私たちは前に進むことしかできない
冬の淡い光に包まれて、最寄りの駅へと向かう。私と同じように、それぞれの目的地に向かっていく人々、凄まじい勢いで走り去っていく電車の轟音、雲ひとつない透き通った寒空、今日も新しい朝が始まろうとしている。私の中で止まっていた時間が、ゆるやかに動き出す。
数日前、大切な人を失った。悲しくて、寂しくて、沈んでいたのに、外はこんなにも明るくて、あたたかくて、やさしい。
まばゆい陽の光に照らされていたら、思い悩んでいたことなんて忘れてしまいそうなくらい、すっきりと心の靄が晴れていくよう