手紙
お元気ですか?
時々宛名のない手紙をどこかに書いては
出さずにしまっていたわたしも、
あなたに手紙を書くのをこれが最後にしようとおもいます。
大したことは書きませんし、書けませんから安心してください。
最近また私は海のむこうに行っていました。
言葉も違う、気候も食事も、人と人の間に流れる空気、交わされる挨拶、表情すべてが
私のいる日常とは異なっていて
自分のいる世界は本当にこの世の中の一部でしかないことを感じました。
そして、いつもと違う地に行っても
私の臆病さ、惨めさ、詰めが甘いこと、
人に甘えてしまうこと、
それでも人が好きで、何かを挑戦することに大きな喜びを感じること、
生きていくことへの辛さと強い好奇心
これらは変わらないであることに気がつきました。
あなたは今どんなところで、
どんな世界を見ていますか?
どんな自分をみていますか?
もし自分の存在がちっぽけで不可解で
よくわからなくなったら。
わたしはあなたの人生の0.1ミリにも満たないかもしれないけれど、
それでもあなたは確かにあなたとして存在していたよって伝えたいです。
あなたの家族、好きなこと、今いる場所、
それらはあなたを構成しているほんの一部でしかなく、それらがあってもなくてもあなたという人は存在は物質はたしかにそこにあって、
私の手に触れたから。
だから勝手に自分を一部分で決めて、
失くしたりしないでね。
あなたもわたしもそれぞれの場所にちゃんといるから。
それをちゃんと教えてくれる人が
この先きっとたくさん現れます。
自分で自分を決められなくていい、
分からなくていい。
あなたはこの宇宙空間のほんの一部でしかなく、それでもたしかに存在しているものです。
わたしはその存在が好きだったよ。
駅に着いたようです。
よい旅を祈ってます
湖