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断片

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2018年1月の記事一覧

シーサイド

画面の向こうでは雪が降っていた。毎日太陽が昇るぼくの街とは違い、顔をあげて見えるものはいつも揺れる水面みたいな白い雲でそこから落ちてくる雪で前も見えないらしい。こんなに違うのに同じ冬というものだとは思えなくて本当?と聞き返した。ぼくと同じ冬の中にいる君が電話越しに本当、と言い小さく笑う。なんとなく気付いてはいたけど、君が言葉を発するとき、言葉と一緒に白い息が零れ出ているのがわかった。電話越しなので

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