジェクト型とコミュニティ型
リビングシフト。
大きな流れは:
・産業構造と組織形態、働き方は時代に応じ変わっていくもの
・製造業が主流だった時代のヒエラルキー、マネジメント手法から
・ひとりひとりが自律的に考え、行動し、成果を生み出す形へ
・つまり、時間あたり生産性・作業効率という概念が変わっていくのだ
・では個人/企業/地域社会の幸せをどう考え、何を変えていけばよいか?
industryによってもちろん異なるが、これらの大きな潮流(重力)の中で、どう既存制度や共通認識をアジャストしていけるか、人事の腕の見せどころ。
p.118)コミュニティがポータブルになったことで、人々がより多くのコミュニティに所属できるようになった。(中略)実務的なメリットに加えて、そこに行けば誰かに会える、自分の居場所があるという感覚も大事なのだろうと思います。将来リモートワークの普及が進めば、問題になるのは人々の「孤独」だという予測もあるぐらいです。
p.120)地域の住民がこれから起業する若者をまちぐるみで応援しようという流れが作れればいいなと思っています。地元出身のスポーツ選手が活躍するのを、まちを挙げて応援しようということはよくあります。ところが地元出身の起業家をまちぐるみで応援しようという話は、あまり聞いたことがありません。(中略)応援することで、その起業家は地元にいっそう誇りを持つでしょうし、より地域に密着した会社になったり、将来的に還元するようになる。そういった流れが作れればいい。
p.127)プロジェクトでは一定の成果を出すことが求められる。だから、多くのプロジェクトは、評価制度を伴います。評価制度があるということは、進むべき方向性やアウトプットの基準がメンバーに共有されているということになります。一方で、多くのコミュニティには、評価制度というものは存在しない。
P.130)もし会社の仕事がめちゃくちゃ楽しくて、同僚や上司と一緒にいることが楽しかったら、どうなるのでしょうか。(中略)カマコンのようなコミュニティは、プロジェクトに取り組むことをしっかりと設計することで、よりコミュニティが強化されたり、一方で、会社のようなもともとはプロジェクト重視だったところが、コミュニティの要素を入れることで、プロジェクトでの成果を出しやすくなる。そんな現象が生まれているように感じるのです。その結果として、会社と課外活動、コミュニティとプロジェクト。そうしたものの境界線が少しずつ希薄化しているのではないかと思います。
………
著名人のオンラインサロンなどでは、「お金を出して参加し、一緒に仕事をする」形態も広がりつつある。これは、人事としては考えさせられるテーマ。
・仕事は苦行であり、給与や昇進昇格や評価で働かさせるのだ(外発的動機)
・単純に面白いから、ワクワクするから、お金を出してでも働く(内発的動機)
という対比なのであれば、会社の方が、内発的動機をベースにした形に進化しなくてはならない。
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conviviality(自律的共生)というコンセプトもあるが、コミュニティに関わっていくことで
・生産性は下がるが
・連帯性は上がる
という現象が生じたときに、企業はそれを許容できるか(※これが一時的なのか恒久的なのかは、まだ私にはわからない)。プロジェクト型の思考様式で進めてきた企業活動の中に、コミュニティ型をどうやって内包するか。このあたりを深めていくことが鍵な気がしている。
巻末で山口周さんとの対談で指摘されているように、
・自分で物語をつくれる人が、徐々に地方に動き始めている。
・東京に人口が集中する中で、自分で食っていける人ほど東京から離れている。
このことは肌感覚としても感じる。
強者だけの動きでなくて、何らかのサポート、エコシステムが回り始めると、東京も各地方も、産官学民win-winにならないだろうか。
関係人口というのはその一手だろうと思う。
ただ、「地方創生」とか「地方」という言葉はどうも違和感がある。
中央に対する辺縁としての地方、というのではなくて、それぞれが主体的な「地域」と呼称した方がしっくりくるが、、このあたり、何かぴったりな用語などあるのでしょうか。