Alice In Chains の『DIRT』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回は Alice In Chains の『DIRT』を聴いてみた編をお届けします。

重量感を伴うスロー&ヘヴィーなサウンドと、救いを許さないメロディセンス。

内に向いた攻撃性は、美しく繊細に病的に、世界を闇で包み込む。

是非読んでみて、聴いてみて下さい!

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1.Them Bones

「Ah〜!」だけで格好良いから凄い。変拍子みがある。不穏さとポップさと格好良さが入れ替わり立ち替わり。ドロドロした空気を纏ったギターの音色。1:12〜この歌のメロディ好き。間奏のギターソロ胸が苦しい。ジェリー・カントレルの死生観が反映された歌詞らしい。

2.Dam That River

重たくザクザクしているイントロ。エレキギターの音色がカッケーーー!内省的でありながら、高い攻撃性を持ち合わせている。1:58〜ずっと聴いていたいくらいドラマチックな間奏。

3.Rain When I Die

太く重厚なベースライン。歪みまくりのギターが蠢くイントロ。このスローテンポのお陰で一音一音がじっくり心に訴えかけてくる。1:50〜素晴らしい…。不気味でメロディアスでクール。ワウの効いたギター。ジェリー・カントレルとステイリーがそれぞれのガールフレンドについて書いた歌詞らしい。「アァア〜」の生気のなさ。一回音が消えて再び大きくなるの不思議。

4.Down In A Hole

しっとりアコースティックな雰囲気で始まる。突然の甘さ、溶けてしまう。それでも滲み出ている絶望感。ハモリが美しい。どれだけ美しいメロディはあっても、明るい雰囲気は一切ない。独特のこの重たさは一体なんなんだ…。終盤の歌声のハーモニーの美しさ、涙が出る。

5.Sickman

ここまでで一番疾走感がある。ヤケクソ。0:35〜突然ロックなワルツみたいになるの凄い。ドラッグ臭。ボーカルもこれまで以上に弾けた歌い方をしている。悲痛な叫びが響く。スローテンポには恐ろしさがある。テンポは遅かろうが展開は怒涛。教会にいる気がしてくるし、新種のお経を聴いている気もする。3:05〜赤ん坊の笑い声…?情緒不安定な展開が最後まで面白い。

6.Rooster

柔らかで純白なイントロ。夢の中みたい。コーラス美しい。静かに、着実に一歩ずつ歩みを進める。痛ましげな叫びに、心をガツンと揺さぶられる。普通なら上がっていくでしょ、みたいなところで、そんな期待をよそに落ちていくメロディ良い。美しく始まり美しく終わる。ジェリーの父親のベトナム戦争での体験を基にした歌詞。タイトルの「Rooster(雄鶏)」はジェリー・カントレルの父の少年時代のニックネームだったらしい。

↓ベトナム戦争を扱った衝撃的なMV(冒頭にジェリー・カントレルの父も登場してる)

7.Junkhead

「イェ〜〜!!」って言ってるのに、メロディが「イェ〜〜⤵︎⤵︎(どんより)」で面白い。死に近づいている。ネガティブオーラが空気いっぱいに充満している。ドゥームかと思うくらいスローテンポ。歌詞も次第にドラッグまみれになっていく。諦念と苦しみ、悲しさが痛い。暗さがドン底の底を突き破って何処までも…

8.Dirt

虫がしつこく耳の周りを飛んでいるような不気味なギターの音。段々と鬱屈さに遠慮がなくなる。なんなら磨きがかかっている。陰鬱さがこんなにも美しく奏でられているの、なんか危ない…死を誘発しかねない。スローテンポがさらにスローテンポになる時、心臓が止まりそうになる。

9.God Smack

ゴリゴリヘヴィなギターサウンド。もう多分そろそろ危ない…声の震えが物語っている。1:09〜後ろで鳴るワウワウなギター、奇妙で変態的格好良さがある。歌詞はやはりクスリ漬け状態。ドラッグが生み出してしまった狂気の賜物。サビが爽快で最高。

10.Intro (Dream Sequence)

なんだ…!!地獄か?!鬼?悪魔?死神?急に怖い。拷問されそう。突然地獄に落とされ困惑。

11.Hate To Feel

イントロから漂っている、得体の知れないヤバさが、歌が乗り本格化する。このスローテンポトラウマになりそう。0:43〜やけに中毒性ある。歌詞がもはや怪文書のよう。どこまでも不幸なサウンドを奏でるギターが止めどなく格好良い。無機質に呪文を唱えるように歌うボーカルが、耳に焼き付いて離れない。過激な終盤の盛り上がり、高まる。

12.Angry Chair

ギターフレーズがもう鬱…退廃…この世と別れたがっている。無感情にただ音葉を唱えているだけのようなボーカル心配。サビがキャッチーだから、こっちの情緒も訳がわからなくなる。「死」を描いた楽曲は最後に何かしらの「救い」を用意するというお約束、Alice In Chainsでは通用しない。(そこが良い〜!)

13.Would?

地面を削るような重さのベースからスタート。どの曲もボーカルの掛け合いが本当に美しい。燃えるようなサビ。残りわずかな生気を奮い立たせ、命燃やして歌ってくれている気がして、有り難みを感じる。最後まで力強く、だけど繊細に突き抜けていく。天才は短命・・・儚くて美しい。

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Alice In Chains、は 1987年にGt.&Voのジェリー・カントレル、Dr.のショーン・キニーによって結成されたアメリカのロックバンド。「AIC」とも略され、”鬱病のビートルズ”という異名を持つ。

Nirvana、Pearl Jam、Soundgardenと並びグランジ四天王とも言われるが、Alice In Chainsは基本的にヘヴィーメタルであるとジェリー・カントレルは言う。

アメリカだけで300万枚以上、全世界で500万枚以上の売上を記録したとされている。

今回のアルバムのボーカルを務めた一人である、元メンバーのレイン・ステイリーは”麻薬そのもの”という異名を持っていた。実際に、2002年ドラッグのオーバードースにより、34歳の若さでこの世を去った。

メンバーの脱退や加入を経て、Alice In Chains は現在も活動している。


↓絶望の世界で見つけた一輪の花のような、可愛らしいレビュー見つけました。

「柿ピーみたいなアルバムですなこれは!^^ 」

「僕はかっぱえびせん的だと思う。いずれにせよ、やめられないとまらないってこと。 」


重めのアルバムが続きましたが、どれも違う重さがあって面白い…!順調に深みにハマっております。

歌詞が凄かったです。あれは死の実感があり、死が見えている人じゃないと書けない言葉たちだと思いました。

ただ暗いだけじゃないのが Alice In Chains のずるいところ…!圧倒的な美しさとキャッチーなメロディライン!格好良かったな〜


次回は The Prodigy の『The Fat of the Land』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!

最後まで読んで下さり有難う御座いました。

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