雨の夜
シガーロスのアルバムがちょうど一周したので、そろそろ眠ろうと電気を落とすと、急に外の雨の音が気になりはじめ、あの雨の夜の事やら雨の降っていなかったあの夜の事などが次々と記憶から引きずり出された。
私が選んだことや捨てたことが頭の中いっぱいに市場のようにゴタゴタと並び、すっかり眠れなくなった私は、新しく買ったシングルベッドの上で、気に入っているのだから君が持っていくといいと譲ってもらったセミダブルの掛け布団を身体にぐるりと巻き付けて小さくなった。
このちぐはぐさを抱えて、もう一年になる。
この1年で変わったことは、読書量と眼鏡くらいのものだ。
相変わらず眠りは浅いし、洗濯物はギリギリまで溜めてしまう。
変わらず生活のほとんどが薄靄がかっているし、仕事も何かとうまくいかない。
そうこうしているうちにまた季節が変わっていく。
じめじめとした空気。うっすらと汗ばむ肌。
雨はまだやまない。
うねる髪さえ私をここに置いて。