星が瞬きうたいだすころ あの日の公園で 優しい話だけを持ち寄って ほら明日はこわくないよ 涙を瓶に詰めて色を付けるんだ もう傷つけなくていい 花束みたいに抱えた痛みは海に流して 愛することがわからなくても 目や口やその手から溢れ落ちる優しさ 祈ってる 祈ってる 雲間から差すひかりに吸い寄せられるように 歩きだすんだ今 君が教えてくれた世界が救いになってる 水たまりに映る昨日を許して 空色の朝あくびをして深く息を吸う ここにいる ここにいる 青藍のような眠りに就くころ
透明な朝が照らすグラスの反射するひかりになれたらいいのに いつかの呪い(まじない)がいつからか呪い(のろい)に変わっていた ここから走り出したいよ ぬるい湯船に溶けては肌に纏わりつく後悔 せめて今の僕だけでも愛せたらな 生きている僕らは 些細な言葉で 傷ついた心を 癒してやれないまま 夜明け前をたゆたうそれだけの容れ物に明日はやって来るのかな 吸って吐いて1と0を行ったり来たりでも前にちゃんと進んでゆけてるのかな 小さな花柄のクッキー缶に仕舞い込んだ優しさは錆びつ
わたしは死んだ 夢は現実だし 現実は夢 だからわたしは死んだ そして今生きている レモンを齧って シルバーグラスは蔓延るばかり マムと南天は枯れた 桜のカスクは薫り 生卵に生卵を埋め込んだ 肋骨は浮かび上がり その隙間に指を嵌める わたしは死んだ 嘘は真実だし 真実は嘘 レモンシトロンをひと口 割れたワイングラスは フロストフラワー 溢れた灯油に火をつけると 桜の木は燃えてしまった 鈍行鈍痛 ニュースの中で未来を知った 価値は¥150 薬を飲んで童謡を歌う 吐いても吐いても
錆びた弦 愛した跡 色褪せたポストカード 埃まみれの花 晴天の雨 菓子の空き缶を隠す 宝物とたくさんの薬 知らない曲 流行りの曲 赤い口紅 捨てたネックレス 蕾のまま枯れた 種になる前に摘まれた 秘事 思い出は哀しい もう二度と聴くことのない 棘は抜けない 唇を噛む 冷たい雨 冷たい部屋 赤い電車 時計の針は止まり あの日のままの暦 泥に沈んでゆく 流星に何を願うか 呪いを解いて 掬えないもの 手のひらをすり抜けて 幼い頃に描いた絵 窓に烏のフン 優しい痛み 半端なものばかり
灰になって踊りたい 草むらでひとりきり たこ焼きをたべました 煙草に火をつけて 陽が落ちかけの かがやく水面へ やさしいうた声 反射して 鏡にうつるわたしを 揺れるスカート ワイングラスを割った 玻璃の花 Aが押せなくなったキーボード 花柄のワンピース わすれないでね あなたの体温 つめたい手足 まっしろな肌 愛がどうだとか マニキュアを塗ってよ わたしは死んでなんかいない 屋根の上からみる星空 ひとりぼっち 投げKISSをあげるよ 花火がみたい 竹とんぼがうまく飛ばない ま
湿気った煙草 斜に構えた 青すぎる空 嘲笑う太陽 手首の傷 空いたワインボトル 包丁の尖 抜けない指輪 呪縛 樹海の糸 開け放たれた窓 蝋燭 五月蝿い 空洞 子どもたちの声 四つ葉を探して 揺れるブランコ 空虚 誰も居ない 切れない鋏 色とりどりの黒 淀み 幸せの形 歪んだ 頬を伝うもの 唇 目の下のラメ 浮き出た肋骨 細い指 冷めたコーヒー 阿保になれ 鬱屈した日々 神様の暇潰し 不味い薬 leave me alone ゴミ屑 塵となる 不安定な安定 嗚咽 割れた卵 腐敗臭
月の光 淡い霧 花の香り 静かな嘘 秘密の国 足音を立てず 穏やかに 言葉を話す猫 雨に打たれる象 蝋色の瞳 死んだ魚 波に呑まれる 墨で書いた 夜は明かず 奇跡というもの 零れ落ちる 宝石は要らない 耳をすませば 鴉の骨 優しい眠り 群青の谷 愛と憎悪 形のないもの 壁を引っ掻いた 爪を剥ぎながら 君を待つ木 雪が解け 乾いた地面 首をかけた 遠い記憶 愛されていた 鈍い痛み 根拠のない言葉 死体 したい 旋律 狂ったピアノ 肉を食べる 漆黒の海 抜けない棘
雪だるまと太陽 汽車に揺られたまま 数式化と可視化 知能を得た代償 猿のままで ドストエフスキー アルジャーノンに花束を 枯れていく植物をみているだけ 死は救済ではなく 平等に与えられた 言葉の暴力 青空に浮かぶ月 泥まみれのスニーカー 睫毛に虹があること 地下鉄、ホームドア 窓についた指紋 友だちごっこ くだらない 季節だけが移ろう 死がもたらすもの やわらかな傷跡 勝手に背負っているだけ 神が存在するのなら 青空を憎んだ 破壊されたもの 自然の猛威 人間の過ち 走り去る雲