手足の長いひとでした②
手足の長いひとでした〜続き〜
触れた彼の皮膚から
こわばりを感じる。
うむ。今日は、やはりいつもと違う。
なにか、伝えたいことがあるみたい。
わたしは、その準備をはじめた。
相手が"伝えたいこと"がある場合、
わたしは、まずは、
必ず受け止めようと、、、
響いてくるものを
味わおうと思っている。
それが、わたしにとって
共有することなのだ。
"共有すること"
わたしは、その準備をはじめた。
準備といっても、
少し皮膚がこわばっている今日の彼に
まずは、
身を委ねるだけなんだけどね(^^)
彼の熱い空気に覆われたわたしは、
そのまま、
まぶたの重みのまま
まぶたを閉じた。
呼吸の音しか
聴覚がとらえない
息づかいしか
いらないじかん。
わたしにとって
音は、互いの呼吸の音だけで充分なのだ。
口のなかの温度をたしかめ合う。
少しずつ温度が上がってくるのが
なんせ、わたしは好きだしね。
そのうち
わたしの肌が変わっていくのが分かる。
肌という肌が
全身センサーみたいになる。
首筋に舌が這う。
ゆっくりと。
カラダ中を舌が這う。
ゆっくりと。
舌づかいには、
とても人柄がでるな、といつも思う。
そして、
舌のカタチや硬さも
同じ人の舌でも
日によって違う、
とわたしは感じている。
だからこそ、
味わい深い。
今日の
いまの
あなたの舌を
わたしは、丁寧に感じる
そんなじかん。
そして彼は
わたしを確かめる。
わたしで自分を確かめはじめた。
あぁ、自分を確かめたいのだ、
彼は。今日の彼は。
そんなことをうっすら感じながらも
じょじょに
波のようなものに
のみこまれていくわたし。
わたしは、
その波と同化していくことにした。
何分、時間が経ったのか
わからないが、
わたしのカラダがトロトロになったことで
彼が納得したころ
ベッドが一段と下に沈む。
すべてを重ね合わせることで
肌が密着する。
手足も絡まり合う。
あなたの肌から
わたしの肌へと行き交うものが
行き交うものたちが
流れてくる。
触れたところから
触れ合ったところから
わたしに入ってくるものがあるの。
彼の瞳をみたら、
なんだか泣きそうな瞳をしているね。
いいのに。
すべて
行き交わしていいのにね。
わたしは、
あなたをジャッジしたりしない。
なにをみても
びっくりしないもの。
正確にいうと
びっくりしたことがないから
きっとこれからもしないんだろう。
あなたのどんな感情さえ、
肌からいっしょに
ドロドロしたものが流れてこようとも
わたしは、
驚かない。
だって、
温度がある世界で
わたしにこわいものなんて
なにひとつないもの。
わたしは、
彼のほっぺを
手のひらで包み込んであげた。
あ、目尻がさがった。
あなたのそのやさしい笑い方が好きよ。
そして、
やさしい笑い方をしながらも
なにかに、
怯えているようにみえる彼を
愛でてあげる時間がはじまる。
そう、
まだまだ終わらせてやらない。
今日はね。
続く
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