推しからDMが来た話
この日の感情と推しとの小さな思い出を忘れたくなくて、書き記すことにする。本当にただの独り言。
先日、日付が変わる少し前、いつも通り布団に包まりながら推しの声を聴いていた。
ああ今日も大好きだったな、好きすぎてつらいのに全然離れられそうにないなって考えてた。
そんなときに通知が鳴って、誰だこんな時間にと思いながら画面を確認した。
するとそこに表示されていたのは推しの名前。
リプに対するいいねの通知でもなく、DMが届いているという通知。
時が止まった。何が起きているのか訳が分からなかった。
手の震えと手汗と冷や汗が止まらなくて手足が一気に冷たくなった。
意を決してDMを開くと、まっさらだったDMの履歴には間違いなく推しの名前があって、推しが打ったであろう3行のメッセージが届いていた。
ここまで読んでくれた人には申し訳ないが、内容自体は本当に大したことはない。
きっと他の人にも送っているであろう文章で、コピペだろうなとも思ってしまうくらいの文章だった。
でも、大事なのはそこではない。
今まで私は一度も推しにDMを送ったことはなかったし、推しのDMの履歴にわたしがいるはずもない。
そんな中で、推しがユーザー名を検索したか自分のフォロワー欄を漁ったのかは分からないが "わたし" を探してくれたこと。
わたしのアカウントに飛んでDMのボタンを押してくれたこと。
そしてDMに文字を打ち込んだかコピペだかをしてメッセージを送信してくれたこと。
その紛れもない事実だけで、もう死んでもいいと思えた。
ただのファンでしかないわたしは、推しを自分だけのものにすることはできない。
でも、推しがわたしのために行動してくれたDMを送るまでの数分間だけは、推しの時間は確かにわたしのものだった。
その数分間だけは、推しの行動や思考の先に "わたし" がいた。
初めて、推しの時間や行動を独り占めできた瞬間だった。
そう考えたら、推しのことがたまらなく愛しくて、切ない。
返事をするかどうか2時間くらい迷って、友達に相談しまくって一緒に文章を考えて結局返信した。
返信をして5分以内に既読の印がついたが、それっきりで束の間の夢のような時間は終わった。
あまり期待もしたくないから、送ってくれた文章はきっとテンプレートでコピペだって思うようにしている。
同じタイミングで何人ものファンに同じ内容を送ったんだって思うようにしている。
そうでもしないとわたしがわたしの心を守れない。
推しはDMを送ることに対して何も思っていないと思うし、ファンを逃さないためのファンサの一環だろうし、そこにわたしのような大きな感情もないだろう。
でも、推しがわたしを探してくれてわたしのために使ってくれたたった数分間、推しが人生で使える限られた時間の中のたった数分間、その数分間をこんなわたしにくれたことが嬉しくて嬉しくてたまらないのだ。
こんなミジンコほどの小さな小さな推しとの思い出でも、わたしは一生大切にするだろうし、この手で壊さないように大切に抱いていたい。
推しからDMなんて繋がれるチャンスなのに、既読無視しやすい当たり障りない文章で返信したわたしは、我ながら健気で健全でオタクの鏡のようなオタクだと自負している。
友達にも本当に偉いねって褒めてもらえた。
でもそんなのは、推しに良い子だって思われたいがための分厚い化けの皮を被っているだけだ。
内心はもっと話したかったし、たった一通のDMから特別な存在になりたかったよ。
まあ、わたしごときに靡いたり特定のファンと仲良くするような推しは解釈違いだけど。