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独断偏見音楽談義・はるまきごはん /【アトモスフィア】について語るよ!
突然だけど、私ははるまきごはんさんの曲がメチャクチャ好きだ。
3年前の3月頃、なんとなく見ていたYouTubeで「あなたへのおすすめ」として「メルティランドナイトメア」が出てきた。それを聴いたのが全ての始まりで、それ以降はアルバムやグッズを買ったり、ライブに行ったりと見事に彼のオタクをしている。
私の初期の記事内で「好きなアーティスト」と表現している箇所があるが、これがまさにはるまきごはんさんのことである。
今回紹介する「アトモスフィア」は、はるまきごはんさんの曲の中でも結構異質な曲調……というか、はるまきごはんさんにしか見られない世界が広がっているので、記事を書くしかないだろ!と思った。そんなわけで、私の記念すべき音楽note記事の1つ目に選ばせていただく。
ちなみに私自身は昔ピアノを習っていたくらいで最近はずっと聴く専門&バンド経験等はないので、記事内で「ギターの音が〜」とか「ベースが〜」とか言ってても色々間違えてる可能性も否めない。ある程度は調べながら書くけど、ド素人が書く感想文だ。それでもよければお読みください!
「アトモスフィア」とは?
ここで言う「アトモスフィア」はアルバム「BLUE ENDING NOVA」の収録曲なんだけど、もともとはそらるさんのアルバム「ビー玉の中の宇宙」に提供したミク版楽曲(ニコニコ・YouTube版「アトモスフィア」概要欄より)だ。そらるさん歌唱版とミク歌唱版と聴き比べても楽しいと思う。
サムネは青白い光を背景に少女が落下していく様子が描かれている。ちなみにこれ、はるまきごはんさんが描いています。
はるまきごはんさん、作詞作曲だけに飽き足らず、イラストも動画編集もできちゃうからすごい(但し「アトモスフィア」ではmixを担当されたのはそらるさんだ)。最近では自分でも歌ってるしどこまで才能があるんだ……?
で、そんな「アトモスフィア」ですが、リンクを貼っておきます。ニコニコ版とYouTube版のどちらを貼ろうか悩んだけど、YouTube版より先に投稿されているということでニコニコ版にした。
サウンドについて
いきなり歌から始まるのと、しかもそれが結構インパクトのある音なため、初めて聞いたときはウォッッッ(語彙力)てなった。でもそこが好き。
ていうか、一音目からインパクトがあるとその先も聞かざるを得ない気持ちになるよね。意図的なのかそうじゃないのかわからないけれど、この一音目がなかなかのビッグサウンドで始まるのは大正解だと思う。意図的だったらはるまきごはんさんのこと「こあくまごはん」って呼んじゃおうかな〜〜〜(?)
「夢みたいなアイサイト澄んだ空気だ」
「ベテルギウスはとうに死んだ」
「繋いでおいたメイデーはどっか遠くの」
「藍色の街灯に」のそれぞれの節で、ギターに重なるようにして響くバスドラム(たぶんね)の音がいい。たとえば「夢みたいなアイサイト澄んだ空気だ」のところなら、「夢みたいなアイサイト」の裏で3回ほどギターとバスドラムが鳴らされ、「澄んだ空気だ」の部分ではほぼミクの声のみになるのがいい。それが「藍色の街頭に」まで4回ほど繰り返される。これによってリズム感を生んだ直後に急な静寂が横たわり、音の余韻が生まれる。それが曲に神秘的な印象を持たせるのだ。
「仄暗い帰り道の回想」の部分からは疾走感溢れるエネルギッシュな曲調に一転するのが面白い。細かく上下に変動するメロディーラインとそれを歌うミクの声、メロディーが途切れた部分で響くギターの旋律に意識が向きがちだけど、私が推したいのはその裏で鳴っているベースの音だ。冒頭の音からずっと鳴ってるからベース聴いて、ほんとに。ベベンベンって遠くで低く鳴ってる音。特に「ほつれた糸を誰も治してあげない」からサビ直前までのベースがよく聞こえてくる部分ね、あそこはベースを聴くための時間だと勝手に思ってるくらい好き。
私はこの曲の好きなところを1つに絞って!って言われたらベースって答えると思う。はるまきごはんさんのライブは色々あってネオドリームシネマの1日目しか行ったことがないんだけど、いつか生でこの曲のベースを聴けたら嬉しさで記憶飛ぶと思う。
話が逸れた。「仄暗い〜」では疾走感が目立つ雰囲気だったのが、サビに入るとまた雰囲気が変わる。「LIGHTS」のファ♯の音をやや細く揺れるミクが歌うことで、まるで急な天気雨に打たれているような心地よさがある。また、「LIGHTS」のファ♯一音のみを伸ばした歌い方と背景で響く楽器のコーラスが、荘厳な空気を醸し出す。
この曲は、大きく分けて3つの違ったリズムで構成されていて、それによって受ける曲の雰囲気が少しずつ違ってくる。
「夢みたいなアイサイト〜藍色の街頭に落下した」ではリズムの緩急による神秘的な印象。
「仄暗い〜治してあげない」ではメロディーが細かいリズムと音で刻まれることで生まれる疾走感。サビに入ると比較的ゆったりとしたメロディー進行によって、荘厳な印象に変わる。2番以降もこの3つのまとまりがほぼ同じように使われており、メリハリの効いた構成は聴く人を惹き付けるはずだ。ラスサビの「藍色は痛いほどに偽物なのさ」で極限まで盛り上がったと思ったらふいにぱっと消えてしまう音も、ニクい演出だ。
歌詞について
この歌は「僕らが生活する中の潜在的なルールとか、常識とかに押し潰されて辛いよ~という女の子が地球を飛び立つ歌」だという(はるまきごはんさんの2016年11月8日のツイートより引用)。
考察は苦手だけど少しだけ言及してみる。
たとえば「しゃがみこんだ少女の穴のあいたブラウス ほつれた糸をだあれも治してあげない」という部分。
「穴のあいたブラウス」が少女の心だとしたら、少女の心は救われるべきだ。穴の空いたブラウスは直されなきゃいけないように。なのに「だあれも治してあげない」ということは、少女を取り囲む人や環境はあまりにも少女に手厳しい。もしかしたらそんな少女のことを見てみぬふりしているのかもしれない。もしくは鈍感なのだ。だから「離陸した悲鳴なんて聴こえちゃいないよ聴いちゃいないよ」となる。このように、周囲と少女の温度が乖離していることを表す歌詞となっている。
他のはるまきごはん楽曲でもそうなんだけど、はるまきごはんさんの曲って周りと自分を比べて生まれてしまった温度の差、みたいなものを描いた曲が結構ある気がする(またいつかその曲たちの感想も書きたい)。この「アトモスフィア」はその傾向が特に色濃く出ていて、なんてったって少女は地球を飛び立ってるからね。私も今生きてる世界を飛び出して誰も自分のことを認知しない世界に逃げちゃいたいと思うことはよくある。共感してしまう。
さいごに
「アトモスフィア」って曲はほんと〜〜〜に興味深い曲だと思う。最近の流行りである(と思っている)社会問題について啓発するような内容でも、曲の歌詞やMV内にトリッキーな仕掛けな隠されているのでもなくて、ただただサウンド面と歌詞の叙情性で勝負に出ている。
以上、私の独断と偏見による「アトモスフィア」感想でした。最近のはるまきごはんさんの曲とは違うテイストなので、ここ数年のはるまき楽曲しか聴いたことのない人はぜひ。