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身代わり


ジャンプに載っているような
王道少年漫画が売れるのはどうして?


自分ではなれないようなキャラクター、
得られないような体験に没入して
感情をなぞれるから?
自分が叶えられない夢を託せるから?


王道といわれるストーリーはたしかに面白い
勢いがあるし
わかりやすく逆境に立ち向かって
何度かは挫折して
最後には成功してくれる


つらい思いをしてきた主人公が
実はすごい能力を持っていて
それを理解してくれる仲間と出会って
自分の存在意義を知って
爆発的に成長していく


そういう作品が売れるのはとても理解できるし
私だって読んできた
でも苦しくなってしまう
どうしようもなく悲しくなってしまう



そういう主人公との対比でだいたい
頭の硬いやつが出てくる
真面目が故に闇堕ちしちゃうような
融通の効かない人間が登場する
優秀と言われて育ってきて
実際に力も持っているけれど
主人公と出会って劣等感が増していく
闇堕ちしたとしても
真っ直ぐ自分の力を認めてくれて
信頼して仲間であることを疑わない主人公に
もっと劣等感が増していく


私はそういう登場人物が大嫌いだった
見てるだけでイライラする
それなりの力はたしかにあるのに
なんでそんなに周りに迷惑かけるんだよ、て
大嫌いだったけど
深掘りするほど自分の嫌いな要素しかなくて
結局しょうもない自己嫌悪だったという事実にまた気持ちが沈んでいく


たしかに私は優秀だった
常識があって正義感も人一倍ある
環境のおかげで正しい努力もしてこれた
いっぱい持ってると言われる
いっぱい持ってるんだと思う
わかってる
でもそれだと私がほしいものは手に入らない
何がほしいか言語化はまだうまくできないけど
手に入らないものなんだと日々感じさせられる
自分の生まれを否定したくはないのに
全部無かったことにしたくなってしまう


私の見てきた作品には
そういう登場人物の納得いく結末はなくて
ただ主人公への劣等感だけがわたしの中にいつも残っている
主人公に認められたからといって
解決できるものでは決してないのだ



納得できる終わりを示してくれるものはどこにもなくて
自分で見つけなきゃいけないのに
自分をちゃんと受け入れなきゃいけないのに
それをできる気が全くしなくて
納得できないまま死んでいく気しかしなくて
この根源的な不安と絶望のせいで
あらゆる場所から落ちていく


違うように見える事象も
全部これのせいだよ
少しでもしんどくなったらこれを読めばいい
全部原因は同じなんだから。
あんたのために泣きながら言語化してあげたんだ
だから
何か起きるたびにモヤモヤし続けて
時間を無駄にするんじゃなくて
ここに来てこれだけと向き合って絶望してればいい



変わる時が来たらきっと読まなくなる
この文章は死んでしまう
そうなればいいね

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