同じ世界に生きている/近い国遠い国

 金木犀の香りが最盛期を迎えている。隙間だらけですかすかの家だけれどキンモクセイ(とかギンモクセイとか)の香りはあまり家の中までは入ってこない。クズの花の時は家の中までものすごかったのに、全然違う。家の外に出た時の実感としては、今のキンモクセイの方ががぜん街中に香っている。
 クズの花は香りは甘ったるい感じだったけれど“軽さ”があった。けれどキンモクセイはクズより甘味は?抑えられている代わりにまとわりつくような濃密な“重さ”があって、その密度で香りが家の中に入れないのか?と思ってしまうくらいだ。秋らしい感じを実感したいのに最近は年中その香りの香水を纏っている人とすれ違ったりするので、何だか季節感が薄れてしまっている。

 ハン・ガンがノーベル文学賞を受賞した事が嬉しすぎて友達にラインしてしまった。この賞には書店員時代にも全然興味が無かったのに、ハン・ガン作品や韓国文学のことを思うと今回の受賞はあまりに嬉しすぎた。彼女の受賞後の反応から次の日の平和賞への流れまで含め、社会への問いかけを強く強く感じた。
 こういう話を普通にできる友達は今は少ししかいないけれど、だんだんと増やしていけるといいなと思う。

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