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#05_目は口ほどにものをいう
人がまばらになり始めた川名の公園で、二人は遊具に腰掛けた。来る途中で「脱水症状は怖いよ」と、たま子に促されて買った水を一口飲んで、「やっぱりまだ暑いね」とガンディはたま子に声をかけた。ペットボトルに付いた、橙色がかった赤のリップをすっと親指でなぞってふき取る。足元に水を置いて、少し離れたところで笑いながら走り回る小学生を二人とも目で追っていた。おもむろに鞄から取り出したティッシュで、ガンディはそっと指を拭った。続けて携帯を取り出すと、画面に触れながら、頻りに指を動かしていた。画面を見つめるガンディの眼差しは、彼氏を見つめるときのそれと同じだった。画面から急に顔を上げたガンディの目線がたま子と目が合った。いつもとは違う色がのった唇から、明るい声色で告げる。
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