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謎のメモと下書きの続き。
2025年2月某日。
年始に手帳に書いた今年叶えたいことの一つ「noteを定期的に書く」
を叶える為に動き出した。
内容はまとまっていないけど、とりあえず書き出してみようと投稿ボタンを押してみると1件の下書きが保存されていた。
そうだ、noteを始めよう。
なんとなく決意して、登録だけしていたアカウントのアイコンを自分の写真に変えて、何も入れてなかったプロフィール文を入力したのが1月の半ばである。
随分と重たい腰が上がらなかった。
そこで文章は終わっていた。
日付を見てみると2023年8月31日。
…ニセンニジュウサンネン?
どうやら私はようやく少し持ち上げた腰をもう一度下ろしてしまうどころか、諦めてごろーんと寝転びそのまま寝落ちして2年が経過してしまったみたいだ。
そしてもう1つ
この下書きにはタイトルとメモが付けられていた。
「インスタントーク」
即席ラーメンみたいな会話。
?????
初投稿から皆さんの頭の中をハテナでいっぱいにしてすみません。
でもこのメモを見てnoteを始めよう!と一番最初に思った時の気持ちが蘇ってきたのでこの下書きの続きを書いてみようと思います。
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noteを始めようと決意した2年前。
私は自分自身に何だかモヤモヤしていた。
至急解決しなければいけない!
という緊急性のある悩みではないけれど
ずっと晴れないこのモヤモヤは何だろうと。
そんな日々の中で私が見つけたモヤモヤの正体。
それは私が私自身に少し飽きていたこと。
もう少し噛み砕くと私から発される言葉の数々に飽きてしまっていました。
あ、ここまで自分が何者なのか一つも説明せずにきてしまいましたが
モデル・タレント・俳優をしている松本 愛(まつもと あい)と申します。
およそ11年前、モデルのお仕事から始まった私のキャリアですが、もやついていた当時はタレントとしての地元テレビ局のレギュラー番組が増えてきたタイミングでした。
仕事がない時期も経験しているので、ありがたさと感謝でいっぱいでした。
そんなメディアに出る人間として「飽きられる」ことって、寂しいな、避けたいなって思うことの1つなのですが
私が私に飽き始めている。そんなの死活問題です。
だけど必死になればなるほど空回りしている気持ちになる。
好きでやってる仕事なのにこの気持ちはなんだろうと焦っていました。
なんとかしたいと自分と向き合う中で
その原因は「インスタントーク」を多用しすぎたこと。
そんな結論に行き着きました。
「インスタントーク」とは何か。
当時、自分の口から出てくる言葉がまるで「即席ラーメンみたい」と感じたことからそう呼ぶことにしました。
即席ラーメンというと
・短時間で作れる手軽さ
・誰でも簡単に同じ味を再現できる安定性と安心感
・非常時の頼もしさ
・悪魔的で中毒性のある味
などなど、まさに「食品技術の結晶」
私が自分に飽きてしまった原因として「インスタントーク」を挙げたことで
「インスタントーク」=ネガティブなものと捉えられてしまいそうですが
即席ラーメンと同じようにこれも一種の技術だと思っています。
インスタントーク
・即座に反応できる瞬発力
・安定性と安心感のある会話
・キャッチーな表現
・間違いのないワードチョイス
・人を惹きつける話し方や構成
パッと頭に浮かぶものはこんなところでしょうか。
メディアで話す上ではどれも必要なものだと思っています。
特に3年近くお昼の情報番組で生中継を担当していましたが
中継って尺がしっかりと決まっていて生物なので編集もできない。
このインスタントークを使いこなせることは重要な能力なんです。
ただ、これが全てではない。
そう、全てでは無いんです。
だけど気付いた時には私はそれが全てになっていました。
人生においての失敗ってとても価値のあるものだと思っています。
ただ、「プロとしての仕事はミスをしちゃダメだ」って
ついつい自分にプレッシャーをかけちゃうところがあって、
必死に磨いた技術だけどそれだけになってしまっていました。
このインスタントークって使えるようになったら
ちょっとした麻薬みたいなもので、反響良かった表現とか
やり口みたいなのってちょっと形を変えてついついまた使っちゃうんです。
誰にも指示された訳じゃないのに自分から出てくる言葉は
インスタントークばっかりになってました。
オチがあって面白い会話じゃなかったとしても人間性が伝わってくる会話が好きだし、無駄や寄り道だらけの会話の中で感じる幸せもあるし、上手く話せなくても心にグッとくる言葉だってある。
私ってもともとそういう時間を大切にしていたのに、仕事に必死になるうちにそんな時間が減ってきてるかも。
自由に発信できるSNSの文章すら何かに怯えて慎重になって、当たり障りのない言葉とか巷に溢れているどこかで聞いた表現ばかりになっているかもって。
同じ武器と技術があったとしても
それしかできないとそれ以外の武器もある
は大きく違うと思います。
インスタントークは決して悪いものじゃない。
だけどそれ以外も私には必要。
大好きな仕事を長く続ける為にも
本当の意味での自分の言葉を伝えていきたい。
時間とか文字数とか何も気にしないで
私の言葉を綴る場所が欲しい。
それがnoteを始めようと思った理由です。
自分で作るご飯って「あー、味見したはずなのに今日の味噌汁薄いわ」とか
「この前めっちゃ美味しくできたのに今日は前回ほどじゃないなぁ」
って出来栄えにげんなりする日もあるけど、それが楽しかったりする。
お湯さえ入れれば間違いなく美味しくできて
病みつきになってしまう即席ラーメンもいいけど
今は時々大失敗しても料理する時間を楽しみたいなって感じです。
伝わりますかね?笑
きれいな言葉で書けない日もあるかもしれないし
かっこ悪いところを見せる日もあると思います。
だけど良かったらお付き合いいただけると嬉しいです。
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【あとがき】
1年半前まで、毎週一緒に中継をしていたディレクターさんと今月久しぶりに一緒にお仕事をしました。
まさに今回のnoteに出てくるモヤモヤ期にたくさんお世話になった方です。
とはいえ、仕事現場で悩み事を話すこともなく当然この「インスタントーク」の話は誰にもしたことがない話なのですが、ロケ終わりにそのディレクターさんから「愛ちゃん上手くなったね。中継やってた時は必死に頑張ってる感じだったけど、自然体だった」と。
ちょっとジーンときちゃいました。
今回投稿したような話を本当は2年前に決意表明として書きたかったんですけど、いろんなマインドブロックがあって書けなくて。
noteは書けなかったけど、自分なりに向き合ってきたことは
無駄じゃなかったし、この2年があったから今言葉にできた気がします。
ちゃんと前に進めてるんだと思えたエピソードでした。