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(記事翻訳)ロシアは約50万人のウクライナ人を強制連行し、移民労働者にしようとしている[濾過収容所や強制移住、児童誘拐といった戦争犯罪についての訴え]

記事元について。

The Insiderは、調査報道、事実確認、政治分析を専門とするロシアの独立系ニュースサイト。同紙はロシアのメディアにおける偽ニュースを暴露することで知られている。 編集室はラトビアのリガに所在。2019年、フリー・メディア・アワードを受賞した。(wikiより)

🔴ロシアは約50万人のウクライナ人を強制連行し、移民労働者にしようとしている

注)記事の太字は訳者が気になった点です。

ウクライナから何十万人もの人々がロシアに強制連行されている。彼らはロシアの地方で安価な労働力である出稼ぎ労働者にされることになっているのだ。ウクライナ、ヴェルホーヴナ・ラーダ(注1:Верховна Рада)のドミトロ・ルビネッツ議員(注2:Dmytro Lubinets / Лубінець Дмитро Валерійович)がTHE INSIDER誌に語った。ウクライナのオンブズマン、タチアナ・ロマキナ(Татьяны Ломакиной)氏によると、4月8日の時点で、ロシア軍は40万人以上のウクライナ人をウクライナ領内からロシアに強制連行した。ルビネッツ氏はさらに高い数字の50万人、うち10万人は子どもであるとしている。ロシア当局は、これらはすべて自発的にロシアに来た難民であると主張し続けているが、その間にもロシアはウクライナの都市を破壊し続けている。

注1)ウクライナの立法府、「ウクライナ最高議会」
注2)リベラル派「For the Future Group」所属の国会議員。ウクライナ最高議会のドネツク州、ルハンスク州、クリミア自治共和国、セヴァストポリ市の一時占領地における人権、脱占領、再統合、少数民族、民族間関係に関する委員会の委員長。欧州評議会議会常任理事会メンバー。Facebook→https://www.facebook.com/lubinetsdmytro

🔵彼らはロシアやいわゆるDNRやLNRから書類を入手する以外に選択肢がない。彼らは連れ出されたとき、いかなる代替案も提示されず、ウクライナの領土を離れることも許されない。

ロシア内務省移民局のオレグ・カドチニコフ(Oleg Kadochnikov / Олега Кадочникова)副局長によると、ウクライナや自称DNR(ドネツク人民共和国)、LNRと(ルガンスク人民共和国)からロシアに到着した1万8000人以上がすでにロシア国籍を取得したという。ロシアにたどり着いたウクライナ人や「自称ドネツク、ルハンスク人民共和国」の住民は、「緊急大量輸送で到着した人々」と書かれている。実際には、ウクライナ当局によれば、そのほとんどが力づくでロシアに連れて行かれたのだという。ウクライナのマリウポリ市のヴァディム・ボイチェンコ市長(Vadim Boychenko / Бойченко Вадим Сергійович)は19日、同市の住民数千人が濾過収容所(注3:The filtration camps)に送られ、そこからロシア軍に連行されたと述べた。ウクライナ議会人権委員会のドミトロ・ルビネッツ委員長は、ロシア軍が避難民を追い返し、ロシア領に送っているとThe Insiderに語った。

注3)濾過収容所とは写真撮影、指紋採取、携帯電話、パスワード、身分証明書の提出を強制され、ロシアに送られる前に警官によって思想的な麺なども含め何時間も質問される場所である。ソ連時代から存在し、チェチェンでは様々な拷問や虐待があったと国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは報告している。(米Yahoo!「What are Russian 'filtration camps'?」)


《ウクライナ最高議会による人権担当オンブズマンであるルドミラ・デニソヴァの事務所(Lyudmyla Leontiyivna Denisova / Людмила Леонтіївна Денісова)によると、「これまでに約49万2000人のウクライナ人がロシアに強制連行されている。ロシア当局は、書類がない場合はウクライナ人のパスポートを復元する機会を与えない。彼らはロシア人のパスポートを手に入れろと言う。」と同副代表。》

同副代表によると、ロシアの35の地域に400の仮設宿泊所が開設されているが、それらを確認することは不可能であり、公的な情報源から情報を得るしかない。

🔵国際法上の観点から、彼らは現状では人質であり、また労働奴隷でもある。

《ロシア軍がこの地域を占領すると、道路にバリケードを設置するんです。帰ろうとする人がいれば、追い返される。例外的に、人道的な回廊を何とか国際交渉して車を通せるようになります。長い時間チェックされ、いろいろな問題を起こしながらも、最終的には通してもらえます。ザポリージャ(Zaporizhzhya / Запоріжжя)からベルディアンスク(Berdyansk / Бердя́нськ)やマリウポリ(Mariupol / Маріу́поль)に向かう人がいて、そこで拾われて戻ってくることもあります。

しかし、回廊が合意されても、人々は車に乗ることができず、ただただ車を回して、「そこへは行けない、ロシアの方へ行け」と言うだけです。マリウポリからベルディアンスクに解放された人々は、「ザポリージャには行けない、メリトポリ(Melitopol / Меліто́поль)に行け」と言われ、そこで「ヘルソン(Kherson / Херсо́н)に行け」と言われ、ヘルソンでは「クリミアとロシア連邦の領土にだけ行け」と言われます。

FireShot Capture 195 - Google マップ - www.google.com

また、国際赤十字の立場もあります。国際条約では、紛争当事者が合意した場合にのみ、民間人の避難を支援することが義務づけられています。赤十字は何をしているのでしょうか?すべての規則に違反して、彼らはロストフ地域に駐在員事務所を開設し、人々をロシアに連れて行くのを手伝いました。ウクライナはマリウポリ - ノボアゾフスク(Novoazovs'k / Новоазовськ) - ロストフ(Rostov / Ростовская)の回廊を許可していませんが、赤十字は積極的にロシアを援助しています。私たちはこのデータを記録し、人々はそれを確認しています。赤十字は2つあり、国際的なもの(国際赤十字)とウクライナのもの(ウクライナ赤十字社)、それぞれ別の組織です。そして、実際にロシアと一緒に行動しているのは国際赤十字です。彼らは指導者の政治的立場から進めているのだと思います。人道的回廊が開かれていれば難民が再定住することは問題なかったはずです。》

ウクライナには、強要されてロシア領に連れて行かれた後、帰還できた人がいるかどうかのデータはない、とドミトロ・ルビネッツ議員は言う。

《ウクライナ人の帰還問題はロシアとウクライナの交渉で議題となっていなす。ヨーロッパのパートナーは皆、この件に協力する用意があります。ウクライナの市民は、バルト諸国やベラルーシなど、ロシア連邦とのあらゆる国境を越えようとしているが、すべてがブロックされ、外に出られないだけなのです。ロシアでは「仕事を見つけなさい、移住のための書類を作りなさい、私たちはあなたを助ける」と言われ、シベリアにあるいくつかのプログラムについて話をします。これは、ロシア当局によれば、ウクライナの市民を労働者が不足している遠くの都市で出稼ぎ労働者になるようにするためなのです。

🔵両親は死亡、祖父母はウクライナ領、子どもはロシアに連れ去られ、事実上の人質です。

実際、ロシアはテロリストとなりこれらの人々を利用している、と副代表は言う。

《戦争で離ればなれになった家庭の子どもたちは、特に厳しい状況にあります。孤児が保護者のいないロシアに強制的に連れ去られる例は枚挙にいとまがない。最も鮮明な例は、ウクライナのスポーツ界の一流選手の一人の子供です。両親は死亡し、祖父母はウクライナ領内にいるのですが、その子はロシアに連れて行かれ、実質人質になっているのです。私たちの情報によると、強制的に連れ去られた子どもはすべて孤児院に収容されているそうです。全部で10万人くらいの子どもがいるそうです。》

ドミトロ・ルビネッツ議員は、「戦時における文民の保護に関するジュネーブ条約」の存在を想起した。そこでは動機に関係なく、人々の大量の連れ去りを禁じている第3条と第34条がある。(注4)

実は、このようなケースはすべて誘拐と認定しなければならないのです。これは、特定の軍人や役人が責任を負うべき犯罪行為です。ウクライナでは記録された事実の一つひとつに刑事事件が起こされます。ドネツクとルハンスク地域の子どもたちのためだけに、約2,000件の刑事事件が開かれたのです。私たちは、ロシアに強制移住させられたすべてのウクライナ人が故郷に戻れるよう、あらゆる手段を講じるつもりです。私たちはこうした人々のリストに取り組んでおり、それは日々増えている。また、ウクライナ人女性に対する性的暴力のすべてのケースについて刑事裁判を開始しています。このようなケースはたくさんあります。略奪と同様、すべての居住地で記録しています。ロシア軍のメンバーは略奪者であり、強姦者であり、極度にモラルが低下している人々であるという思いがあります。ロシア軍人とその母親、父親、妻との会話を盗聴していると、誰もがそのことを知っていて、その兵士たちは非難されるどころか、自分の行為を正当化し、承認さえされているような気がするのです。

注4)戦時における文民の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(第四条約)(防衛省HPより)
第三条〔国際的性質を有しない紛争〕
 締約国の一の領域内に生ずる国際的性質を有しない武力紛争の場合には、各紛争当事者は、少くとも次の規定を適用しなければならない。
(1) 敵対行為に直接に参加しない者(武器を放棄した軍隊の構成員及び病気、負傷、抑留その他の事由により戦闘外に置かれた者を含む。)は、すべての場合において、人種、色、宗教若しくは信条、性別、門地若しくは貧富又はその他類似の基準による不利な差別をしないで人道的に待遇しなければならない。  このため、次の行為は、前記の者については、いかなる場合にも、また、いかなる場所でも禁止する。
 (a) 生命及び身体に対する暴行、特に、あらゆる種類の殺人、傷害、虐待及び拷問
 (b) 人質
 (c) 個人の尊厳に対する侵害、特に、侮辱的で体面を汚す待遇
 (d) 正規に構成された裁判所で文明国民が不可欠と認めるすべての裁判上の保障を与えるものの裁判によらない判決の言渡及び刑の執行
(2) 傷者及び病者(第二条約…傷者、病者及び難船者。)は、収容して看護しなければならない。
赤十字国際委員会のような公平な人道的機関は、その役務を紛争当事者に提供することができる。
紛争当事者は、また、特別の協定によって、この条約の他の規定の全部又は一部を実施することに努めなければならない。
前記の規定の適用は、紛争当事者の法的地位に影響を及ぼすものではない。

第三十四条〔人質〕
 人質は、禁止する。

 

 


  

  

  


 

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