バルカン半島の旅③【ボスニアヘルツェゴビナ】
前回のつづき。
この日はドゥブロブニク(クロアチア)からバスで2時間半かけて
隣の国ボスニアヘルツェゴビナ🇧🇦のモスタルという街へ。
①でも話した通り、今回の旅全体でみてこの街が優勝!!だったのでじっくり振り返ろうと思う。
ボスニアといえばどんなイメージ?
といわれても何の知識の点にも触れることもない、
イメージもなにもない。どこそれなにそれ?な私だったが、
年配の方、歴史に詳しい人からしたら
「ちょっと暗いイメージ、治安が悪いイメージ」だという。
それはボスニアの首都サラエボでは、1914年にオーストリア皇太子夫妻がセルビア人青年に暗殺される事件が起こり、この事件がきっかけとなって第一次世界大戦が始まったり、
1992年から1995年まで、3年半も続いた民族(宗教)間の紛争では、歴史・文化遺産を容赦なく破壊し、当時日本でもニュースになっていたからだそう。
そんなボスニアは多民族、多宗教の国。
様々な文化と宗教が混在する、稀有な国で、
私が今回訪れた「モスタル」の一番の観光名所(世界遺産)であり町の中心を流れるネトレヴァ川を繋ぐ『スタリ・モスト(古い橋)』にもその色が表れている。
この橋の東側にはイスラム系住人が住むエリアでモスクのある風景が広がり、
西側にはクロアチア系住人が住みキリスト教会があって、
その雰囲気、建築様式が橋を隔ててはっきりと異なっている。
同じ町なのにたった一つの橋の東と西で、公用語も違うし公共施設(学校とか)も違う。
様々な宗教・民族・文化が共生しているのだ。
そんな今までに見たことも経験もしたことのない面白い(興味深い)ところに行ってみない?
と夫のおまめさんに誘われ、今回の旅程に組み込んだのである。
しかし正直なところ私の興味は
食。
そう。
食べ物なのであった。
ボスニア グルメ 🔍 で調べると
「格安美食大国!」と出てくる。
こりゃあ食いしん坊代表として聞き逃せない魅力ワードです。
約300年間オスマン・トルコ統治下にあったため、バルカン半島の中でも特にトルコの影響を強く受けた料理が多いそうで
肉肉しいグリル料理の名物が多数あるのが特徴的。
スパイス大好き、
パワフル料理大好きだから
これは行かないわけにはいかない。
となり、ホイホイついていくことになったのです。
そして
実際のところ、
最高だったー!!
特に炭火で焼いた俵状のハンバーグ?つくね?のようなお肉を
ピタパンのようなもっちりふっくらしたパンと一緒に食べる
チェバプチチ(Ćevapčići) が
んもう最高だった。
ローカルなお店で頼んだチェバプチチ。
付け合わせの生玉ねぎは淡路島の玉ねぎのように甘くてみずみずしい。
力強いケバブのような肉料理の箸休め的存在として欠かせない存在。
📍 Ćevabdžinica Cernica
Adema Buća 16, Mostar 88000
他にもボスニアコーヒー
📍 Café de Alma
Rade Bitange, Mostar 88000
イカのグリル
野菜のグリル
サメ料理
📍 Hindin Han
Jusovina bb, Mostar 88000 ボスニア・ヘルツェゴビナ
何食べても本当に美味しくて、
全体的な味付けとしてビールにすこぶる合うパワフルさはあるものの
クセが強いわけでもなく、胃への負担に困ることもなかった。
そしてとにかく安い。
たらふく食べた帰り道に道端のアイスクリーム(1ユーロ)を頬張るご機嫌な滞在でした。 ←
そんなこんなで、食の楽しさに惹かれながらも
町の美しさに、自然の豊かさに心を奪われ、
一気に虜になったボスニアのモスタル。
でもやっぱり前述のとおりわずか十数年前には実際にここでひどい紛争があったことを、町のいたるところで感じる。
宗教の違い、人種の違い。
いまこんな風に平和に観光できていても、明日にはどうなっているかなんて分からない。
共存というものはそもそも難しいものだけど、
いま現在のこの平和の軽やかさの裏にある大きな重みを理解して過ごす必要があるなと心から思った。
日本にいた時に言葉や画面上で少し触れていたような感覚よりも
さらにさらに重く実感できた、自分にとってとても良い機会に恵まれたと思う。
世界は微妙な均衡の中で成り立っている。
ボスニアから市営バスで30分ほどのブラガイという村も
とってもとっても美しく、神聖な場所で印象的だった。
異文化に触れながら、確実に自分の価値観のアップデートができた今回の旅。
まだ見ぬ絶景はたしかにあったけど、
自身の力だけでなく、世界の平和がなくては出会えない。
今回の私の好きポイントは、
観光地ならではの整備された訪れやすさはありつつも(ありがたい)、ほどよく不便で便利すぎてない力の抜け加減。
街全体が商業的な部分とそうでない部分のバランスが良く、光と影のコントラストにリアルさを感じること。
それら全てが満たされた場所だった。
あと印象的だったのは、
クロアチアでも感じたが、それよりもモンテネグロ、ボスニアの人々は少し暗い顔をしていたこと。
(へんにニコニコしていない。愛想を無駄に振り撒かない印象)
でも懐っこい笑顔が良いとも一概に言えないし、
その歴史の深さは、私には計り知れない。
国の成り立ちにルーツがあるように、
人々の文化にもルーツがあって、
目の前に存在している個人の表情にもルーツがある。
自分の小さな物差しでそれを「良い・悪い」とジャッジする人にはなりたくないなと思う。
今まで行った国では感じられないような
また深い経験をひとつさせてくれた国、ボスニアヘルツェゴビナ。
また行ってみたいと思った貴重な国でした。
おまけ
ボスニア編おしまい 完