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five realities 〜統合〜 (4)

その頃
心と身体に変調をきたしていた

気持ちが高ぶり急に涙を流したり
時間に追われているのに
短い時間でも横になり眠るようになっていた

眠っている間は全身が脈立ち 
目覚めた時には心臓が壊れてしまう程の
動悸を感じていた

家族には生きてきた過程で起きる
女性特有の症状だと片づけられ

誰にも分ってもらえないと苛立つ

何時も
何かを探していた
何かを求めていた
根拠のない魂の欲求
最初は何も感じなかった

ただ
瞳がとても綺麗な人だと思った

町が秋の装いをみせる時期に
夏休みの子供のように
真っ黒に日焼けして

ちょっと用事をと席を外すと
全く帰ってこない

挙句の果てには彼の勘違いで
夫に責められた私が
彼に謝罪をすることになった

彼のミスだ

 ごめんなさい
そう言う私に

真直ぐに私を見つめ
ごめんなさい
という彼の顔を
初めてしっかりと見た

同じ瞳
 
ふたりが
見つめ合い
笑い合った瞬間

ブローカーと顧客

生まれた時から都会で育ってきた私は

この地で快適に過ごせるように
パソコンのメールで助言を求めた
質問し回答をくれる
彼とのやり取りが続く

ただ不思議なことに
彼を男性として意識していなかった

なのに
私に会いたくないのかな

相反する想いがよぎる

太陽の光を浴び
雄大な山と煌めく海
緑に囲まれ 
土に触れる

彼が住む町は
私を刷新していった

白亜の家に行っても
彼に会うことはなかった
三度しか会ったことがない
まして二人で会ったこともない
そんな彼の存在が
どんどん胸を占めていく

芽生えた感情は悲恋に似ていた

そして同時に
彼の存在が怖くてしようがない
恐怖を含んだ感情

ツインレイ

ある日
この言葉が飛び込んできた

ソウルメイト
ツインソウル 
前世からの繋がりを語るフレーム
時間が許す限り文献を調べていった
夢中でその世界に
のめり込んでいった

今までも心霊的な力を借り
神や仏に縋ってきたが
何処かで否定する自分がいた

肯定することで異種とみなされる
自分を恐れていた

半年が過ぎた今

フィルターがかかり
彼の顔も声も忘れていく
幻想のように感じる存在
それでも彼を求めている

説明が出来ない愛しさ
魂に刻まれた記憶
彼にのめり込んでいった
感情を表す表現があるとしたら

心の痛みを癒す

その言葉が一番しっくりくる

私は出逢ってしまった

彼に出逢い
ここからは自分を許す作業に入っていった

時間が許す限り身体を横にし
泣きたい時には思いっきり泣く
動悸も寝汗も当たり前だと受け入れた

次第に精神的な負担も
悩まされていた身体の変化も
改善されていく

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