遺書
雪だるまと太陽
汽車に揺られたまま
数式化と可視化
知能を得た代償
猿のままで
ドストエフスキー
アルジャーノンに花束を
枯れていく植物をみているだけ
死は救済ではなく
平等に与えられた
言葉の暴力
青空に浮かぶ月
泥まみれのスニーカー
睫毛に虹があること
地下鉄、ホームドア
窓についた指紋
友だちごっこ
くだらない
季節だけが移ろう
死がもたらすもの
やわらかな傷跡
勝手に背負っているだけ
神が存在するのなら
青空を憎んだ
破壊されたもの
自然の猛威
人間の過ち
走り去る雲
置き去りにされた
魂の数は定められているのか
草木に宿る魂
殺された動物
生産されつづける
意味のないもの
耳鳴り、幻聴
こころは胸の内にあると信じる者
世界はすべて偽物であり
何もないどこまでも続く白い部屋
からだはただの容れ物に過ぎず
行為は愛だと言い張る者
満たすためだけの道具
理解することと寄り添うこと
廃れた町
争うこと、殺し合うこと
地球の誕生から何度やり直しても
本当の平和
蟻を踏む
降り注ぐ雨
きのこ雲
溜まっていく薬
空虚
静かにして
何も感じないの?
犠牲となった者
匂いと記憶
果てのある旅路
夢の中で死んだ
干渉
星空を見たがる人々
失われた星空
街の明かり
欠陥人間
奪われた自由
道に咲く花
実のなる木