前澤さんのカブアンドの凄さが全然分からないので詳しい人に教えて欲しい
前澤友作氏が株式会社カブ&ピース(以下、カブアンド)という会社を創業した。私には一体何が良いのか全然分からないので、誰か詳しい人に教えてほしい。
カブアンドのビジネスモデルって本当に新しいの?
私が理解する限り、カブアンドのビジネスモデルを分解すると以下の通りになる。
利用者がカブアンドとサービス(電気・ガス・携帯など)利用契約をする
カブアンドは利用者に対して自社株を付与する(割引ポイントも選択可)
利用者は、カブアンド株が上場されるか配当が開始されることを期待して保有する
前澤さんは「電気代が株になる。ガス代が株になる。スマホ代が株になる。普段の生活をしているだけで株がどんどん貯まっていく。」とツイートしている。まるで何か新しいサービスかのようだが、この部分に関しては既に楽天ポイントが同じような機能を実現している。
1つ目はポイント投資で自分の好きな国内株を購入出来る。設定次第で自動購入も可能。2つ目はポイント楽天株というサービスで、保有しているポイントが楽天の株価の終値に応じて増減する。これは形式的には株ではないが経済的な効果は似ている。
楽天では電気・ガス・携帯はもちろん、買い物・銀行・旅行・レンタカー・証券取引・クレジットカードなどでポイントが貯まる。カブアンドよりも遥かにポイントが貯まる範囲が広い。
こうしてみてみると、カブアンドのビジネスモデルの基本部分は既に楽天が実現していることだというのが分かる。大きな違いは、カブアンドの場合はカブアンドの自社株しか選べないという点だ。ちなみに、カブアンドでも割引ポイントが選べるが、それなら誰でも楽天ポイントと同じだと思うだろう。
以上のように楽天ポイントと比較した上で前澤さんのこのツイートを読むと「あれ?本当に新しいの?」と感じる人が多いのではないか。
(念の為書いておくが、私は楽天とアフィリエイト契約など一切していない。広告料も受け取っていない。また、楽天以外にも同じようなサービスがあるかも知れない。調べる気は無く、この記事では触れない。)
では、こうした状況を踏まえて、カブアンドを選択すべき条件はどういうことになるのか。私なりに考えてみた。
カブアンドが提供するサービス(電気・ガス・携帯その他)が他社より優れている(安い・安定しているなど)
カブアンドが提供する割引ポイントが他社より優れている
カブアンドの株式は、東証に上場している銘柄から株を選ぶよりも経済的なメリットが大きいと期待される(将来の上場、配当開始を期待)
1と2が優れていて、他社に比べて割安でサービスが利用できるというのであれば十分メリットになるかもしれない。これはサービスが実際に開始されれば誰でも分かるだろう。そこで3について少し考えてみよう。
未公開株は本当に万人向けなのか
楽天ポイントを使って東証の株を買う場合と、カブアンドの未公開株を買う場合で一番の違いは上場の有無である。初歩的な話だが、未公開株の主な特徴は以下の通り。面倒なのでChatGPTにまとめてもらった。
流動性の低さ:未公開株は市場で自由に売買されないため、売却時に買い手を見つけるのが難しく、現金化が困難である。
情報開示の制限:上場企業と異なり、未公開企業は詳細な財務情報や業績報告の開示義務がない場合が多く、投資判断に必要な情報が不足しがちである。
高リスク・高リターンの可能性:企業が成長し上場すれば大きな利益を得られる可能性がある一方、事業が失敗すれば投資額を回収できないリスクも高い。
購入方法の制限:未公開株は一般の市場で取引されないため、企業との直接交渉や株式投資型クラウドファンディングなど、特定の手段を通じてのみ購入可能である。
投資経験豊富な人、あるいは潤沢な資産を持っている人が未公開株に投資するのは構わないだろうが、前澤さんが先に「株をやらない人の一番の理由は「株を買うお金がないから」です。」と述べたように「お金がなくて株をやらない」という人たちが未公開株に手を出すべきだという理由が私には分からない。
私は素人の分野だが、未公開株に投資するプロであるプライベート・エクイティファンド(PE)やベンチャーキャピタル(VC)はリスクを分散するために複数の未公開企業に投資している。10の案件に投資して9社がうまくいかなくても、1社が飛躍的に成長し、大きなリターンをもたらすことで、全体としての利益を確保する考え方だ。お金がない人が1社の未公開株を保有し続けるのとは全く異なる。
カブアンドの本当の特色は未公開株と素人を結びつけようとしている点では?
優秀な経歴を持った人たちが長年にわたって企業調査をし、投資先と経営方針の議論を交わし、プロ用の情報ツールを使っているというPEやVCの連中と比べ、一般人が未公開株投資で有利な点は何があるのだろう。私には何も思いつかない。
カブアンドのサービスを利用して、結果的にカブアンドが破綻して株が紙くずになったとしても利用者が経済的に破綻することは無いだろう。だから宝くじ気分で買うという人もいるかも知れない。でも、それは本当に正しい投資判断なのだろうか。「投資じゃなくて夢を買うんだ」と言われたらそれ以上何も言えない。宝くじコーナーに行列している人に掛ける言葉は何も無い。
「お前は間違っている!」という人がいたらコメントで教えて下さい
カブアンドのことを詳しく調べたわけではないので間違っていることもあるかも知れない。サービスが始まらなければ分からないこともあるだろう。しかし、いずれにせよ、大して新しいサービスには見えないし、素人が未公開株に手を出すべきとは思えない、というのが私の考えです。
以下、前澤さんのツイートに対するツッコミ集
なぜ常識をひっくり返して素人に未公開株投資を進めるのか、その点の説明が何もない。カブアンドの利用者に付与される種類株には議決権が無く、経営に口出しすることが出来ない。
お金のない一般人が経済に対して票を持つことが「理想の姿」なら、最初から議決権のある株を付与すべきでは?「経営の初期段階で大量の素人が口出ししてきたら危ない」と思っているのかもしれないが、それって「主体者として参加できる」という理念と矛盾してない?
また、「上場した後なら素人が経営に口出ししても良い」と考えているのであれば、それはそれで不思議な話だ。上場ゴールにならなければいいけど。
売れなくて配当も無ければ、株は紙くずと同じ。お金が無くて株を持てない人たちを救いたいなら、解決すべきは「お金が無い」ということなのだが、なぜか「株を持つこと」が出来れば問題が解決に向かうかのように話がすり替わっているように見える。
繰り返しになるが、消費に対するポイントを使って株を買う仕組みは既に存在する。電気やガスや携帯の利用料にポイントを付けて、それで電気会社やガス会社や通信会社の上場株を買うことは既に出来る。売りたいときに売れるし、配当があれば現金収入が得られる。
人生が破綻するような危険な投資案件だというつもりは無いが、言っていることとやってることがイマイチ噛み合っていない気がする。「アピールしている新しさは本当に新しいのか」「東証の全銘柄と比較してカブアンドの方が優れていると思うのか」「『理想の姿は、国民総株主』と言いながら、カブアンドが最初から議決権のある普通株を付与しないのは不自然ではないか」などのポイントに抵抗がない人は突撃しても良いのかもしれない。
なんでこんなに騒がれているのか全然分からない。変なものに対する違和感を口に出してしまう悪い癖でこんな長文を書いてしまった。
この記事に反論がある方、ご自由にコメントをお願いします。私が見落としている点があるかも知れない。