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独断偏見音楽談義番外編・NOMELON NOLEMONライブレポ@9/9 渋谷WWW X / 【1st ONE-MAN LIVE 『シャッターチャンス』 】について語るよ!

9月9日金曜日、開演2時間前を切った17時過ぎ。スペイン坂を登り切って顔を上げると、会場である渋谷WWW Xの外には既に人が集まり始めていた。そこにいる人は皆、これから行われるライブに静かに胸を踊らせているように見えた。無論私もその一人。会場時刻、開演30分前、5分前、じりじりと過ぎていく時間に焦がされて迎えた開演1分前の18時59分、眺めていたスマホをポケットにしまう。

19時を少し過ぎた頃、演出であるカメラのシャッター音が会場に響き始めたのを合図に最高の時間が始まった。

(「眺めていたスマホをポケットにしまう。」などと書いたが、結局メチャクチャ写真撮った。撮影可なの個人的にとても新鮮だった)

NOMELON NOLEMON 1st ONE-MAN LIVE 『シャッターチャンス』セトリ

最高のセトリはツミキさんのツイートにもあるように以下の通り。
ノーメロの熱を凝縮した、あっという間の約1時間だった。

1.タッチ
2.syrup
3.ゴーストキッス
4.rem swimming
5.ウィスパー・シティ
6.線香金魚
7.イエロウ
8.umbrella
9.SUGAR
10.フイルム
11.INAZMA
12.night draw

最大限の輝きを放ったパフォーマンス

4日に大阪で行われたライブ情報を一切仕入れずに臨み、1曲目に「INAZMA」が来るのでは?とばかり想像していた私は、1曲目に選ばれた楽曲に「そうきたか~!!!」と唸る。先日リリースされた記憶の新しい「タッチ」だ。ドラムを叩くツミキさんは本当に楽しそう。私は彼が「ヒウマノイドズヒウマ二ズム」をリリースした頃からゆるく彼を追いかけているが、生で拝見するのはこれが初めて。その間ずっと、インスタライブやTwitterでの印象から「理性のコントロールが上手な人」という印象を勝手に持っていて、だからこそ髪を振ってドラムを演奏する姿にそれまでの印象が良い意味でぱあんと打ち抜かれた。感情がストレートに伝わってくる。

会場のボルテージをさらに上げるように、「syrup」、「ゴーストキッス」と”ノレる”曲が続く。4曲目の「rem swimming」では、鮮やかなマゼンタのスポットライトが会場を染め上げた。その色を目に映したとき、「MVの色をしてる!」と感激してしまった。中毒性の高い恋の魔性に溺れていく心を歌った曲同様、フロアを照らすマゼンタはライブの2日後の今日これを書いている私の心を未だに染め続け、ライブの余韻を冷めさせてくれない。

今回のライブタイトルである「シャッターチャンス」は、ツミキさんが考案したそうだけれど、そこには「ステージを照らすライトの色でも、フロアに立っている隣の人の顔でも、今日このライブの一瞬いっしゅんの何かを大切に収めてくれたら嬉しい(意訳)」という思いが込められているらしい。
そういった意味で、このマゼンタは間違いなく私の「シャッターチャンス」なのだろうな、と思っている。

5曲目と6曲目は9月14日発売の1stEP『感覚派』収録の「ウィスパー・シティ」と「線香金魚」。「線香金魚」は、NOMELON NOLEMONとして初めてみきまりあちゃんが作詞を担当している。EPを入手したら、ぜひ歌詞に注目してじっくり聴いてみたい。

7曲目と8曲目には「イエロウ」と「umbrella」。それまでの”ノレる”音とは打って変わって、情感たっぷりの歌声が会場を包み込んだ。
「イエロウ」はデビュー曲「INAZMA」の次に発表された楽曲だが、今振り返ってみても、「INAZMA」の直後にこの曲が発表されたことには以下のような意図があると思えて仕方がない(もちろん私の勝手な意見だけど)。「INAZMA」の突き抜ける感情をそのまま音にしたような楽曲だけではなく、「イエロウ」のような繊細な感情を音と歌詞に落とし込んだ楽曲を届けることで、人の内面の多面性を丁寧に表現し寄り添う。そんな意図を持って、彼らの作戦というか曲作りは行われているような気がしている。
もしかしたら私が勝手に感じ取ったそれは、MCで語られた「人に寄り添うような、励ましてくれるような音楽が作りたい(意訳)」というツミキさんの言葉にも通じていたりするのかなと思った。

9曲目はZONeとのコラボ曲「SUGAR」。みきまりあちゃんの「踊ろうぜ~!!」という掛け声に、思わず声を上げそうになった人もたくさんいたのでは。声の代わりにたくさんたくさん手を挙げて、「楽しい!」という純粋にして原点のような感情を共有した3分間だった。

再び1stEP『感覚派』収録の楽曲「フイルム」を10曲目、11曲目にデビュー曲「INAZMA」を迎え、ライブはいよいよ終盤へ。ノーメロの始まりである「INAZMA」を1stワンマンで聴けたことに感動と充足感を噛みしめる。ライブハウス文化に不慣れなためにおっかなびっくり挙げていた手が、いつの間にか肘まで伸びきっていたことに気づき、今日のこのライブは改めて最高なのだと思った。

最後のMC、ツミキさんの「アンコールはナシでいかせてもらいます」という宣言の後、ラスト12曲目を飾ったのは「night draw」。私はこの曲の歌と演奏とMVが一体となって生み出す刹那的な煌めきが本当に大好きなのだけれど、今日聴いた「night draw」は力強さも感じられた。これからもずっとずっと、輝きを放ち続ける。そんな印象を抱いたのは、彼らがこれからも輝いていかんとする気持ちをパフォーマンスに込めていたからかもしれない。

息づかいの聞こえる音楽

最後に、どうしても書いておきたかった話をさせてほしい。

みきまりあちゃんが、「話すのが得意ではないから、言葉が上手く出てこない時があってそれがもどかしい。だから歌っている(意訳)」と話していたのがすごく印象に残っている。私はアーティストでもなんでもないただの一般人だが、「わ、わかる~~!!!」と思ってしまった。
感情や考えていることを話すのって、ものすごく難しい。
友人と話していて微妙に意見が違って、その違いを説明しつつ相手のことも受け止めるための言葉選びがしたいとき。仕事をしていてミスに気づき、謝罪と解決に導くための言葉を紡ぎたいとき。誰かに何かを褒めていただけたとき、下手くそに笑って「そんなことないよ、ありがとう」としか言えなかったときにも、「胸に芽生えたくすぐったい感情を、もっときちんと伝えられたらよかったのになあ」と悔しくなったり。

考えていることが頭からそのまま上手く口に繋がってスラスラと喋れたらよかったけれど、私自身考えながら喋る癖があるし、緊張でそもそも言葉が選べなくなって硬直してしまったりする。だから快活で明朗な会話が求められる場面に居合わせたらすごく心のエネルギーを消費する。それから家に帰り、「やっぱり上手く喋れなかったな」と沈んでしまうことがよくある。
そうして溜まっていくフラストレーションを変換するためにするのが私にとっての執筆だ。みきまりあちゃんの言う「もどかしさ」が、彼女の伝えたい意味で私が受け止められているかは自信がないけれど、わかる!と言いたくなってしまうのだ。話し言葉がうまく出てこない。だから、言葉になりきれなかったものをどうにか伝えたくて歌っている。書いている。

両腕で抱えきれないほどたくさんの宝物を、彼らから今回のライブで貰うことができた。彼らの日常に根ざした息づかいから生み出される音楽は、日々を生きる全ての人へ届くはず。渋谷WWW Xのステージから彼らが見た景色の一部に、こう思っている私がここにいる。

ここまでたくさん言葉で書き連ねてしまったけれど、一言で今回の感想を述べて!と言われたら、「楽しかった!」こう言うほかない。最高の時間でした。本当にありがとうございました。

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