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3サービスのレシピ動画を比較しました【インスタ編】

昨年から燻製にドハマリして、動画投稿を始めました、amakawaです。

キッチンで作れる燻製レシピをインスタで紹介しています。
燻製明太子の卵焼きレシピ動画です🍳↓

昨年までは、レシピ動画は通勤中に眺める程度でしたが、動画を作成するようになって見方が変わりました。

自分で撮影や編集をすると、動画をカットするタイミング・字幕の入れ方・ボウルに添える手が必要か...本当に細かい部分にまで悩むことになります。

今回、3社の動画を比較して、共通するフォーマットや各サービスのこだわりが見えてきました。
レシピ動画を作っている方、レシピ動画が好きでよく見ている方には新しい発見があって面白いかもしれません。

対象のサービスと動画

今回はレシピの内容には言及せず、動画そのものを比較します。
そのために手順が近い3つのレシピを各サービスから選びました。

今回はインスタグラム投稿の参考にしたいので、自社アプリではなくインスタの動画を比較対象とします。

クラシル
簡単 デミグラスソースのハンバーグ

DELISH KITCHEN
豆腐とキャベツのハンバーグ

macaroni
きのこつくねハンバーグ

各サービスの動画の特徴

ここから、各社の動画を見て気づいたことを「全体の流れ」「字幕」「構成」「その他」に分けてまとめます。

また、レシピ動画は日々改善されているので、ここに記載した施策が現在も行われているかは分かりません。あくまで今回参考にした動画間での比較としてご覧ください。

クラシル

全体の流れ
58秒
完成形→調理手順→完成形(最初と同じ動画)

最初に料理の完成形を写し、ハンバーグをカットする様子を見せている。

字幕
- 画面上部に丸文字のフォント(他社より柔らかい印象)
- 材料+分量のみで「〜をこねる」など動作を表す字幕が無い
- 一度調理した材料(炒めた玉ねぎ)を入れる際は字幕もなし

構成
- 各手順の頭と終わりのみを見せている
- 場面の切り替えに意味をもたせている
  - 材料が固定で切り替え→追加の材料や動作
  - 材料を真下に引く→調理道具/場所が変わる(まな板→ボウルなど)
- 材料は左手で入れる、調理(混ぜる、炒める)は右手に統一
- シズル感のある場面が多い

その他
- まな板と調理台、フライパンとフライ返しなど、一緒に使れる料理器具が同系色なので見やすい

感じたこと
クラシルの動画はとてもシンプルです。
字幕が少なく、調理器具の色や動作が統一されているので、動作と食材だけに自然と目が向きます。

もう一つの他社との大きな違いは「動画だけで料理が作れるか」です。
クラシルは動画内の情報量を抑えているため、インスタの本文を見ずに調理ができる人は少ないでしょう。

その理由として、クラシルでは「『作りたい』と思って1アクション起こす事」がインスタ動画のゴールなのでは?と予想しました。

インスタグラムにおけるレシピ動画は、TLを眺めていたらたまたま流れてきた...という非常に受動的なコンテンツです。
この記事でクラシルのマーケ担当の野村さんが述べているように、ユーザーが料理をするタイミングでこの動画に偶然接触する可能性は限りなく低いでしょう。



そのため、動画のゴールはインスタでの保存やリンクの共有など、実際の調理に向けて1アクションを起こしてもらうことです。です。

そう考えると、動画で見せる内容も最小限に絞れます。
私の場合、「作りたい」と感じる判断基準になる情報は

- 材料の種類と量
- 大まかな手順

だけです。
どれくらい混ぜるのか?どのタイミングで次の食材を入れるのか?は重要ではありません。


これらの情報は、実際に調理するときにインスタの本文を読めば充分ですし、大まかに予想ができます。

「『自社のコンテンツがどういう使われ方をするか』という観点から逆算」という考え方は、動画の中でも取り入れられていると感じました。

 一点気になったのは、インスタ内にアプリへの誘導がないことです。
全く同じレシピがアプリ内にも存在して「質問はアプリへ」という一文があるのに、アプリへの誘導がないのは何か意図があるのでしょうか?
わざわざアプリ内で料理名を検索するのは面倒だなぁと感じました。

DELISH KITCHEN

全体の流れ
59秒

完成形(画像)→調理手順の途中→完成形(動画)→調理手順→完成形(同じ動画)

字幕
- 画面下部にゴシック(グレーの縁あり)
- 材料+分量の他に、手順も説明している
- 字幕のみで示す手順がある
- 字幕サイズに差がある(材料は分量より大きい)

構成
- 早送りがほぼない
- フェードイン、ズーム、フェードアウトなどの特殊効果を使用
- 材料は右手で入れる、調理(混ぜる、炒める)は右手に統一

その他
- 自社で販売している調理器具を使っている

感じたこと
クラシルとDELISH KITCHENはサービス内容や動画の雰囲気も似ているのでよく比較対象にされていますが、DELISH KITCHENはクラシルとは対象的に動画だけで調理ができる動画です。

さらに、レシピ動画では一般的とも言える早送りを使わず、字幕の説明も丁寧なので、レシピ動画というコンテンツに初めて触れたユーザーも抵抗が薄いかもしれません。
次の調理手順に移る目印(フライパンの蓋に水がつく)にズームするなど、料理番組の雰囲気を感じる効果も使っていました。

一方で、画面切り替えの際に食材を真下に引くのか、食材を固定したまま画面を切り替えるかなど、細かい点でバラつきがあり、じっくり見ると違和感がある場面もあります。

また、DELISH KITCHENはメーカーとコラボした調理器具の販売をしており、動画内でも自社調理器具を使用しているにも関わらず、インスタ本文で言及されないのはもったいないように感じました。

macaroni

全体の流れ
52秒
完成形→調理手順→完成形(+サービス名)

字幕
- 左上にゴシック(白)
- 材料+分量のみ
- 「〜をこねる」など動作を表す字幕が無い
- 字幕サイズに差がある

構成
- 速度のメリハリが強い
- こねる、置くなどの作業動作はとても速い
- 乗せた卵黄を割る、などシズル感のある場面はやや遅め(それでも早送りしている)
- ズーム、画面分割など特殊効果の多用
- 材料は右手、調理(混ぜる、炒める)も右手

その他
- 調理だけでなく食べる場面をイメージさせる演出

感じたこと
macaroniの動画は見てもらうと他サービスとの違いがすぐに分かると思います。明らかに、「動画」というコンテンツに慣れた層向けです。

基本的なレシピ動画のフォーマットには沿っていますが、画面分割や高スピードでの早送りなど、他のレシピ動画には無い特殊効果も使っており、動画に慣れていない層だと「よく分からない」で終わる可能性もあるでしょう。

ここにはmacaroniのターゲットが関係しています。
macaroniはレシピだけでなく、食のイベントやトレンド食材なども紹介しており、おそらく「食に関心が高く、積極的に情報を集める女性」がターゲットです。

このような層はSNSに慣れ親しんでいることから、特殊効果の多い動画から情報を読み取ることも得意であり、分かりやすく丁寧な動画よりも、まず「美味しそう!」といった直感に訴えかける動画が効果的だと判断したのかもしれません。

そう考えると、動画スピードがかなり速い一方で、シズル感の強い場面(ハンバーグを焼く、料理の上で卵黄を割る)では速度を落としてズームで見せているのも納得がいきます。

実際に、3サービスの動画を比較したときに一番「美味しそう」と感じるのはmacaroniです。

見えてきた「レシピ動画」のフォーマット

この比較から、レシピ動画の基本フォーマットが見えてきました。
初めて気づくような細かい点もありますが、むしろ意識されないように工夫されるのが当然とも言えるかもしれません。

- 基本は俯瞰(真上からの)撮影
- 画面上の同じ位置に材料・分量を記載
- 動画の最初と最後には完成品を見せる
- フライパンなどの調理器具の位置を固定する
- 材料の出し入れや手の向きは統一する
- 動画が始まって0.5秒以内にアクションがある
- 調理器具の移動には意味を持たせて統一する

最後の2つを解説します。

動画が始まって0.5秒以内にアクションがある
SNSで情報をブラウジングすることに慣れた結果、画面から常に情報が流れてくる状態は当たり前となりました。インスタのような動画が中心のSNSの場合、短時間でも動画が動いていない=新しい情報が入ってこないと違和感を覚えるようになったのです。

レシピ動画も、場面が切り替わるとほぼ同時に、手や材料が画面上に現れます。もし何も乗っていない調理台が1秒間映れば、誰もが疑問に感じるはずですし、TL上では1秒を待たず次の動画にスクロールされるでしょう。

インスタ動画においては、TL上の他の動画とのテンポ感も重要です。私は0.1秒刻みで動画編集をすることがありますが、プロのサービスではもっと細かい単位で調整をしているのかもしれません。

ちなみにYOUTUBEだとこの辺りのスピード感は全く変わります。面白いので興味のある方は比較してみてください。

調理器具の移動には意味を持たせて統一する
インスタのレシピ動画は基本的に「音」の情報を持ちません。電車の中などミュートで動画を見る人も多いため、音声なしで成り立たない動画は人気を集めにくいと考えられます。

しかし、スマホの画面サイズを考えれば、動画にすべての情報を載せるのは不可能です。そのため、材料や調理器具の移動にも意味を持たせているサービスが複数見られました。

クラシルの動画をもう一度じっくり見ていただくと分かるのですが、

- 材料の位置が固定したまま次の場面に進む
- 材料を真下に引いて次の場面に進む

この2つは使い分けがされています。
前者は、調理した材料に、さらに新しい材料や動作を加える際に使われます。一方で後者は、調理道具や場所が変わることを意味しています(まな板→ボウル、など)
macaroniでも動作そのものは異なりますが、使い分けがされていました。

材料を真下に引く動作は、現実でも材料を移動させるために行います。
編集ではカットできる動作をあえて残すことで、ユーザーの現実の調理体験から「次に何が起きるか」を無意識にイメージさせているのではないでしょうか。
そして、次の場面で実際に材料がボウルに移動しているシーンを見せることで、「自分の予想と合致する=分かりやすい、ストレスが少ない」視聴体験を作り出しています。

おわりに

今回3サービスの動画を比較することで、今まで気づけなかった工夫を見つけるだけでなく、なんとなく気づいていた「当たり前」の理由をじっくり考えることができました。

ここから自分の動画を改善するためには、まずレシピ動画全体で統一されているフォーマットに沿えるように撮影方法から工夫してみます。

例えば、私は自宅のキッチンで撮影するので、カメラスタンドの位置を固定するためにマスキングテープを貼っていますが、調理道具も固定するためには、まな板やボウル用の目印も必要そうです。

その後は、各サービスがターゲットや自社の特徴に合わせて施策を行っているように、燻製レシピに特化して工夫を重ねようと思います。

例えば、「 動画の最初と最後には完成品を見せる」はレシピ動画の鉄板ですが、#燻製 での人気投稿を見るとアウトドア感や調理しているライブ感(?)を感じさせる投稿が人気です。

ここから、
- 皿に盛らず、燻製器に乗せたままの状態で完成品を見せる
- 煙の動きが見えるように、写真ではなく動画で完成品を見せる
- 撮影時は煙が見えやすくなるように、背景が黒い場所もしくは部屋の温度を一時的に下げて撮影する

といった工夫ができそうです。

今後、仮説を立てる→施策を打つ→結果を見るのサイクルを何度も回したらまたnoteにまとめようと思います!

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