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ディグ・モードvol.100「ニッコロ パスカレッティ(NICCOLO PASQUALETTI)」

ニッコロ パスカレッティ(NICCOLO PASQUALETTI)は、2021年にイタリア出身デザイナーのニッコロ・パスカレッティ(Niccolò Pasqualetti)が設立したアンドロジナスなファッション ブランド。自伝的なデザイン アプローチを特徴とするデザイナーは、ワードローブの定番アイテムを再解釈して、意図的にメンズとレディースの境界を曖昧にしたウェアを生み出している。


ウェア、ジュエリー、アートのハイブリッド

2023年春コレクション(Courtesy of NICCOLO PASQUALETTI)

トスカーナで育ったニッコロは、ヴェネツィア建築大学でファッション デザインの学士号を取得し、その間ニューヨークのザ ロウ(THE ROW)でデザイン アシスタントとして経験を積んだ。

その後、セントラル セント マーチンズでウィメンズウェアの修士号を取得。アリギエーリ(ALIGHIERI)でジュエリー デザインのアシスタントとして働いた後、ロエベ(LOEWE)でファッション デザインの腕を磨いた。

2023年春コレクション(Courtesy of NICCOLO PASQUALETTI)

ロックダウンの間、ニッコロは故郷トスカーナに戻った。そこで地元の職人と協力し、インテリア業界から出た余りもののストーンを使った独自のジュエリー ラインをローンチ。その数か月後、ウェア、ジュエリー、アートのハイブリッドである2022年春コレクションをパリのセレクトショップ「The Broken Arm」にて予約制で披露し、デビューを果たした。

2021年、自身の名を冠したブランドを設立して以来、ニッコロは新進気鋭デザイナーを発掘するコンテスト「Who Is on Next?」でフランカ・ソッツァーニ賞を受賞。さらに、2022年のLVMHプライズのセミファイナリストに選出された。

自伝的なデザイン アプローチ

(Photography via Official Website

ニッコロのデザインに対するアプローチは、自伝的と言える。「服は私たちが最も身近に着ているものであり、世界に対して私たちを表現するものであり、そして私たちが世界からどのように見られたいかを表しています。ですから、それが個人的なものでないはずがありません」とデザイナーは『VOGUE』で語っている。

デビューコレクションは、ニッコロが両親のクローゼットにあった服で着飾った自身の姿を鏡で見て、田舎から、そして「強制的に所属させられた部門」から逃げ出したいと思った幼少期の記憶からインスピレーションを得たものだ。デザイナーは生物形態的にもジェンダーについてもニュートラルであることを好み、they/themのプロナウンを使用している。

さらに、ニッコロはシュルレアリスムのアイコン、クロード・カーン(Claude Cahun)についても考えていた。彼女もアイデンティティを模索するために鏡を使用したため、デザイナーにとって親近感があったからだ。

自分の仕事が本物で正直なものであることが大事

2022年春コレクション(Courtesy of NICCOLO PASQUALETTI)

ブランドのアイテムは、さまざまな方法で着用できるものが多い。クロッチのないパンツをパンツとして捉えるか、スカートとして捉えるか。タイトなマクラメ編みの作品をトップスとして捉えるか、ネックレスとして捉えるか。ニッコロはスタイリングとアイデンティティの両方において、着用者に選択を委ねている。

これらのハイブリッドなアイテムに加え、一緒にコーディネートできる彫刻的なジュエリーもラインナップ。意外性のある素材でできたアクセサリーは、トスカーナの職人技が光っており、職人技とフォルムへのこだわりが作品の完全性を生んでいる。

2022年秋コレクション(Courtesy of NICCOLO PASQUALETTI)

ニッコロにとって大手ブランドで働くという比較的安全な環境を離れ、独立するということは、自分のやり方で物事を進めることであり、時間をかけて作品のあらゆる側面を検討することであった。デザイナーはすべての細部に配慮することをデザインと呼び、自分の仕事が考慮されたものであり、本物で正直なものであるということが重要だと説明している。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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