デーリー東北「ふみづくえ」執筆⑩最終回|白いモノリス
告白しますが、1年前にデーリーさんからふみづくえの執筆依頼を頂いてから3カ月程度で全10回中9回分を書き上げてました。それだけでは飽き足らず、こことは別にネットにもエッセーを掲載している始末。書きたいことが多過ぎる。皆さま、このようなやかましい物書きによくぞお付き合いいただきました。
さて残念ながら今回で最後となります。最終回だけは書かずに取っておいてありました。何を書こうか、じっくり町じゅうの風景を思い浮かべました。ありました、ありました。最終回にぴったりの風景が。
野っぱらに急に出てくる白いモノリス。階上町では、時折このような物体が点々と立っているのを目にします。はて、近づいてよくよく見てみると、冷蔵庫なのです。粗大ごみにしては、処分されずに何年も同じ場所に置きっ放しになっており、電源も入っていないので冷蔵庫としての用途でもなさそう。不法投棄にしてはいつまでたっても姿変わらずぽつんと置かれていることが多く、大体は通り沿いにあるのです。撤去もされないところを見ると、どうも現役でなんらかの仕事をしているらしい。皆さまお分かりになりましたでしょうか?
この野良冷蔵庫の謎は、町内フォトスポットラリーイベントの時に、地元識者の解説によ
り解明されました。白いモノリスの正体は、なんと新聞受けでした。し、しんぶんうけー⁈
なるほど、ランダムに点々と設置されている理由も、電源が入っていない理由も、道路沿いにあるのも筋が通ります。なんなら完全密閉防水機能まで付いていて、紙が濡れないホスピタリティーも完備。雪が降ったり氷点下になったりしても、ドアが張り付くことなく開け閉めが可能。なんという生活の知恵でしょう。
なんとなしに通り過ぎていく風景の中に、こういったちょっとしたミステリーは隠れているもので、発見した時には地元の解像度が上がったな、と思います。
この連載を読んでくださった地元の方々から、よくこんなにネタを発見するものだと驚かれるやらなんやらかんやら、うれしい感想を頂戴しました。子どもの頃から住んでいると当たり前になってしまって、言われてみればそうだな!ということもあるのだとか。
日々地元うんちくのレベル上げをしていましたら、おかげさまで町内外のイベントを教えていただける機会も多くなり、あえて「予定を入れない」という予定を入れないと、毎週末遊びに外出してしまうという幸せな悩みを抱えることになりました。求めよ、さらば与えられんとはよく言ったもので。
というわけで、宴もたけなわではございますが、最終回は新聞にまつわるネタでお送りいたしました。面白がってくださった皆さま、ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。
あーもしもし?文化部さんですか?もしよければ連載継続全然大丈夫なんですけど、もしもーし聞いてま……あっ文字数が足りない待って待って(フェードアウト)
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そしてこちらが元ネタになった白いモノリスの正体です