「マリー・ローランサンとモード」展 Bunkamuraザ・ミュージアム
ハイブランドのコレクションは雑誌で見ることがあっても、詳しく追っているわけではありませんでした。それでも、黒や白、ベージュ、赤などはっきりした色のイメージがあったシャネルからすごく柔らかい色のコレクションがあったなぁ。というのはなんとなく覚えていました。
あぁーーー!これがマリー・ローランサンだったのかぁ!というのは知らなくて。いつもながらに知らないことが多い自分に驚きましたが、とても可愛いマリー・ローランサンの絵画たち。あのなんとなく印象に残っていたシャネルのコレクションは、そのローランサンの色彩を表現したドレスたちだったのでした。
白色の絵の具が多用されたと思われるパステルカラーなローランサンの絵画。一見すると、シンプルな輪郭線と陰影の少ない(けれど近くで見るとたくさんの色が使われている)人物画達は、みんながみんな同じような人に見えてしまうのではないだろうか。と思いもするのですが、どの作品のどこに描かれた人物も誰1人として同じ顔の人がいないことがわかってきて、作品数を見れば見るほど、この少なく見える線と色の奥深さ、一つ一つの個性に惹かれていき、優しい色合いも相まって、絵の前にどうしてだろうと居続けたくなる、いつまでもみていられるような気持ちにさせる不思議な作品たちでした。
特に、時に白目と黒目がはっきりと分かれていなかったり、鼻の位置がはっきりしないものまであるにもかかわらず、モデルたちは全てしっかりとどこをみているのか、どんな感情なのかまでわかるような気がする…。また、描写が仔細でないだけにその余白にある空気感がふんわりと漂ってくるようでとても楽しい展覧会でした。
2人の関係はともあれ、2人の女性がまだまだ様々な面で社会的に男性優位な時代に同じ年に生まれ、それぞれの個性を際立たせていっていたということもとても面白ろかったです。