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【創作大賞2024 恋愛小説部門】知見寺家の蔵には運命が眠っている 第4話

【第四話 ぬるい夜空に星見酒】

  
 週末はいつも、早朝から日暮れまで遺品整理だ。紺洋さんの日記はまだ、見つかる気配はない。
 それでも進むものは進んでおり、今日はとうとう、蔵の二階が片付いた。
 大量の書物を整理して目録を作り、分類ごとに並べ直す。必要があれば修繕予定の本を集めた棚に移す。そうして最後の一冊を棚に戻したころには、気が付けばすっかり日が暮れていた。
「っはー……終わった……」
 蘭さんが盛大に息を吐く。まだ二階だけですけどね、という言葉を、今日はさすがに飲み込んだ。これだけ大変だったのが、一部だけでも区切りがついたのだ。水を差すのは忍びなかった。
 ぐるぐると腕を回して、うー疲れた、と蘭さんが床のカンテラを拾い上げる。すっかり暗くなった窓の外を見て、すまなさそうな眼差しが私を捉えた。
「悪ぃ。ずいぶん遅くなっちまった」
「いえ。あとちょっとだから手分けしてやっちゃいましょう、って言ったのは私ですし」
 そこからずいぶん長かったですけど、と苦笑して、私は喪服のスカートをぱん、と払う。あとで埃取りのブラシを貸してもらおう。
 ちらと辺りを見回せば、蔵の中はすでに夜になっていた。換気のため開けた窓の外に光はなく、古いカンテラの明かりだけが頼りだ。
 重い観音開きの扉を引っ張って、蘭さんが窓を閉める。ぎい、と音がして、ランタン以外の光源がゼロになった。紺洋さんの遺した大切な空間と知ってはいるものの、作業を終えて窓を閉めるこの瞬間ばかりは、いつも少しだけ怖い。
 蘭さんの先導で、細い階段をぎしりと下りていく。金色のつむじから、そうだ、と声がした。
「てめぇ明日休みだろ。メシ食って帰るか」
「え、いいんですか」
「今から帰ったら遅くなるだろ。家にもうメシあるっつうなら、いいけど」
 とん、とん、と階段を下りながら、蘭さんの後ろ姿が私を窺う。少しばかり考え込んだ。ランタンの明かりを頼りに、ちらと腕時計を見る。夕食の用意がはじまっているかどうか、正直微妙な時間だ。でも。
(……ちょっとお腹すいたな)
 家の人には悪いけど、この空腹具合だと、帰宅まで頑張るのは少しつらい。私はわかりましたと頷いた。
「せっかくですので、ごちそうになります」
「おう。ちゃんと家には連絡しろよ。なんだったらあたしも挨拶すっから」
「それは結構です」
 即座に断る。このガラの悪すぎる人を、電話口に出したくはなかった。いろいろと面倒なことになる予感しかしない。
「おい。いま失礼なこと考えたろ」
「気のせいですよ」
 蘭さんがチッ、と舌打ちした。思わず吹き出す。
「別に考えてません。蘭さんみたいな不良を親と喋らせたくないだとか、家にバイトの仔細がバレたら面倒だから、余計なことしないですっこんでてほしいとか、そういうことは全然」
「全部言ってんじゃねえか……ピーマン食わせっぞ」
「明日から洗濯ぜんぶ乾燥にしてあげましょうか」
 そのキャミワンピを軒並みくちゃくちゃにしてやる、と言う意味で言ったのだが、蘭さんは不思議そうに首を傾げるだけだった。どうやら、デリケート衣類を乾燥機にかければどうなるかも知らないらしい。末期だ。
 開け放っていた扉を抜け、外に出た。さやさやと、春の夜風が前髪を揺らす。気持ちのいい夜だ。
 薄く目を細めて、私は蘭さんを振り返った。
「で、夕飯どうします。今日は作り置きないですよ」
「うーん……あっ」
 ぱちん、と蘭さんが指を鳴らした。暗い庭内、ランタンの明かりを受けて、蘭さんの目がきらっと光る。口元にいたずらっぽい笑みが浮かんで、とても楽しそうに彼女は言った。
「なあ雨宮。どうせなら、楽しいことしようぜ」

        ※

「――で、星見酒ですか」
「そ」
 蘭さんがニッ、と笑う。蔵の奥から引っ張り出した緋毛氈を庭に敷き、その上に食べ物や飲み物をあれこれ並べて、私たちはぼんやりと空を見上げていた。
 知見寺屋敷はかなり広い。おまけに、この辺りは古い家ばかり立ち並んでおり、夜に目立つような光源はない。結果、星を見るにはなかなか適した環境が整っていた。
「見事なものですね」
「だろ」
 降るみたいな星空だ。私の家もそれなりに閑静な住宅街にあるが、ここまで闇の綺麗な夜はない。
 ふわ、と手元の湯呑みから、香ばしい湯気が立ち上った。ず、とほうじ茶をすする。蘭さんの手には、湯呑みではなく発泡酒の缶があった。
 正座した膝の側、私の前には、プラスチックの弁当容器がある。蘭さんが電話で呼びつけた弁当屋から買った、六九〇円の唐揚げ&野菜おかず弁当だった。
 とん、と蘭さんが発泡酒の缶を置く。その隣には、とりどりのつまみが並んでいた。あたりめ、チーズ鱈、カルパスなど。
 こんなのでお腹が膨れるんだろうか、と思いつつ、私は弁当に手を付ける。もくもくと食事を続ける私の横で、夜闇ごしの蘭さんが楽しげに缶を傾けた。ちら、と私の手元を見る気配。
「てめぇ、ほんっと箸使いきれいだな」
 感嘆したような吐息。その蘭さんはといえば、さっきからずっとおつまみを手掴みで食べている。
「蘭さんは、もう少し美しく食べてください」
 呆れ混じりのため息に、蘭さんがはッ、と鼻で笑った。暗闇に浮かぶ白い指先が、つまんだあたりめをひらひら振る。
「わかってねぇなあ。これがうめーんだよ」
「わかりたくないです」
 にべもなく言い放った。けれど蘭さんは懲りる様子もなく、結局は安酒とコンビニの乾きもんが一番なんだよなぁ、なんて笑っている。本当にこれが知見寺家の、あの紺洋さんの跡継ぎなのだろうか。
 何度思ったか知れないボヤきを思いつつ、私は黙って箸を動かした。大ぶりの唐揚げに添えられたおかずの中から、油で炒めたピーマンをつまみ上げる。躊躇なく口に入れようとしたその瞬間、
「――ほい没収」
「えっ」
 するっ、とすぐ隣から手が伸びてきた。細い指が箸の先からピーマンをさらっていく。あ、と言う間もなく、蘭さんの薄いくちびるが開いて、緑の野菜はその中に消えた。
 むぐむぐ、と噛み締めた口の中身もそのままに、蘭さんがバカだなてめぇは、と呆れた声を出す。表情は暗くてよく見えない。
「もうちっとワガママ言えっつったろ。せめて残すって選択肢はねぇのかよ」
「いや、ないですよそんなの……」
 ピーマンが大嫌いなのは嘘じゃない。ゴキブリと並ぶレベルでこの地上から消えてほしい存在だ。でも、それと出された食べ物を残すことの間に、因果関係は一つもない。
 私の返答に、蘭さんはこくんと喉を鳴らすと、あァ? となんとも言えない声を上げた。
「育ちいいなぁ、あんた。親御さんにさぞ大事にされてきたんだろうよ」
「……」
(それは――)
 どちらかというと、蘭さんのほうだろう。
 親御さんは早くに亡くなったと聞いたが、それ以上に、蘭さんは紺洋さんに愛されてきた。このひとがありったけの愛情と叡智を惜しむことなく注がれてきたことは、普段の様子を見ていればすぐわかる。
 気が付けばうつむいて、黙り込んでいた。うまく言えない感情が、胸の底をゆっくりと動いている。すぐ隣で、なんだよ、と蘭さんがぼやく声がした。
「あ。また大人ぶって、とか思ってんだろ」
「思ってませんよ」
「うそつけ」
 夜が暗くてよかった。蘭さんは聡いから、明るかったらきっと気付かれていた。私はひそかに息をつく。そっと星を見上げた。光の粒が今にもこぼれ落ちそうな、ほんとうに見事な星空だ。
 そよ、と夜の風が頬を撫でて、闇の奥で百日紅の葉がさらさらと音を立てていた。あたたかだった春の空気は少しだけ温度を下げていて、湯呑みごし、ほうじ茶のぬくもりが快い。
 淡い闇の向こうで、蘭さんがそっとこちらを向いた。そういやさ、と遠慮がちな声。
「家の人、大丈夫だったか。急な連絡だったろ」
「むしろ喜んでましたよ。お夕飯を御馳走になるほど仲良しなのは、すごく良いことだって」
「ならいいんだけどよ」
 それだけ言うと、蘭さんは少し黙った。なんとなく、窺われているような気配。私は小さく息をついた。
「……べつに、親子仲は良好ですからね?」
 釘を差すように言うと、蘭さんがひょいと肩をすくめる。さっきうっかり口をつぐんでしまったのは、どうやらとっくに気付かれていたらしい。ならいいけどよ、と、また同じ台詞が聞こえてきた。小さく息を吐く。
「前も言ったじゃないですか。義理も恩義も積もる不孝も、おまけに愛情もたっぷりある、って」
「ふうん」
 蘭さんはそれ以上追及せず、黙って発泡酒を傾けた。最後の一口を飲み終えて、上下逆さにした缶を口の上で振っている。お行儀が悪い。
「ちょっと。紺洋さんから、行儀作法くらい教わっているでしょう」
 ぽつ、と何気なく言ってから、しまった、と思った。蘭さんがぴたりと動きを止める。そのまま、細い手がゆっくりと缶を置いた。あぐらから片膝を立てて、金髪の輪郭がそっとこちらを向く。夜の中で淡く光る、色素の薄い瞳。
「……そこでジイさんの名前を出すのは、ちっと卑怯だろ」
「失言でした。すみません」
 そうだった。いくら蘭さんがいつも笑っているからと言って、この人は親代わりの祖父を亡くして、四十九日もまだ終えていないのだ。
 ごめんなさい、と頭を下げる。蘭さんが、ふ、と苦笑する気配があった。ぽん、と頭の上に手が乗った。そのまま、ゆるく髪を撫でられる。
 叱られた子供を、なだめるみたいな仕草だった。気に食わないと思うのに、今の私はそれを咎める資格がない。黙ってされるがままになっていると、蘭さんがそうさなあ、と小さく呟いた。
「ジイさんは、いろいろ仕込んでくれたんだがなぁ」
 あたしは不孝者だったから、と笑み混じりの声。なんと言っていいかわからなくなる。髪を撫でる手が離れて、私はそろりと視線だけを持ち上げた。
 蘭さんの横顔は、静かに星を見上げていた。薄闇に溶けてはっきりとは見えないのに、なぜだろう、その表情がどこかさみしそうに見える。私は小さく、不孝者なんかじゃないです、とささやいた。慰めにすらならない、陳腐な言葉だった。
「……どうなんだろうな」
 掠れた、小さな声。蘭さんは両膝を立てて、背をかすかに丸くした。金髪が、さらりと肩から滑り落ちていく。
「言っちまえば――あたしのせい、みたいなもんだからさ」
「……え?」
 思わず問いかけた私に、蘭さんは返事をしなかった。ただ黙って膝を抱えると、裸足の指先をもぞもぞと動かしている。
(蘭さんのせいって――なにが?)
 疑問を、口にすることができない。これ以上失言を重ねたくはなかった。ただ黙って蘭さんの続きを待つ。
 さやさやとゆるい風が夜を通って、百日紅の葉が静かに音を立てる。空いちめんに散らばった星がまたたいて、きらきらと美しい。闇は淡く、穏やかで、蘭さんの静かな声が、その中にふっと響いた。
「こんなんでもあたし、跡継ぎだからさ。ジイさんに通り一遍のことは、ぜんぶ仕込まれたんだよ」
 礼儀作法から儀式の方法、占い道具の由来や効果、託宣の詠み方と伝え方、依頼を受けるかどうかの基準とか、お偉方との会話の決まりごととか、まあ一通り。そう蘭さんはつぶやいた。
「そんである日、〝相談〟の練習をさせられたんだ」
「練習って……二者択一ですか」
 こくり、と人影が頷く。他愛ない練習問題さ、と小さな声。
「ジイさんが、一人で病院行くってんでな。帰り道を、バスか電車か選べって」
 それはたしかに、あまりにも他愛ない二択だ。ただの練習だよ、と蘭さんは言う。
「吉凶はあまり気にせず、託宣の詠み方だけ考えろって。そんであたしは、ジイさんを占った。結果は、バスだった」
 その帰り道さ。小さな声がぽつりと響いた。なんとなく、予感のようなものを感じる。私は黙って、蘭さんの続きを促した。
「バス停からうちの間に、公園があんだろ」
「あの、藤棚の……」
 蘭さんが頷く。静かな声が、そっと続けた。
「その公園を抜ける途中で。ジイさんは、階段から落ちた。大腿骨骨折だった」
「っ……」
「それっきり、入院からの要介護。さらに末期癌まで発覚して――ジイさんは、一度も家に帰ることなく逝っちまった」
 細い腕が、ぎゅっ、と立てた膝を抱え込む。小さな、とても小さな声がした。
「葬式で、聞いたんだ」
「なにをですか」
「ジイさんの言葉。親戚から」

『本当は……あと一度でいい、あの文机の前に座りたかったなあ』

「……っ」
 思わず息を詰めた私に、蘭さんはかすかに笑った。
「あたしの前じゃ、帰りたい、なんて素振り、ひとっつも見せなかったクセによ。なんだよあのジジイ。気ィ使ってんじゃねぇっつうの。なあ?」
「……それ、は」
 それで、思い出した。初めてこの家に入ったとき、親族の皆さんが、揃って私に頭を下げて言ったことを。蘭さんを連れ出して欲しい。なぜなら、
(葬儀からずっと、何日も地下に閉じこもってるから、って――)
 初七日もしたくない。跡も継ぎたくない。外にも出ない。蘭さんのことだ、下手をすれば、食事すらろくに取っていなかったに違いない。その理由は、きっと。
(紺洋さん……)
 なにも言えなかった。うまい言葉も、上手ななぐさめも、一つたりとも出てこない。こういうとき痛感する。私は子供で、人生経験のひとつもなくて、目の前で傷付いている人のため、口を開くことすら上手にできない。
 黙り込む私に、蘭さんはいいよ、と笑った。私の悔恨も、痛いほどのもどかしさも、全部わかっているみたいな笑みだった。
 夜の風に金髪がかすかにたなびいて、蘭さんが静かに遠くを見る。
「なにがつらかったってさ。納得しちまったことだよ」
 納得。蘭さんが、運命と同義だと称するもの。
「あたしの選択が、ジイさんの運命に介入した。そのせいで、ジイさんは家に戻ることもできずに死んじまった」
「そんな」
「わかってるよ、バカバカしいって。雨宮じゃねえけど、それこそ非科学的だって。でもさ」
 納得しちまったんだよ、と、掠れきった声がこぼれた。
「頭では馬鹿だってわかってる。でも、心が納得しちまった。運命だと思っちまった。それが――いちばん、つらかった」
 五月の夜、あたりの夜気はぬるいのに。心許ない蘭さんの背中が、なんだか妙に寒そうに見えた。
 せめて、と手を伸ばした。ずり落としていたジャージを、そっと肩に着せかけてやる。蘭さんが、ずっ、と小さく鼻をすすった。三角座りの脚を抱えて、膝頭に額を押し付けて、こらえるような声がする。
「運命とは納得のことだ。あたしたちは運命を唱えて選択を迫る。でも、それが幸福とは限らない」
 もっといい方法があったかもしれないんだ。静かな声が言う。
「それでも、例えもう片方の選択が幸福で、託宣で選ばせた方が不幸だったとしても。あたしたちはそれを飲み込まなきゃいけない。それが他人に神秘を機能させた人間の責任だ」
 ぎゅ、と膝を抱えた手に力がこもるのが見えた。蘭さんが、ゆっくりと顔を上げる。真摯な瞳が、一度だけまばたいた。
「あたしが、日記を探してるのは」
 嘘みたいに綺麗な星空を背負って、薄いくちびるが静かに動く。夜のさなかに金が揺れる。
「覚悟を決めたいんだよ」
「……かくご」
 ぽつり、とつられるように声が漏れた。蘭さんがうなずく。
「他人の選択を踏み荒らして、これが運命だって納得させて、他人の中に神秘を機能させて生きていく、覚悟が。だって」

 あのひとは――それができていたから。

 続く声はとても静かで、まるで祈りみたいで、切実だった。横顔の、整った稜線に沿って、くちびるがうっすらと引き結ばれる。嘘のない、真剣な、まっすぐな表情がそこにあった。暗闇の中でなお、蘭さんの横顔は清潔で、綺麗だった。
(……このひとは、)
 心臓の底が、震えるような感じがあった。なにか水のように透明で美しい感情が、私の中のいちばん奥から、こんこんと湧いてくる。喉のあたりが切なくて、胸がぎゅっと苦しくなった。
 このひとは、ただのらくらと逃げていたわけじゃない。いい加減なだけのひとじゃない。
 蘭さんは、自分にできる一番ちゃんとした形で、心をきちんと整えて、運命を作る覚悟を決めて――その上で、紺洋さんの後を、正しく継ぐつもりなんだ。
 うっすらと半開きになった口、指先がしびれるような感覚のまま、呆然と蘭さんを見つめた。
 私の様子を知りもせず、蘭さんは小さく笑って、電子タバコを取り出す。小さな光がきらめいて、指先がタバコをセットする仕草。一呼吸置いて、ふわ、とメンソールの匂いが漂った。
 白い指先が辺りをさまよって、新しい発泡酒のプルタブを立てる。気が付けば私のほうじ茶は、すっかりぬるくなっていた。なのに湯呑みに触れた指先は、妙に熱を持っている。心臓の奥が引き絞られたように切ない。
(――……グラグラする)
 感情の正体がわからない。紺洋さんの記憶と、蘭さんの言葉と、私にまとわりつくありとあらゆるものが混じり合って、どうしようもない気持ちになる。
「ああ、ほんとに――いい夜だな。雨宮」
 上を向いた蘭さんが、歌うようにささやいた。返事ができない。ただ途方に暮れて、同じように夜を見上げる。音が鳴りそうな星空と、隣の人のかすかな体温。
「……そう、ですね」
 かろうじて、答えることはできた。でも、それ以上なにも言えなかった。どこか深い場所がさっきからずっと震えていて、息がうまくできないでいる。胸の内を荒らしていく、よくわからない感情にただ、耐える。
 見上げた先、五月のぬるい夜空には、散らばった星の光がこぼれそうにあふれていた。百日紅の葉がさやさやとこすれる音が、まるで星のまたたく音みたいだと思った。


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