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オス猫の腹に母性を感じる30代女

1週間ぶりに実家に帰ると、そこには猫がいた。


足を開脚し腕を組む猫



忘れられているのか、覚えられているのか、どっちつかずとも言えない態度がいじらしい。とにかく触りたい、この一心で帰ってきたわけだがそうそうに逃げられた。押し入れの中に潜り込んだぼんちゃんを待って、出てきたと思いきや真っ暗な部屋のどこかに隠れたぼんちゃんを探した末、ようやく捕獲。そして抱く。たった1週間離れていただけなのにもう大きくなったような気がする。心なしか重い。子猫と呼べるのはどれぐらいの期間なのだろうか。なるべくその成長を見たいから、暇さえあれば片道1時間半をかけて実家へと帰る。その甲斐あってか、しばらくじゃれ合ったところで腹を見せてくれた。


腹を見せる猫

この肉球の愛らしいこと。すかさずこの腹に顔を埋めたら、いつのまにか伸びていた爪で思い切り顔を引っかかれて軽く負傷した。どうかこの柔らかい腹に、顔を埋めさせてよぼんちゃん!!!と再チャレンジ。爪が長い、爪が痛い。しかしもう気にせず私はその腹に顔を埋めて、うーーーんうんうんうんなどという奇怪な声を発しながら満たされていた。なぜ猫の腹を見ると顔を埋めたくなるのだろう? ぼんちゃんはオスだけど、この時ばかりは母性すら感じる。

しかし爪が長い。我が家はこれまで猫を飼ったことがなく、犬の爪しか切ったことがない。そのときも相当に暴れていた犬だが、ぼんちゃんはそれ以上のもので、爪を切ろうと抱っこすると腕をすり抜け逃げてしまう。毛も逆立っている。落ち着いたらまた切ろうか、と母親と結託し、ふたりで「子猫 爪切り」とYouTubeで検索して動画を見ていたら、ぼんちゃんがテレビの前に座って猫の爪切りを眺めていた。よし、今だと思って抱えたが、するりと逃げられる始末。

爪切りの姿を見られないまま、わたしはまた1人家に戻ってきた。ここにはぼんちゃんがいないから寂しい。猫の代わりにテディベアとドラゴンの人形を枕元に置いて撫でている30代女です。そして冷房のリモコンを洗濯機に入れて回してしまい、永遠に冷房を止めることができません。常に部屋は快適な温度が保たれているのに猫がいないなんて。こんな時こそ猫の腹に顔を埋めたいものだよ。


そう簡単に触らせてたまるか、の顔


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