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優しい、温かいもの、そして茨

「夏目友人帳」を見ています。
夏目は優しい、本当に思いやりがある人ですね。

「優しい、温かいものが好き」、お気に入りのフレーズ。僕も、やさしい、温かいものすき。よりやさしいひとになりたかった。でも、人の心が汚れ、互いに憎しみ合うことになるとは… 僕らの呪い。

昔からその議論がある。「人は人に対して狼である」とか、「人間は本来、善良だが、社会によって悪に染まる」とか。僕にとって人間関係に関する最も共感できる比喩は、ショーペンハウアーによる『ヤマアラシのジレンマ』です。

つまり、冬の間、ヤマアラシの群れを想像しましょう。彼らはお互いに近づいて暖を取る必要があるのですが、針を持っているため、近づけば近づくほど傷ついてしまいます。そうすると、彼らはジレンマに直面します。暖かさと親密さが必要なのに、直接的な接触は痛みを引き起こすのです。それで、彼らは針を避けるために少し離れますが、そうすると寒くなり、再び近づかなければならなくなります。

優しい、温かいものが好き。みんなは大体そうです。でも、この世界も周りの人もどれだけ愛していても、あの歌のように、私たちは何を生み出そうとしても結局欲望でできているのです。たとえ欲望で近しい人を傷つけたことを後悔すると分かっていても、結局は欲望で近しい人を傷つけてしまうのに。

また、僕らに棘を作るほかの根本的な要因がある。それは、プライドと恐れ。人間の自然の二つの側面。それで、傷つけられるくらいなら、傷つける方がいい。使われるより、使う方がいい。捨てられるより、捨てる方がいい。

「夏目友人帳」は少し不公平かもしれません。茨がほとんどない世界で生きている優しい人たちだからです。それでも、その作品はまるで薬のようです。人々が優しくいられる世界に入ることは、僕らの冷酷な世界からほんの少し解放され、癒されます。そして、たとえほんの少しでも、たとえ一瞬でも、少しだけ優しく、温かくしてくれます。
僕は「夏目友人帳」が好きです。僕は優しい温かいものが好きです。


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