推しに彼女がいても降りられない
この記事を読んでいる方の中で、推しに熱愛報道が出たとか彼女バレした、結婚した等の経験をしたことがある方はいるだろうか。
そしてそれが原因で推すことを辞めた方はいるだろうか。
私は今まで2次元のオタクをやってきたのでそういうことは一切なかったし、むしろTwitterに流れてくる熱愛報道や結婚報告で病んでいるガチ恋オタクを「あらま、かわいそうに」と他人事として見ている側の人間だった。
そのはずだった。
詳細は言えないが、先日、推しに彼女がいるかもしれないという疑惑が私の中で浮上した。
薄々感じてはいたが、やっぱりかという決定的なことに気づいてしまった。
推しのツイートを全部漁って、推しが言っていた言葉を思い出して違和感を拾い上げたら、点と点が線で繋がってしまった。
勘違いや偶然では言い逃れできないほどに決定的だった。
匂わせとかではないから、他の同担がそれに気づいているのかはわからないし、推し自身も隠せているつもりなんだろうけど私くらいの限界拗らせオタクになると少しの違和感から粗探しを始めてしまう。
推し本人からボロが出たならまだしも、私が勝手に違和感を感じて勝手に証拠を集めて勝手に落ち込んでいる。
ただの自業自得で迷惑で痛いオタクだ。
私の推しは本当にかっこいい。
全世界に、全人類に自慢したいほどかっこいい。
そんな人に彼女がいないわけないと思いつつ、でも女性のファンが圧倒的に多くてリップサービスもたくさんしてくれるから彼女がいなかったら嬉しいなくらいの気持ちでいたのに。
いや、女いるんかい。
「彼女はこの活動のこと知ってるの?」
「彼女がいるのに不特定多数の女にチヤホヤされたいってどういう思考?」
「ファンに向けた言葉はどれが本当でどれが嘘だった?」
「推しを信じて伝えた言葉は全部無駄だったってこと?」
「お金使って好きって伝えて、彼女とそれ見て嘲笑ってた?」
「自分を守るために優しい嘘でファン黙らせて彼女と食う飯美味かった?」
「推しの生活潤したくて投げてたお金、彼女のために使ってた?」
「あれもこれも、ファンじゃなくて彼女のこと考えてた?」
「この間話してたこと推し個人の思い出じゃなくて彼女との思い出だった?」
なんて、人として最低で最悪な疑問しか浮かばない。
私が投げたお金の一部が「今日少し良いお肉買ったよ」とか「お昼も夜も外食しちゃった」とか、推しの生活の小さな幸せに繋がっているんだって嬉しかったのに、それが "彼女と" だったら話は別だ。
女の飯代やらデート代まで払ってるつもりはねぇ、となんだか馬鹿馬鹿しくなった。
そして、推しの全てが嘘くさく見えて、配信のコメントはもちろん、おはようのリプさえもできなくなった。
大好きだった推しの作品が聴けなくなった。
別に彼女がいることが悪いわけじゃない。
推しには推しの生活があってプライベートがあって人生がある。
きっと年齢も年齢だから、推しを支えてくれる素敵な彼女で結婚も考えているだろう。
でも、わがままを言っていいなら、それをファンに悟られるような軽率な言動や、すぐバレるような嘘をつくことはしてほしくない。
まあプロのアイドルやアーティストでさえ匂わせやら熱愛報道やら出ているのに、一般人である配信者にそれを求めるのはお門違いなのかもしれないが。
それでも嫌なものは嫌だ。
推しに彼女がいると分かった途端、やっぱり推しの向こう側に彼女がチラついてしまう。
推しがくれた言葉は彼女にも言っているし、推しが好きだと言った恋愛ソングは彼女を思い浮かべて聴いているし、推しが話してくれた思い出話は彼女との思い出かもしれない。
事実がどうこうではなく、全部全部、推しの向こう側に彼女を想像してしまうのだ。
いくら推しのことが好きだと泣き喚いても、私たちファンはイヤホン越しの推しの声しか聴けない。
心から愛おしい存在ではないから、演技でしか推しからの「好き」を聴けない。
匂いも体温も何も感じることはできないし、知ることもできない。
でも彼女という存在は推しの隣で匂いや体温を感じながら、心からの「好き」を聴くことができる。
そういう存在がいる上で、私たちファンがいるんだというだけで悔しくて惨めでたまらない。
リアコに向かって「え、自分にワンチャンあると思ってんの?(笑)」みたいな言葉を投げつけてくる奴もいるが、誰もそんなことは言ってないし思ってもいない。
いや、中にはいるかもしれないが私は違う。
そりゃ人間だから好きな人とは結ばれたいし、願いが叶うなら付き合いたい結婚したいって思うけど、所詮私は推しの生活を潤すだけのATMでしかないと分かっている。
何百万かけて整形したって何回生まれ変わったって推しとワンチャンなんてあるわけないし、前世も今世も来世も絶対に推しと私の人生が交わることはないけど、恋をするのは勝手じゃないか。
推しと幸せになりたいと願って幸せな妄想に浸ったっていいじゃないか。
一生叶わない片思いがあったっていいじゃないか。
叶わないと分かっている恋を諦められないほど大好きだから、推しに彼女がいようと結婚しようと好きな人の好きな人なんて受け入れられないしお祝いもできない。
「お幸せに」なんて口が裂けても言えない。
推しの幸せを願えないファンが本当のファンではないのなら、私はファンじゃなくていい。
私が勝手に思っているだけで、本当は彼女なんていなかったらどれほど嬉しいか。
いや、むしろこのまま嫌いになって降りれたらどれほど楽か。
裏切られた騙されたって推しを責めて貶せたらどれほど救われるか。
勝手に好きになって勝手に拗らせて勝手に信じて勝手に探って勝手に病んで勝手に嫉妬してるだけだ。
全部全部私が悪いから、嫌いになれないし降りれない。
散々病み散らかしてこんなにつらいのに一周回って「やっぱり大好き」になっている。
私は頭がおかしいのかもしれない。
推しはただ自分らしく生きてるだけなのにね。
私のものにならなくてもいいけど、誰のものにもなってほしくない。
私のものにならないなら、せめてみんなのものでいてほしい。
私のものになってくれるなら、もう死んでもいいよ。