Pink Floyd の『The Dark Side of the Moon』
こんばんは、内山結愛です。
今回はPink Floyd の『The Dark Side of the Moon』を聴いてみた編をお届けします。
太陽と月をモチーフに、様々な効果音と言葉で突き付け、映し出した人間の持つ狂気。
途切れることなく広がる、壮大で甘く華やかな狂気の世界。
ぜひ、読んでみて聴いてみてください!
1.Speak to Me
ずっと本物の心臓音だと思ってたけど、バスドラなんだな…こだわりが凄い。狂気の人生が始まる。男の怪しい話し声や笑い声、タイプライターの音、チャリーンの音、叫び声、色んな音がテープコラージュされている。よく耳を澄ますと、「俺は長い間狂っている」とか「人がなぜ狂っているのか説明するのは難しい」とか言っているらしい。
2.Breathe(in the Air)
ヒステリックな絶叫から、甘くまどろんだメロディで繋がって始まるイントロ、毎回感動しちゃう。夕暮れ時の真っ赤な夕日を、ドロドロにしたような音色。主人公がこの世に生を受けてから、成長していくまでの過程をかなり悲観的に描いた楽曲。歌声から漏れる悲壮感と切なさ、スローテンポが相まってウゥ…ってなる。優しくしないで…。
3.On the Run
繋ぎが全て凄すぎる…。急に速度を上げて、シンセサイザーが主役になる。気づいたら空港に飛ばされている。0:42〜めっちゃ息切らしながら空港内を走ってる。「パスポートをご準備ください」と言っている空港のアナウンス。またコラージュ的に色んな効果音やSEが使われていて楽しい。3:05〜飛行機絶対爆発した。大丈夫なの…?
4.Time〜Breathe (Reprise)
小さくチクタクなっている。時計何十個かありそう。0:10〜ギャーーーーーーー!!!来ると分かっていても、毎回しっかりビクッッってなってしまう爆音のベルの音たち。悔しい。2:27〜パーカッシブな壮大なパートを超えて、歌が入ってくる瞬間、好き。声がワイルドで、でもちょくちょく甘くて優しいのがわかっている。時間を無駄にしたらとんでもなく恐ろしいことが起こりそうな歌詞。3:23〜強く歪むギターの音が最高。ギターの大熱唱。コーラスが神々しくてソウルフル。終盤の展開胸が苦しい。
5.The Great Gig in the Sky
繋ぎが見事すぎる。毎回拍手しそうになる。美しくててメロディアスなピアノ。ジャジー。1:07〜虚空のスキャットが始まった。凄まじくソウルフル。魂の、情熱的なスキャット。この雄叫びがほとんど即興だと知った時、「嘘だ…!」と納得が同時に来た。「即興でいい感じにお願いします」って頼まれたら、自分ならプレッシャーで死んでしまうだろうな…下手したら声出なくなるかもしれない。最後の最後まで圧巻のスキャット。
6.Money
チャリーン!チャリーン!レジスターの良い音(編集に30日かかったらしい)。冒頭からめっちゃお金だし、歌入りも「Money〜!」でタイトルに忠実。小学生の時に同じクラスだった女の子が、「落ちた硬貨の音で何円玉かわかる」と言っていたが、それは未だに嘘だと思う。キャッチー。ベースラインが耳に残る。ライブで人気の曲なのも頷ける。ライブでこの曲始まったら、お財布からお札取り出して頭上でブンブン振りたい(?)3:09〜サックスソロからのギターソロへのバトンタッチ、有難う。おちゃらけ感があるのに、ずっと格好良い。おちゃらけ感があるのにずっと壮大さはある。トリッキーな拍の取り方も気持ち良い(7/4拍子らしい)。話し声。
7.Us and Them
話し声で繋がって始まる。話し声がフェードアウトして、天国みたいで美しい浮遊空間へ。強烈なエコー。全て夢みたい。2:53〜突如として壮大になるから、圧倒的すぎて笑いそうになった。ジャジー。歌声も柔らかい。4:25〜この爆発的壮大空間、迫力がヤバイ。厚みを感じる。サックスがずっと素敵。6:13〜狂い気味でも素敵。
8.Any Colour You Like
曲名のフレーズはヘンリー・フォードの自伝から引用したものらしい。メロディは同じだけどシンセみが強まっている。1:27〜強烈に震え揺らいでいるエレキギター。格好良い。
9.Brain Damage
繋ぎという繋ぎが全て良い。穏やかだけど、タイトルは不穏だし、歌詞の世界観でサイコスリラー系の映画を作ってほしい。心の内面に潜む狂気。誰にでも狂気はあるし、誰でも狂人になりうる。1:19〜コーラスの厚みと壮大さに体が浮いてしまいそう。ソウルフル。1:56〜この笑い声、一曲目で聴いたやつ!一曲目にアルバムの全てが詰め込まれている。
10.Eclipse
「狂気日食」という和訳、凄い。集中していないと次の曲に行ったのか分からなくない繋ぎ。ずっと穏やかに、華やかに、不穏なことを歌っていて、そのアンバランスさに魅了される。The Beatlesの「Ticket To Ride」のオーケストラバージョンのパッセージが流れているらしい。なんとなくわかるような、わからないような。最後の「And everything under the sun is in
tune. But the sun is eclipsed by the moon.」にゾクゾクする。心臓音で始まって心臓音で終わるところ好き。心臓音に紛れて、「There is no dark side of the moon,really.Matter of fact, it's all dark.」という爆弾を落としているところも好き。人生と狂気がここにある。
Pink Floydは、1965年に結成されたイングランド出身のロックバンド。「フロイド」と略されることもある。作品の総売上は2016年時点で2億5000万枚以上で、最も売れた音楽家のランキングでは第15位を記録している。
本作は、5000万枚以上売り上げ、アメリカのビルボードチャートに登場してから、741週間(約15年間)200位以内にランクインし続け、ギネス記録を打ち立てたモンスターアルバム。
時間、お金、戦争…など人を狂気に導くものをタイトルに、人間誰もが持っている“狂気”や強いメッセージを音楽で映し出すというコンセプトがもう凄い。
そう言った背景を知らずとも、色んな効果音にワクワクして、甘くて、気だるくて、壮大で、純粋に楽しめるアルバムだと思います。
↓こんな動機で、ある時期10日連続で聴いたこともあったけど、新鮮な気持ちで圧倒されました。
何も言わずに、急に『狂気』を連日聴き続ける内山を見て、みんなには内山こそ“狂気”だと心配させてしまいました。その節はすみませんでした…♡
次回は Yes の『Close to the Edge』をお届けする予定です。“狂気”からの“危機”お楽しみに…!
最後まで読んでくださり、有難うございました。