裸の女。

飛沫の音に浮かんだ裸の美女は、風呂場から響漏れるおじさんの咳で溶けた。
現実の刺激から飛び出した夢想は放物線を描いている間にだけ存在し、現実の床へぶつかってひしゃげる。
もしパラレルワールドが存在して現実がドミノみたく平行に並んでいたら、夢想は放物線を描かずに時間のx軸を延々と飛び続けているのかもしれない。
夜道、僕は交点にいたのだ。

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