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「紅一点」の株主総会

会社で株主総会があった。

私が社内でも少し先進的な取り組みをしているプロジェクトのメンバーということで、ぜひ取り組みについて株主総会の場でプレゼンをして欲しいと指名で依頼をもらった。

そんな機会もなかなかないな、と思い上司に承諾をもらって引き受けることにした。


いざリハーサル。
会場に行くと「(私)さん、当日紅一点だけど頑張ってね」と言われた。

「紅一点」ってあまり聞き馴染みのない言葉だけど、なんとなく意味は知っていた。

要は女性はあなた一人ですよ、と。
この令和の時代にそんな現実があることに愕然とした。

幸いなことに、リハーサルの場にいた元上司やプロジェクトでお世話になっている方は「こんな現状も変えていかないとだめだよね」という課題感を持ってくれていたことだけが唯一の救いだった。


いざ本番。会場に入ると、これでもかというくらいスーツのおじさま方がギチギチに座っていた。アシスタントの女性一人くらいは会場にいるのかな、と思っていたが本当に「紅一点」だった。

また愕然とした。
この現状に違和感を抱いている人がこの中に何人いるだろうか、と。

会社としては女性の割合が比較的多いだけに
流石に締め切られた会場におじさま20人と自分、という空間は気持ちの良いものではなかった。

その会場にいる誰が悪い訳でもないのは分かっていたけれど、社会が作り出したこの歪(いびつ)な現実を初めて目の当たりにし
いつの間にかどこにもぶつけることのできない「怒り」に近い感情を抱いていた。


プレゼンはこれでもか!
というくらい堂々と話した。
少し自分の「怒り」とも取れる感情を発散した。

プレゼンをしながら一人一人をしっっっっかり観察した。
頷いたりメモをとって聞いてくれる人。
私が話し出した瞬間急に水を飲み始める人。
なんか変な目でこちらを見てくる人。

もちろん私が女性だから、というフィルターを自分で自らかけてしまっていた感は否めないが、たったの5分で大体誰がどういう人間かは容易に想像がついた。

社会人経験こそ勝てないものの、私はあくまでも対等に扱われるべき人間であり、
もし彼らのうちに一人でも「なんか若い女が出てきたぞ」と思っていた人がいたなら私は許さない。

次の世代、その次の世代に同じ思いをしてほしくない。

私はあの場の半数が当たり前に女性で埋まる社会を作りたい、
そう強く思ったそんな日だった。

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