ロンあがりのための捨て牌統計
序盤から愚形リーチすべきか?
ポン・チー材を残すべきか?
リーチ者の現物で黙聴をとるために、危険牌を通すべきか?
七対子の待ち牌は何を選択すべきか?
これらは将来、他家がどんな牌を捨てそうか分かれば、効率よく判断できます。そのために河の状況を読んだり、点数状況を手掛かりに憶測していくわけですが、その場その場の読みに対する基準となるべき「平均的な捨て方」がどうなっているのか、知っているでしょうか?
そこで今回は、天鳳の対戦データ(天鳳位「CLS」さんの牌譜)を利用して、何巡目に何が捨てられてきたかを見てみます。
今回の統計では、一局を
①開幕 ~ 先制リーチ (or 終局)
②先制リーチ ~ 追っかけリーチ (or 終局)
③追っかけリーチ ~ 終局
の三つに分けることにして、今回は①・②に注目します。簡単のため、鳴きは考慮にいれません。
①開幕 ~ 先制リーチ (or 終局)
いきなりですが、牌の種類ごとに打牌頻度をまとめたグラフです。グラフが右肩下がりなのは、リーチが宣言され、遅い巡目の打牌の多くが区間①の集計対象外になっていることを表しています。
さて、この序盤の段階では(知ってのとおり)オタ風(灰色)→ 1・9(青)→ 役牌(ピンク・黄土色)の順で切られています。2~8の中では特に2・8が切られやすく、1~6巡目での平均打牌確率は、他の中張牌の3倍近くあります。3~7が切られる確率は同じくらいです。
上図はグラフ後半部分の拡大図です。リーチ宣言されずに巡目が進んだ場合は、1・9が最も切られやすい牌になりますが、赤5を除いて打牌の偏りはマイルドです。
②先制リーチ ~ 追っかけリーチ
ここでは、リーチ者の捨て牌と、リーチ宣言後の他家の捨て牌を「現物」と呼ぶことにします。終盤戦では捨て牌のほとんどが現物といった模様になります。
オレンジが現物で、青が現物以外です。また現物以外といっても、その内訳をみると字牌や1・9牌が多いです。また、5に近い牌ほど遅く出てくる傾向にあります。
現物牌として打たれる牌ですが、その内容には大きく偏りがあります。そもそも初期の捨て牌が現物牌となりやすいためか、字牌や1, 9・2, 8が打たれやすいです。他家リーチ後の現物待ちに期待するなら、平均的にはこれらを待つターツを持っておくのが得策ということになります。
また、ほとんどの場面で切られにくい赤5牌ですが、中盤以降の現物は別です。赤鳴きや黙聴赤ロンによる打点アップを(無理やり)狙うとしたら、遅い巡目まで粘る必要がありそうです。
数牌
両面待ちに当たらないようにする(ケア)には筋による方法と、壁による方法の2種類があるのですが、壁は利用できる機会がそもそも少ないためか筋によるケアが大多数です。
これを見ると、特に序盤は無筋や片筋押しも多いことがわかります。ただし無筋4~6の打牌だけはあまり期待できません。また筋をつかった打牌は終盤が近くなって出てきます。(特に4~6)
字牌
字牌を切るときの判断材料は、場に何枚見えているかという点と、自分には何枚見えているか(自分は何枚もっているか)という点の二点です。対子や暗刻を崩す場合、和了は遠のきますが、見えている枚数が多い分シャンポンや単騎に当たりにくくなります。
上図は、現物以外の字牌の打牌頻度をあらわす図です。
上下が場に見えている数を表していて、上から順に生牌・一枚切れ・二枚切れ・三枚切れの牌を表しています。左右が打牌した人に見えている総数で、一番右が単騎にも安全、右から二番目がシャンポンには安全であることを表しています。また、左上から右下の対角線が孤立字牌切り、一つ上の斜めのラインが対子落とし、もう一つ上のラインが暗刻落とし、一番右上の角が暗槓せずに牌を切ったことを表します。
特徴的なのは、一枚切れの風牌の対子落としが多いことでしょうか。中盤に七対子を聴牌したときは参考になるかもしれません。
補足
この記事で集計している打牌頻度とは、1局の1巡あたりの、その種類(「三元牌」など)に属する牌1枚当たりの平均打牌数のことです。つまり、種類ごとの枚数差(三元牌は12枚、赤5は3枚という差異)は補正してあります。また、種類「5」には赤5牌は含まれません。したがって5・赤5全体でみると、4・6牌と比べて出にくい牌となっています。
Credit: Header original photo by Scott Schiller (https://www.flickr.com/photos/schill/14861915361), licensed under CC-BY license.
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