AIに丸投げするクトゥルフ神話TRPG#1 大前提
そうだ、AIにGMをやってもらおう
最近のAI、特にメジャーなChatGPTの進化は近年急に加速したようにも思える。
例えば、大人でも難しいような「●●●という単語を小学生の子供にわかりやすいように説明して欲しい」のように入力してみると、大筋は捉えたままで言い回しを柔らかく、本当に小学校の先生が教えているかのような返答をしてくれる。
また、漫画アニメのキャラクター情報を伝えると、さながらそのキャラクターと会話をしているかのような、夢のようなことをすることだってできてしまう。
そこで思いついた。
そろそろTRPGのGMができるぐらいのレベルになったのでは?
私はしばしば、仲の良い友人たちとTRPGというゲームで遊ぶことがある。
物凄く簡単に説明すると、ゲームマスター(以下GM)の人間が物語を読み進め、他のプレイヤー(以下PL)たちはその物語の登場人物(以下PC)になりきってお話を進めていくという、いわば大人のごっこ遊びだ。
AIの進化もかなり煮詰まってきた今日この頃、そのGMをAIに全てを丸投げして一本シナリオを完走できるのではないかと思ったので、やってみた。
結末だけ知りたい人用
本セッションを終えた結果だけを先に記載しておくと、
セッション自体は終了することができたが、シナリオの内容は事前に準備したものとかなり内容が変わってしまった。
想定はしていたが、進めていくにあたりシナリオがかなり破綻してしまった。
そこでなんとしてでもEDまで進めて、GMに「以上でTRPGを終了になります」、と言わせることを着地地点として定めた結果、通常のTRPGでやったら一発出禁レベルの禁忌を使用し無理矢理終わらせたというのが今回の結果である。
それを踏まえ言い換えるのであれば、
AIにTRPGのGMを務めることは可能ではあるが、人間のようにシナリオを"完遂させること"はかなり難しいと言えるだろう。
筆者は文才もなければ、先人のライター達のようなNoteの構成力もない。
行ってきたことをツラツラと記録しておくことにするので、あくまで今後誰かの足掛かりにでもなればと思う。
AIとの戦いを記録した備忘録本編は次回以降なので、そこだけ読みたい人は今回スキップしてもいいかもしれない。
構成力や面白さを期待してはいけない。
前提部分
今回行うセッションについては以下の通り。
1.セッション環境
・ChatGPT
今回は無料版を使用する。
2025年1月現在の無料版ではGPT-4o、機能制限中ではGPT-4にモデルのバージョンが下がる仕様になっている。
・ココフォリア
オンライン上でTRPGなどを行う際にBGMを出したり、背景や装飾などで飾り付けを行う事で雰囲気を演出できるオンラインセッションツール。
・友人方3人
何が起こるかわからないこんな無茶苦茶な企画に付き合ってくれた方々。
いつも一緒に卓を囲んでGMの胃をすり減らせる所謂イツメン。
スペシャルサンクス。
2.ゲームシステムなど
・クトゥルフ神話TRPG(6版)
TRPGにもいろいろなゲームシステムが存在するが、自由度の高さやAIによる多少の進行のブレが多くなることを加味し、なにかと融通が利きそうな本システムを採用。
・オンライン、半テキストセッション
今回は、インターネット上で行うオンライン環境、ゲームの進行をテキストで進めるテキストセッションという形式をとる。チャットみたいな感じ。
なお、PLの感情やPLとしての発言、ガヤは音声で行う。
3.目標という名の目的
・AIに一本シナリオを完走してもらう
今後、代理GMとして人数の穴埋めができるようになるなら、PL専の方々も敷居が低くなる手助けになればという願いもあったりする。無料版を使うのもこれが理由だったり。
・シナリオが破綻しないようになるスクリプトの作成
AIがちゃんと進行をできるようにするスクリプト(AIへの指示みたいなもの)をある程度形にできれば、2回目3回目と今後の精度を高めるきっかけにもなると思う。
どういう指示を出せば、どういう手順を踏むようにすれば精度が上がるのかを模索する。そしてこの備忘録を残そうと思ったきっかけでもある。
・全員初見状態でやるゲームってシンプル面白いやん?
実は今回の裏テーマ。
性格上GMをやることが多い私だが、GMを進めるにあたり当然だがシナリオ全体に目を通し、進行や展開を把握しなければならない。
PLで進めるにしても、当然その卓にはGMが存在しシナリオを把握しているので、時にはそれとない匂わせを仕掛けてきたりもする。
しかし、実際にシナリオをプレイするPL達が一切内容をわからない状態で未知に挑んでいく楽しさ、AIに1からシナリオを作ってもらい一切前情報がない状態で臨むワクワク感、面白くない訳ないでしょ。
AIに進行を丸投げするとは
AIに丸投げするとは言うものの、想像するのは物語の語り部として既存の物語を読んでいってもらう人物(GM)の代わりだと思っている方も少なくはないと思っている。
が、今回丸投げすると言っているので、本来であればGMがセッションを開催するにあたり必要になるものの大半をAIに用意してもらう。
では具体的にどのように任せるか、またこちらで準備する物については以下の通りである。
1.AIにやってもらう部分
・シナリオ本編
ゲームで進めていく物語そのもの。
普段はライターさんが書いた既存のシナリオを買ったり、無料の物を使わせてもらったりするが、今回そのお話本編をAIに書いてもらう。
最近のAIは物書きだってできちゃう。すごい。
・ゲームの進行
前述のとおり、GMとしてゲームの進行を行ってもらう。
物語を読み進め、新しい登場人物や探索を行う場所、未知の生物との邂逅など、全ては彼の裁量次第である。
ただし、進行がスムーズになるよう、事前に進行上のルールなどの指示は出す。詳細は後述。
2.こちらで行う部分
・ChatGPTとココフォリアの橋渡し
当然それぞれは別のアプリケーションなので、どうしてもチャットの送受信は手動で行わないといけない。
ほとんどコピペではあるが、まぁまぁ手間ではある。
橋渡しをする際に、微妙なニュアンスの修正とかも必要。
・背景、BGMの変更
省略可能な部分ではあるが、個人的にここは手をあまり抜きたくないというジンクスがあるので頑張る。
ココフォリア上で雰囲気を演出するためにそれっぽい背景を表示したり、その場に合ったBGMをつける。
プロンプトである程度分かりやすいパスを出してくれるような形を作りはしておく。
ざっくりこのような区分けになっている。
ChatGPTからの返答を渡したり、ココフォリアのチャットを渡したりという部分はどうしても手動になってしまう。
ココフォリアを使わずDiscordとかだけで完結させるようにすれば、この部分省略できそうではある。
うまいこと橋渡しできるプログラムとかが出てくればこの辺も自動化できそうではある。今後に期待したい。
大半を準備してもらうとは言ったが、準備物まぁまぁあるやんというツッコミは素直に受けるものとする。丸投げとは。
ここからの話題は人によって少々触れ方が変わると思うのでご注意を。
今回、背景やBGMなどはこちらで既にあるものを流用して使用するが、生成AIの成長も著しいものであり、それっぽいBGMを作成したり、背景画像を生成すれば、本当の意味でAIに全てを丸投げすることは可能だろう。
だが、個人的にはフリー素材を探しにインターネットの海を泳ぐという行為が好きなので、この部分は非推奨としておきたい。
さて、前提の話題は以上。
次の話題は実際にChatGPTに前提条件を指示したり、本セッション前にテストプレイを行うところまでを書いていこうかと思うが、さらに続けていくとかなり長くなりそうなので、一度ここで区切り別のページに書いていくことにする。
次回、事前学習編