V.A.『No New York』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回は V.A.『No New York』を聴いてみた編をお届けします。初のレコード!

爆裂するノイズ、異常なまでにパッションみなぎるボーカル。型破りな演奏をする4組のバンドによる音のテロリズム。

ニューウェイヴ・ムーヴメントが生み出したアバンギャルドな作品です。

是非読んでみて、聴いてみて下さい!

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1. Dish It Out - James Chance & The Contortions

テンポが速くノリが良い。サックスが狂ったように暴れ回っている。もはやサックスなのかわからないくらい。ヘンテコで情けない音が鳴り続ける。シャウト。金切り声で叫びまくる。全体的に情緒不安定。中盤から後半にかけてカオスが止まらない。「アゥアゥギャウギャウ」と、言葉にならない声でひたすら叫んでいる。

2. Flip Your Face - James Chance & The Contortions

不可思議なメロディー。歌は相変わらず独特なハイテンションを保っている。耳に残るリズムのフレーズ。ドラムギターボーカルサックス全ての狂気が絡み合っている。ずっと止まりそうな素振りを見せるが、止まらない。全楽器正気がなく、夢現な状態での演奏に感じる。根底には陽気さと反抗心。

3. Jaded - James Chance & The Contortions

使い古したブランコの音のようなサックス。空気が重く、暗く、そして怪しげ。ぽわ〜んとした光のような音が近づいたり遠ざかったり。ボーカルが誘惑的でおかしなテンション。上下の激しい自由気ままな抑揚。そこに様々な効果音が加わる。不協和音に不安を煽られる。終わり際の静けさが不気味。

4. I Can't Stand Myself - James Chance & The Contortions

一曲目のような耳に残るリズム感。初っ端から容赦なく音が混雑している。パトカーも来て、救急車も来て、人々がざわめいて…みたいなパニック感のある鍵盤の音。ボーカルは終始感情の起伏に無駄がない。山あり谷ありの異常なテンション。楽器よりもなんなら声の方がデカくて面白い。ギターソロみたいなパート、切れ味鋭くて格好良い。無秩序の極み。

5. Burning Rubber - Teenage Jesus And The Jerks

バンドが変わっても、不思議と曲のテイストとヤバさは継続されている。女性ボーカル。歌い方の語尾の処理の仕方、クセが強い。歌と一緒に楽器全体がピタッと止まっては進む。金属感強めのジャリジャリギター。普通ならJames Chanceのような個性的なボーカルの後はプレッシャーを感じるだろうが、こちらのボーカルも別ベクトルでのヤバさがあってバチバチ…!

6. The Closet - Teenage Jesus And The Jerks

ドラムの音に面白おかしくなってしまう。金切りノイズ音。今度は泣き喚くようなヒステリックなテンションのボーカル。曲全体もどんよりしていて粘着質。歌とドラムをバチッとはめるリズムの作り方。悲壮感漂う。

7. Red Alert - Teenage Jesus And The Jerks

テンポの良い工事。キンキンする系のノイズ。30秒ほどで終わってしまう。こんなヘンテコな音にも、足でリズム取ってノってしまう自分が怖い。

8. I Woke up Dreaming - Teenage Jesus And The Jerks

不穏な黒い音。語尾のクセ真似したくなる。ボーカルの言葉のリズムが楽器によって強調されることで、応援団みたいになって面白い。完全に三三七拍子みたいになっていて、不穏な雰囲気なのに笑ってしまう。終始ノイジー。

9. Helen Fordsdale - Mars

シリアスな雰囲気かと思ったら、すぐさまぐちゃぐちゃになって、凄まじいクセのあるボーカルが聴こえてくる。それぞれのバンドに、それぞれ化け物級の個性を持つボーカルが居るの奇跡だ。ブラックホールみたいにそこら中の音を吸い込んで、竜巻を作るように絡み合ってる。ボーカルヘロヘロすぎて近寄ってはいけない雰囲気が凄い。最後はあっさり。

10. Hairwaves - Mars

野蛮で野生的。これが初めて作られた音楽だと言われても納得してしまうほどに原始的。不気味で幽霊みたいになってしまったボーカル。ギターもビヨンビヨンとした音で鳴っている。危険な音のジャングル。やはり最後はあっさりしている。

11. Tunnel - Mars

これは納得の音のテロリズム。爆撃ノイズ。呪術的なボーカルとノイズと暴走族が調合されている。ボーカル、誰も知らない言葉を話している気がする。壮絶極まりない。テレビの砂嵐(激しめ)のような音楽。

12. Puerto Rican Ghost - Mars

幻覚のような音楽。数人で歌っているが、絶妙に息が合っておらず面白い。楽器陣は音の境目がよくわからないほどに混沌としいる。

13. Egomaniac's Kiss - DNA

ややブルースっぽい。ギターのカッティングが気持ち良い。やはりこのバンドもボーカルが強い。ドスが効いている。「シーッ」っと何度も言うが、本人が一番喚き散らしている。安定感のあるゆったりとしたテンポのまま終わる。

14. Lionel - DNA

怪しげにテンポを上げながら、ギターザクザクとかき鳴らす。甲高い。ヒステリックに掻きむしるノイズ・ギターの攻撃力高い。中盤に警告音のようなキーボード。その後もザクザクとテンポよく、たまに幻想的に突き進み、サクッと終わる。

15. Not Moving - DNA

全ての楽器が自分勝手に鳴っている。近くで聴いてたママが「これも音楽って言うの…?」とゾッとしていたのも頷ける。繰り出される音全てがハチャメチャ。ノイジーで金属質。壊れたように言葉を繰り返すボーカル。後半途中でテンポが変化する。

16. Size - DNA

ここまで聴いていると、この曲調にさえ明るさを見出してしまう。刺々しく性急なギター、弦がぶち切れそう。ハスキーなボーカル。最後まで聴くと決して明るくはなく、喜怒哀楽のどれにも当てはまらない音楽だとわかる。

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↑参加したバンドのミュージシャン達が載せられているなんかシュールなレイアウト

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1978年、元Roxy MusicのBrian Enoが、SoHoで観たロックフェスを機に製作。Antilles Recordsから出たコンピレーション・アルバム。
本作は、New Yorkで過激かつ前衛的な演奏を行っていたJames Chance & The Contortions、Teenage Jesus And The Jerks Mars、DNAという4バンド、各4曲ずつ、計16曲収録。Brian Enoは4バンド共にほとんど注文を出すことなく、手を加えることもなかったと言われている。本作は、坂本龍一が「もっとも好きなアルバム」と発言している一枚でもある。
DNAの中心人物であるArto Lindsayは坂本龍一を始めとして、角松敏生 、宮沢和史 、大貫妙子 、中谷美紀 といった日本人から、デヴィッド・バーン 、ローリー・アンダーソン 、マリーザ・モンチ など多くのアーティストをプロデュースしている。しかし、本人は譜面も読めなければコードもよくわからないという。


● ノー・ウェイヴ:ニュー・ウェイヴが世界の音楽シーンで大きな勢力を持つ中、対抗するようにフリージャズ、実験音楽、前衛音楽、ノイズ・ミュージックなどを演奏するバンドが出現。ニュー・ウェイヴの文字を風刺し、ノー・ウェイヴという言葉が作られたという説がある。

● ニュー・ウェイヴ:1970年代後半から1980年代前半にかけて流行したロックのジャンルの一つ。


今回は内山レビューで初のレコードでした!たまたま家にレコード機があって良かった〜!

針を落とす瞬間ドキドキしたし、説明書何回も読んだし、「レコード 一曲目 どこ」とか検索してしまった…

無事、A面B面ともに全曲聴くことができました。CDやサブスクが身近だからこそ、心躍る時間でした!いつもと違う音質も楽しかったです。

一応レコードではない音源でも数曲聴き直してみたのですが、レコードで拾いやすい音と、フラットな音源で拾える音とでは少なからず差異があるのだなと思いました。それもまた面白さ!


…それにしてもこのアルバムはヤバすぎる。

4つのバンドが集まっているのにも関わらず、こんなにも統一感があって、同じ目的、同じ方向を向いて音楽が作られているのには妙な感動がありました。

どのバンドもボーカルが個性バリ強くて面白かったです。


次回は Sonic Youth の『Dirty: Deluxe Edition』を聴いてみた編をお届けします。お楽しみに…!

最後まで読んでくださり有難う御座いました。

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