不思議体験①
不思議体験というお題で何かを語ろうとすると、どれから書こうか?と悩む程、ネタは沢山ある。
心霊系?スピリチュアル系?UFO系?よくわからない系?
今回は軽く、UFO系にしよう。
それは、20年ぐらい前の話。地方の実家に住んでいた時のこと。バス停から家までの、僅か徒歩5分程の間に起こった出来事だ。
突然、それはまるで映画のワンシーンのように現れた。未確認飛行物体である。
バス停から降りた私は、目の前のスーパーマーケットで買い物をし、ビニール袋を手に歩き出した。時刻は午後7時過ぎ。バス停とスーパーマーケットがある通りには、まだまだ沢山の車や人通りがある時間だが、そこからヒョイと住宅地に入れば、途端に人も車も疎らになるような、静かな、よくある田舎町の一角である。
それは突如として、私の頭上を煌々と照らした。
なに?
はっと声にならない驚きと共に、私は思わず空を見上げて、まるで時が止まったように動けなくなってしまった。なぜなら、私を突然強烈な明るさを持って照らし出したそれは、空を半分覆い尽くすほど巨大で、楕円形で、目が眩むような輝きを放ちながら、静かに横断し、空の彼方へ消えてしまったからだ。
UFO!!!
興奮して家まで走り、半信半疑な両親をつかまえて、その様子について事細かに話し続けたことを憶えている。
とにかく大きくて、空を跨ぐように放射線上に飛び、眩しくて、楕円形に光りながら、すぐにどこか遠くへ消えてしまい、何がなんだかわからなかったこと。色はまるで7色を混ぜたような、今までに見た事もない、複雑に光る色彩だったこと。
今でもその未確認飛行物体の正体は、勿論わからない。
宇宙人が乗っていたのかもしれないし、誰かが考え出した新手の悪戯かもしれない。もしかしたら神さまの魂かもしれない。はたまた私の脳内に現れた、幻覚症状だったのかもわからない。
それでも時々、私はあの時の光景を、はっきりと思い出すのだ。
あの物体?の正体が何だって構わない。もっと言えば、そんな事は何も関係が無い。ただ一つだけ、私がはっきりと言えること。
それは、不思議だけど、あの瞬間。
確かに、時が一瞬、止まったということ。
そしてそれは、あの光景を私が思い出すたびに、私を含む時間を、私という時間を、いつでも何度でも、確かに止めることができる、という事。
だから時々思うのだ。
生きてるって、実は、そういう事なんじゃないかってね。
そしてあの時の私は今もどこかで、ずっと永遠に空を見上げて、声にならない声を震わせながら、宇宙の迷子になってるんじゃないかってね。
私のささやかな思い出を知ってくださり、ありがとうございました。また、何処で。どうかコロナに負けず、お元気で。
Aisha
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