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わたしたちの有限について
お金を何に対して払うかは
すなわち自分が何を大切にするかや、
生活をどのように彩るか、
どんな人の生活を支え、
この世界の何を大切にするが、
すなわち『わたし自身』になる。
そして、お金も時間も人生も、
『わたし』にとっては有限で、だからこそ大切なものなのだ。それは他人も同じだ。
日々、私たちは選び、選び合っている。
それでもたまに、選ばなかった方の人生を思い浮かべては、脚色され少し狂気じみた感じさえする結末を美しいと思ってしまう。
本当はそんな世界など存在しないのに。
あの日、あの時、あの夜、
私があちら側を選んでいたら今頃どうなっていたのだろう。その日の光景はまるで作り話のように、頭のなかで断片的に再生されては現実の波に打ち消されていく。いつしか侵食されて、丸くなって、跡形もなくなる日が来るかもしれない。
今日だけは選ばなかった方を頭に浮かべて、
それはまさに明け方にみる夢うつつのように
限られた人生の片隅にも残らぬくらいに、
ただたゆたっていくのをただ眺めていた。
湖