Sigur Rós の『Takk』を聴いてみた編
こんばんは、内山結愛です。
今回は Sigur Rós の『Takk』を聴いてみた編をお届けします。
アイスランド語の柔らかな響きと、透き通るファルセット、溶け合う轟音ギターとストリングス。
楽曲ごとに、異なる幸福が絶え間なく流れ込み、垣間見える翳りとの危ういバランスが美しい一枚。
ぜひ、読んでみて聴いてみて下さい!
1.Takk...
遠くにある光がこちらに少しずつ迫ってる。救い…?幻想的なアンビエントみたい。物凄くうっすらの聞こえる声。サイゼリヤの壁に描かれた天使たちが天から迎えに来ているイメージ。
2.Glósóli
静かに幕を開け、水。水をごくごく飲んでいるみたいな音。究極の幸福の音が鳴ってる。聴いたことない言語で一瞬ビックリした(アイスランド語で歌われているらしい)。軽やかで柔らかくも粘着質な発音に、透き通ったファルセット。前作の『( )』だけ聴いたことがあるけど、その空気感をこの一曲に詰め込んでいるみたい…本当に綺麗…。4:50〜ア〜天。昇天。バイオリンの弓でギター弾いてるの冷静になってヤバすぎる。格好良い。生で見たい。
3.Hoppípolla
ピアノの美しい旋律。この音楽が現世で聴けるなんて。0:55〜思いのほか性急な歌入りにグッと引き込まれる。幸せだけど何故か悲しくなる。幸せだから悲しいのか。2:17〜歌声の遠近。ゾクゾクする。肉体も精神もろとも、眩い光で天へと葬るストリングス。三曲目にしてこの世とお別れしそう…さようなら…
4.Með Blóðnasir
強制成仏ソングが続く。どこまで浄化されれば許されるんだろう。逆再生みたいなサウンドに飲み込まれる。盛り上がるコーラスと暴力的になっていくビートが神々しくてなんだか怖い…この幸せの裏には何かあるのではないか…?(ずっと脳内で「ミッドサマー」の映像が繰り広げられている。)
5.Sé Lest
幸福がバグり始めている。…と思いきや、バグりなど無かったかのように、目まぐるしく幸福が展開される。どこまで行っても幸福にぶち当たる。壮大な幸福。耳馴染みのない言語はどうしても「わからない」不安みたいなものがあるけど、その感覚含めて音を追うのをやめられない。6:36〜ここは夢の国…?穏やかな曲調に気を引かれているけど、展開は激しく変わっている。終始鉄琴の音が可愛いくて癒し。8:22〜カエルの喉みたい謎音、何の音!?
6.Sæglópur
カエルの謎音再び…!1:00〜ガラッと変わる。不穏なカエルのイントロから少しずつ幸福が流れ込んでいく。ボーカル儚すぎる。道端に小さくて可愛いお花を見つけた時の、ハッとした気持ちになる。2:52〜ズル。突然の轟音。格好良い。ズル。格好良い。生命力に溢れてる。儚いながらも力強く歌おうとするボーカル。ラストのストリングスの美しさ…残響音は不穏。
↓メンバーが自ら撮影・製作したMV。映像作品どれもこだわりが詰まっている…!
7.Mílanó
小さな幸せ、ささやかな祝福の音。眩しい…。アルバムタイトルの「Takk」はアイスランド語で「ありがとう」という意味らしいけど、こちらの方こそありがとう…ありがとう…!!4:12〜歌声がいつにも増して伸びやかで開放的で、嘘みたいに発光してる。ピアノの音がひたすら切ない。時間たっぷり使って音が消えていく。
8.Gong
突然めちゃくちゃバンドサウンド。これまでの曲たちと雰囲気が全く違って面白い。幸福とは一変してシリアス。疾走感もある。ボーカルも荒ぶっている。4:16〜情熱的で心震える。
9.Andvari
柔らかな幸福感に再び包まれる。清らかな川みたいな落ち着き。「I love you」という言葉が聞き取れてハッピーな気持ちになった。美ストリングス美。
10.Svo Hljótt
そろそろ妖精出てきそう。どんどん音と音が出会って、音数が増えていくドラマチック構成大好き。単なる幸福だけじゃなくて悲しさも含んで、奥深い幸福になっている。4:57〜ナイスダイナミック演奏。時々感情爆発するの気持ち良い。多種多様な幸福の登場で、幸福幸福言いすぎてカルトなレビューになってきた…
11.Heysátan
これがファイナル幸福か…。「Heysátan」を英訳すると「Sins of God (Revelation of the Savior)=神の罪」。神の罪って美しいんだな…はたまた美しいから罪なのか。朝方に車の長旅でパーキングエリアに降りて久しぶりに外に出て吸い込んだ空気みたいな、あの清々しさを思い出した。生々しく終わる。
Sigur Rós は1994年にアイスランドにて結成されたポストロックバンド。 バンド名の由来はバンドを結成した日に、メンバーのヨンシーの妹が生まれ、「Sigurrós」と名づけられたことからバンド名もその名前を取ったという。「Sigur Rós」は、アイスランド語で「勝利、薔薇」を意味する。ヨンシーはバイオリンの弓でギターを弾くボウイング奏法で有名なギタリスト。
アルバムタイトル「Takk」が、アイスランド語で「ありがとう」という意味なのもストレートで素敵!
ストレートだからこそなかなか付け難いタイトルな気がします。
タイトルの通り、さまざまな幸福と包容力で溢れていて、終始Sigur Rósなりの「ありがとう」に対抗するように、「ありがとう」の気持ちを持って聴いていました。
↓前作の『( )』を聴いた時の内山(おまけ)
改めて、ありがとう!!!!
ポストロック、聴けば聴くほど壮大な世界観にぶん殴られて、「自分はなんてちっぽけなんだ…」ってなってしまうな〜!
次回は Godspeed You! Black Emperor の『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』 をお届けする予定です。お楽しみに…!
最後まで読んでくださり、有難う御座いました。