400gで生まれた娘 7

1週間後、検診の日。

この1週間、サイトメガロウイルスについて調べて落ち込んでいた。

サイトメガロウイルスはどこにでもあるウイルスでほとんどの人がすでに罹患し抗体を持っているとされているが、近年の生活環境の変化で抗体を持っている人が減ってきているということ。

抗体を持たない妊婦が初めて感染すると、血液を介して胎盤経由で胎児に感染する恐れがあり、先天感染を起こしてしまうと、エコーではしばしば胎児の発育遅延を認め、それにともなう低出生体重、他に脳室内石灰化、脳室拡大、肝脾腫、肝機能異常、血小板減少、網膜炎、けいれんなどの症状を伴う。

無症候性の状態で出生しても、その後難聴や視力障害、精神運動発達遅滞、てんかんなど遅発性障害が出現することがある。

怖過ぎる。
なぜ胎児にこれほど重篤な症状を引き起こすのに検査が義務付けられていないのだろう。

もし私が妊娠4ヶ月の頃サイトメガロウイルスに初めて感染していたとしたら、お腹の赤ちゃんは『先天性サイトメガロウイルス感染症』になっている可能性がある。
そうだとしても、現在有効な治療法はないとされている。

どうしよう。
赤ちゃんが先天性サイトメガロウイルス感染症だったら。
どうしよう。
赤ちゃんが小さいまま生まれてきたら。
どうしよう。
赤ちゃんに障害が残ってしまったら。
どうしよう。

赤ちゃんがこのまま死んでしまったら…。

『どうぞ』

診察室に呼ばれ、夫と入る。

『前回のサイトメガロウイルスとトキソプラズマの抗体の検査ですが、異常なさそうでした。』

検査結果のデータが先生のパソコンの画面に映し出されている。

異常なしか…。

良く見るとサイトメガロウイルスのIgMの数値の部分だけ赤い文字で±1.0と記されていた。

なんか赤い数値があるけど…大丈夫なのかな。
先生が大丈夫ってことは心配しなくて良いのかな…。

IgGの値は黒文字だから異常ないってこと?
(IgGの詳しい数値は失念してしまいました。)

※抗体検査では『IgM値』と『IgG値』を調べます。
IgM値は、細菌に感染した時に一番最初に作られる抗体です。
発症してから1週目の中頃から後半に生成が開始され、検査で検出可能になるのは発症後2週目頃からとされています。
その後、2週間から4週間ほどをかけて消失していき検査実施をしても検出されなくなります。
=IgMが陽性だと、感染して期間があまり経っていない=初感染の疑い

IgG値は、IgMが生成された後に生成され始めます。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多いです。
比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なります。
IgGが消失すると再感染する恐れがあるため、ワクチンの接種などによって再度免疫を獲得することが望まれます。
=IgGが陽性だと、過去に感染したことがある=初感染ではない可能性が高い

IgG値陰性、IgM値陽性の場合=初感染の疑い
IgG値陽性、IgM値陰性の場合=過去の感染の疑い

とりあえず、赤文字が気になるけど先生が異常なしって言うなら大丈夫ということなんだろう。
トキソプラズマもサイトメガロウイルスも異常ないってことは赤ちゃんが小さい原因が結局わからない。
異常が出ても怖いけど、それはそれで原因がわからないからモヤモヤするな…。

『今日は24週ですね。前回より大きくなっているか見てみましょう。』

私はモヤモヤしながらベッドの上でお腹を出した。

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