すべて永遠の春
濁った名前がとけてなくなるまで
きみのもとには帰らない
海に行きたいな
なんて夜があったとして
誰もいない海小屋の
さみしい窓枠が光らなくても
ちゃんと土を踏んで歩きたい
裏切られた後ろ姿が
たとえなくとも
壁にうつる数字は
映っては消え、消えては生まれ
時間が経つことは悪いことじゃない
だからきみのことは
もうみていられない
明日来るはずの朝が
逆剥けで気づかなくとも
春の魚がかえってくる
きみのもとに毎年同じように
香りで気付く
金木犀の様に
やさしさだと思ったものは
とうになくなっており
さみしさだと思ったものは
もとから存在しないのだ
きみのもとにはかえらない
なにもかもが永遠であったとしても
それが誰の話かわからずとも
きっと永遠にであわない