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「UXデザインの教科書」を読んでみた!初心者でもわかるUXデザインの基本

今回は「UXデザインの教科書」についてまとめます!



UXデザインとは何か

UXデザインとは、製品やサービスの企画段階から理想のユーザー体験(UX)を目指し、ユーザーが喜びを感じる体験を提供するための取り組みとその方法論、またその方法論に基づく実践のことです。

つまり、UXデザインは、ユーザーの視点に立って、いかにシンプルで快適な体験を提供できるかを考え、細部にまでこだわるアプローチです。具体的には、ユーザーの行動やニーズを深く理解し、彼らの期待に応えるような体験設計を行います。

そのため、UXデザインは、ユーザーだけでなく、作り手である企業にとっても満足度の高い体験を実現するアプローチであると言えるでしょう。企業側から見ても、使いやすい製品やサービスを提供することで、顧客満足度が向上し、長期的な信頼関係を築くことが可能になります✨

💬「UXデザイン」と「UX」の使い分け
UXデザイン = ユーザーと製品・サービスの間にあるデザインの実践
UX = ユーザー体験(ユーザーの主体的なもの)

UXデザインが注目された背景

インターネットの普及や、スマートフォンやタブレットといった高度な情報通信端末の広がりを背景に、さまざまな業界でUXデザインへの関心が高まりました。かつてインターネットサービスはユーザーがパソコンの前にいることを前提としていましたが、スマートフォンの普及に伴い、あらゆるシーンで利用できるサービスの提供が求められるようになったのです。

さらに、世界中のサービスに容易にアクセスできるようになったことで、優れたユーザー体験に触れる機会が増え、使いやすい製品やサービスへのニーズが顕在化しました。

UXデザインの歴史的な流れ

  1. パーソナルコンピュータの普及
    1960年代、コンピュータが次第に企業などで用いられるようになり1980年代にもなるとパーソナルコンピュータが一般にも広く普及しました。
    しかし、コンピュータが一般に普及し始めた1980年代のインターフェースはユーザーにとってわかりにくく、新たに覚えなければいけないものも多かったのです。
    UXが求められる歴史的な原点になった環境変化だと言えます。

  2. 参加型デザインが行われるようになる
    コンピュータ導入は労働を助けるものとして導入されたはずが、むしろ環境が悪くなるようなものとして受け止められていました。
    そこで、北欧のノルウェーを中心に企業内のソフトウェア開発に労働者自身が参加し、より良いソフトウェアができるように働きかけました。
    1990年代になると、参加型デザインの活動は世界中のソフトウェア開発の現場で注目を集めるようになり、その実践ノウハウが関心の的になりました。

  3. 人間中心デザインの国際規格が制定
    1999年、人間中心設計プロセスの国際規格「ISO13407」が発行されました。この規格はソフトウェア製品のユーザビリティを高めることを目的にしたプロセルであり、重要な方法論として反復型開発(反復設計)が持ち込まれました。

💡反復設計
ユーザーを常に中心に置き、すべての開発工程でユーザーの要求事項に基づく評価と改善を繰り返すことで、ユーザビリティを向上させていくプロセス

UXデザインの要素

UXデザインには、デザインする相手として「ユーザー」「製品・サービス」「ビジネス」の3つの主体があります。
※ここでの「ビジネス」はその製品やサービスを提供する組織のことです。

上の図のように、UXデザインは、作り出す製品・サービスだけでなくユーザーとその製品・サービスとの関わりにまで対象領域を広げたデザインです。

例えば、スマートフォンのアプリを作ると決まっていた場合でも、アプリのインターフェースを作るだけではなく、そのアプリによって「ユーザーがどんな嬉しい体験をするか」を設定しそれを実現するようなアプリをデザインするという過程で制作するということです。

💡利用文脈
ユーザーが製品・サービスを使用する際の状況やその背景、あるいは使用する前後で起こるさまざまな出来事のつながりを指している。
製品・サービスを使う脈絡という説明もできる。

ちなみに、製品・サービスに「ユーザビリティ」というワードが関連していますが、ユーザビリティとはその製品の機能をユーザーが発揮させるためにどれだけ簡単に製品の操作を行えるかを指す用語です。
ユーザビリティはユーザーが使いやすいと感じる度合いのことではなく、あくまで製品・サービスの品質を指す言葉です🚨

UXデザインのプロセスとその手法

UXデザインは下の図の流れで進めていきます⬇️
1工程ずつ、簡単に説明とその手法をまとめてきます!

①利用文脈とユーザー体験の把握

⭐️この段階の目的
デザインが実現すべきことの手がかりを得るために、デザイン対象のユーザーがどんな行為をしているか、利用シーンでの行為や状況を調査して把握する
・ユーザーの体験価値や本質的なニーズに迫るため、文化的・心理的な背景も含めたリッチな情報を収集する

 ✍🏻代表的な手法

ユーザー体験の把握には「定性的調査」と「定量的調査」の2つの方法があり、どちらか一方のみを行うのではなくこれらを組み合わせて行うのが好ましいです。
組み合わせて行う方法を「混合研究法」と呼び、UXデザインでは定性的調査であるインタビュー調査を実施→そこでの気づきや仮説を踏まえてアンケートなどの定量的調査を実施して仮説の検証や量の推計などを行う組み合わせが多くなっています。

②ユーザー体験のモデル化と体験価値の探索

⭐️この段階の目的
・ユーザー調査の結果から、ユーザーが求める体験や本質的なニーズについて仮説を立て、デザインで実現すべき価値を探る
・今後のデザインプロセスをユーザー中心に円滑に進めるため、ユーザーモデルを作成する
・ユーザー調査とデザインの間のギャップを埋める

 ✍🏻代表的な手法
この段階では①のアウトプットに対して分析をし、ユーザーモデリングを行います。

💡ユーザーモデリング
データからユーザー情報の抽象化とモデル化を行う作業のこと
ユーザーモデリングは「属性層」「行為層」「価値層」の3層に分けられ、それぞれに適した手法が存在する。

ペルソナ法(属性層)
ユーザー調査で得られた結果から、典型的なユーザーのゴール、態度、意識、行動などのパターンを導き出し、それを基にユーザーを代表するモデルとして仮想の個人を作る方法です。

ペルソナ法アウトプットイメージ

ジャーニーマップ(行為層)
人々が製品やサービスと関わる流れを時間軸で表したもので、特に複数のタッチポイントをまたいで続く体験に注目し、その途中で起こるさまざまな出来事を、行動、感覚、認識、思考、感情といった視点から明らかにする手法。

ジャーニーマップアウトプットイメージ

KA法 = 価値分析法(価値層)
ユーザー調査で得られたインタビューデータなどの定性情報をもとに、人々が本当に求めている体験価値や深層のニーズを導き出す手法です。

KAカードの基本構造

出来事ごとにカードを作成し、価値を軸にグルーピングしていくことで、ユーザーの体験価値の構造が明らかになります。これを「価値マップ」として視覚化することで、デザインのインサイトや改善ポイントを見つけやすくします。

③アイデアの発想とコンセプトの作成

⭐️この段階の目的
・実現すべき体験価値に基づいて、ユーザーの本質的なニーズを満たすアイデアを考える
・体験価値を基にしたアイデアと、ビジネスのエコシステムに沿ったアイデアがうまく合うような統合的なUXデザインのコンセプトを作る

 ✍🏻代表的な手法

UXDコンセプトシート
UXDコンセプトシートは、UXデザインのアイデアを整理して表現する手法です。これを使うことで、目指すべき体験価値を明確にし、その体験価値を達成するためのアイデアが実現可能かどうかを整理できます。

コンセプトシートには以下の9つの要素が記載します。

  1. 実現すべき体験価値・本質的ニーズ

  2. ペルソナ

  3. キーフレーズ

  4. 使い続けた時の心の声

  5. バリューシナリオ(ユーザーにとって嬉しいこと)

  6. シーン・利用文脈

  7. 使用前の期待や不安の声

  8. 使用中の声

  9. 使用後の感想


④実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化

⭐️この段階の目的
・製品やサービスがどのようなユーザー体験になるかを検討し、時間の流れに沿った体験の様子を視覚的に表現する
・ユーザーのモチベーションや利用環境、利用中の反応を時間軸で検討し、製品やサービスに求められる機能的な要件の概要を明らかにする

 ✍🏻代表的な手法

ストーリーボード
提案する製品やシステムが、どんな状況や環境で使われるのかを、時系列のストーリーとして視覚的に示す手法です。
ストーリーボードを作成することによって、理想のUXを視覚化することができ、視覚化したものに対して評価と修正を行い目標とするUXの完成度を高めることが可能です。

ストーリーボードアウトプットイメージ

⑤プロトタイプの反復による製品・サービスの詳細化

⭐️この段階の目的
・コンセプトの妥当性をユーザー参加型で評価し、開発するコンセプトを選ぶ
・製品やサービスをハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアでどう組み合わせるかを検討し、デザイン対象を明確にする
・理想のUXを目標に、ユーザー視点での評価を取り入れた反復的なデザインプロセスで、製品やサービスのデザイン仕様を固める

ここで作成するプロトタイプには以下の2パターン存在します。
水平型プロトタイプ
異なる機能を幅広く対象とし、機能の存在が認識できる範囲のプロトタイプ
垂直型プロトタイプ
特定の機能に特化しその機能の操作の手順を確認できる範囲のプロトタイプ

一般的には水平型を先に作成し、垂直型を作成します。

 ✍🏻代表的な手法

ユーザビリティテスト(プロトタイプ評価)
ユーザビリティテストは、協力者に実際にプロトタイプで操作してもらい、その結果やタスクの達成度、操作中の様子を分析することで、ユーザビリティ上の問題点を見つけて測定する手法です。

発話思考法という、タスクを実施する際に協力者が感じたことなどを声に出してもらい記録する方法を用いることも多いです。

⑥実装レベルの制作物によるユーザー体験の評価

⭐️この段階の目的
・想定された利用シーンに基づき、ユーザー参加型で実装レベルの制作物を評価する
・ユーザビリティやUXの指標を設定し、プロトタイプが目標とするUXを実現できているか検証して、デザイン作業の終了を判断する

評価指針には、主に次の3つの側面があります。

  1. 形成的評価→開発中にプロトタイプの問題点を見つけて改善するための評価

  2. 総括的評価→製品やサービスの効果を検証し、品質レベルを測定するための評価

  3. 状況的評価→リリース後、実際の利用シーンでどのように使われるかを評価するもの

 ✍🏻代表的な手法

SUS(システム・ユーザビリティ・スケール)
10個の質問に回答することで、システムのユーザビリティの度合いをおおまかに測定できる評価尺度を使った手法です。

⑦体験価値の伝達と保持のための基盤の設備

⭐️この段階の目的
製品やサービス以外のタッチポイントも含め、体験価値と目標とするUXを尊重し、一貫したデザイン指針を作成する
製品やサービス提供後、目標とするUXが適切に実現されているかモニタリングするため、長期的に利用実態を把握する基盤を整える

この段階には、特に代表的な手法はありません。ただし、ブランディングの観点では、製品やサービスのコンセプトを社内外で共有するためのコンセプトブックや、デザインの一貫性を保つためのブランドガイドラインを作成することが一般的です。

まとめ

重要なことが多くかなり長い記事になってしまいました…!
何周か読んだものの、まだ深い理解にはなりきれていないのでまだまだ読むことになりそうです。

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