先輩
僕は大学一年の六月から愛知にある居酒屋のアルバイトをしている。今も同じ所で働いていて僕には憧れであり好きだった先輩がいた。
僕の三つ上の四年生の人で大人の女性のような人だった。僕は年上の女性の方とお付き合いをしたいと思っていたから、ちょうど僕のタイプの人がバ先にいて嬉しかった。
その人との出会いは七月か八月のシフトが被った時に一緒にホールをしている時に少し話したの
がきっかけだった。「◯◯族にもこんなに美人な大学生いるんだな」と思った。シフトが被った時は部屋の中で飛び跳ねたいくらい嬉しかった。
バイトに行く時もワクワクしてテンションもいつもより高くなるくらいだ。そして、ホールでピーク帯を過ぎたら話したりして仲良くなった。
その人というのは少しあれだからMさんとしよう。最初はMさんの事が好きという明確な好意はなかった。
でも好意に気付いたのは、十一月二十一日に仲の良いバ先の人達と自分達が働いているバ先で飲むというなんとも言えないカオスな状況になった。
生憎店長はいない日だったので、バレることはなかった。その日はバ先の人達と飲めるという事にテンションが上がり飲むペースが早くなり早い段階で酔ってしまった。これが僕のお酒失敗談の一つだ。僕の酔いを覚ますためか、外の空気を吸わようとMさんや他の先輩達が外に連れてってくれた。あの時は曖昧だが記憶はあった。そして、Mさんが「大輝くん〜いつか私のバ先に飲みに来てよ〜」と言われたのを覚えている。多分Mさんも酔っていたので覚えていないかもしれない。僕はその言葉が嬉しく酔いながらも「じゃあ近い内に行くんでまたDMで言いますね」と言った。
そして、解散して家に帰ってすぐにカレンダーを見た。十二月で空いている日は早くて一日か、
早く決めようと思っていたから一日に決めた。
インスタを開いてMさんに言おうとした。Mさんとは何回かDMでやり取りしていたがそこまで頻繁にしてはいなかった。そして、先輩にDMした。
"Mさん〜Mさんのバ先十二月に大学の友達と飲み行くんでいつシフト入ってるから教えてください〜"
キモ男みたいな文章ではないかと心配しながら文字を打った。何回か言い換えをしてようやく送った。脱毛の広告が目に入る。「脱毛ってした方がいいんかな、、」僕の癖で夜にいらない事ばっか考えてしまうのだ。五分したら先輩から返信があった。返信はこうあった。
「え!?来てくれるの〜!嬉しい〜!しかも十二月に〜!!」
「ちなみにいつ来る?」
返信が来たのですぐに見た。
あら?いつ行くか伝えてないっけ?と返信を見ながら思い、トークを見返すと一日に行くというのを伝えていなかった。しまった!と思いすぐに返信をした。Mさんからの返信は、
「一日〜?シフト表見てみるね〜」
「、、、」
「、、、、、」
いつ返ってくるかソワソワしていた。その時に返信が来た。すぐに見た。
「一日シフト入ってた〜是非来てきて!!!」
そして、一日になり飲み放題四千円の居酒屋にいった。名古屋で隣でも少し遠かった。そして、ラストオーダーがきて退店ギリギリまで飲んで友達とくだらなち話で盛り上がった。飲んでる時に急にトイレに駆け込み吐いてスッキリな顔して戻ってくる、叫びすぎて出禁になりかけるでめちゃくちゃだった。丁度Mさんもバイト終わりで酔ってる男と一緒に電車に乗ってくれた。そこが人の良さが出ていて最高だった。そして、降りる駅も同じだった。三人で飲みに行った内、一人は別の駅で降りていたので、僕とMさんと僕の大学の友達の三人と同じ駅で降りた。そして、友達が気を利かせたのか、親が迎えにくると言って僕達と別れ、僕とMさんを二人きりにした。ナイスと言うべきか、何してくれてんねんと言うべきか迷った。酔っている状態でクールに頭を動かせなかったから仕方がない。
先輩が「せっかくだからさ、ビーリアル撮ろーよ〜」と言った。そう言われMさんの方を見ると改めてMさん可愛いし、美人だし、大人の女性ていう感じで最高な人だと思った。しかも化粧がいつもより濃かった気がしたのは気のせいだろうか、僕の思い違いだろうな。
先輩とツーショットのビーリアルを撮り終えると、少しだけ二人で歩いた。涼しくでも肌寒い風はいい感じに僕を刺激する。隣に年上のお姉さん彼女がいるという妄想を働かせた。これが本当の恋しているという事なのだろうか、僕はMさんに恋をした。でも初めての感情ではなかった。もしかしたらこの気持ちに気付かない振りをし続け我慢の限界で気持ちが溢れたのかもしれない。実を言うと割と最初の方からMさんの事が好きだった。
"好きです。付き合ってください。"
この言葉がスッと出てきたらどれだけ後悔せずに良かったのだろうか、結局五分くらい立ち話してそれぞれ帰った。Mさんの家に行きたかったな。
そしてあんな事やこんな事、、、、、、
帰り道はKIRINJIのエイリアンズを聴きながら帰った。酔っているからか、泣く事が出来なかった。
酒は魔物のように僕を縛りつけた。
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