きれいなもの
わたしが普段気づいていないだけで世の中はきれいなもので溢れている。
特にわたしがきれいだと感じるのは,消えてしまうものだ。
春にしか咲かない桜が散る時
雨が上がり草木に雨露が滴って空が反射している時
森の中で舞い落ちた枝葉を踏みしめ歩いている時
滝から落ちた水が光によってきらきらと反射している時
1秒進みその1秒が過去となる時
自分を知らない場所へ行き,自分を定義するものがなくなった時
恋に落ちた時
人の温かさを知った時
世界の全てが美しく,儚く,脆い
全ての瞬間が過去になっていく時が好きだ