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髪を染めない方がいい社会で、どうして髪を染めるの?

最近久しぶりに、黒髪を金髪にしました。

こんな感じ。



しかしつくづく思うんですが、髪を染めても良いことってないですよね。

お金がかかるし、髪の毛も傷む。そして何より、周りからの印象が良くない。「チャラい」「怖い」「イタい」。

日本の生活においては基本的に、髪は染めない方がいい。


じゃあなんで僕たちは染めるんだろう。あらためて考えてみると、自分でもよく分からない。



ところで髪を染めたことってありますか?


ある調査では、染めたことがない人が全体のうち41.5%、男性だと59.8%、女性だと23.3%らしいです。


個人的には、意外と染めたことある人多いんだなあ、という印象ですね。初めて髪を染めようと思った時の心境、みんなどんなだったんだろう。



たかが髪色。されど髪色。

人によっては本当にどうでもよくて、なんで染めるのかなんてさっぱり分からないことなんだと思います。

ファッションに興味がある人もない人もいるよね。ネイルにこだわりがある人もない人もいるよね。それとおんなじ。



僕の場合は、髪色はけっこう重要な要素で、これまで様々な色にしてきました。当時の状況や精神状態が反映されています。ちょっと振り返ってみる。



2017年

高校までは染髪禁止だったので、普通にみんな黒髪で過ごしてました。


この時期からヘアセットに目覚めたりして、ヘアアイロンで髪を跳ねさせたり、デューサーとかアリミノとか使って束感を必死に出そうとしてました。





最近使ってるワックスはこれです。オーシャントリコのワックスは10種類くらいあるけど、違いがマジで分からないので、名前の響きで決めてます。


家で時間がない時は、朝礼後の休み時間にトイレの鏡を使ってセットしたりしてました。そんな俺たちのことを誰にも笑わせないぜ。






2018年 5月

初めて髪を染めたのは18歳の頃でした。明るいヤツになりたかった。

これは、オシャレな言い回しをすればアッシュブラウンとかそんな色になるんでしょうか。そんなことよりも服が赤い。



大学近くの美容院に行って、初めてブリーチをしました。その後にカラーを入れてます。終わったあと「垢抜けたね」と美容師の方に言われて、なんかモヤりました。それまで垢だらけだったみたいじゃねえか!と。思春期の自意識。

(「ブリーチ」とは、髪の毛に色を入れる「カラー」とは別に、髪の黒色を脱色することを言います。黒い画用紙の上に色鉛筆を塗っても何も見えないように、明るめの「カラー」を入れる前には「ブリーチ」で髪の地の色を明るくしてあげる必要があります。)





2018年 6月

セルフブリーチ直後

初めて髪を染めてからまもなく、「もっと明るくしてえな」という思いが強くなり、しかしお金がないので、自分でブリーチをすることにしました。


ちなみにブリーチをすると、

・髪が傷む
・髪が乾きづらくなる
・処置中、ブリーチ剤が沁みて痛い

といったデメリットがあります。




セルフブリーチするより美容院に行った方がいいよ!と色んなサイトに書かれていたんですが、やってみたら普通に綺麗にできました。「できんじゃん!」と思った。


以後調子に乗って何度もセルフブリーチをするのですが、強いムラができるなど大きな失敗をしたことはなかったです。(やりすぎて髪が千切れたことはある。その時はちょっと泣いた)



最近はこのブリーチ剤を使ってます。ちょっと高いけど質は間違いない。ちなみに1箱じゃ100%足りないので2~3箱買いましょう。







そんで赤くしました。深夜のドンキで買ったマニックパニック。ヴァンパイアレッド。



この頃は、まあ他のnoteにも書いてたりするんですが、大学生活が早くも辛くなっていてですね。あんま考えずに選択した進学先だったので、授業に興味を持てず、なぜ大学に通っているのか分からなくなりました。

あとは、地元から知らない土地に一人で出てきたことによる孤独感も強くあった気がします。大学に友達はいたんだけど、それでも寂しかったです。


そういう鬱屈とした気持ちやフラストレーションに対しての抵抗がこの赤色です。
ダサいかもだけど、共感はしてくれるだろ? そこの男子。






ちょっと経ってからピンク色にもしました。

写真は自分で染めてる時の様子です。後ろ側がちゃんと染まってるか確認しないといけないからね。


こういう色にしていると、やっぱり大学でとても目立ちます。勝手にカメラ向けられて撮影されたこともあって、民度どうなってんだと思った。

そのうち、友達の友達くらいの距離感の人に、「教育学部の赤髪の人」という覚えられ方をするようになりました。それが僕は存外、嬉しくなかったです。仕方がないとは思うけどね。



人は人を見た目で認識するのだなと、あらためて実感しました。



別に髪色に限った話じゃなく。そうだな、たとえば「可愛い子」「イケメン」という呼ばれ方をする人もいたし、「オシャレな人」「背が低めの人」「メガネの人」「ヒゲの人」も。

そこに大した意味があるわけではなく、ただ単に分かりやすくて、話をする上で都合がいいんですよね。



人は人を見た目で認識する。もっと言えば、見た目で判断し、カテゴライズする。
なんかちょっとだけな、うんざりしちゃうよな。自分だって例外じゃないくせにな。


話を脱線させる。僕は現在、この時期に通っていた大学とは別の美術大学に通っているのだけど、そこでは人が人の身体的容姿について言及することが、本当に無くて、すごく良いなあと思う。「可愛い」とか「可愛くない」とか、そういうワードが全然出てこなくて、居心地がいい。(服とかについてはめっちゃ言う。みんな褒める)




2018年8月

正式に金髪になりました。


セルフブリーチを繰り返して、かなり明るくなってます。自撮りとか多めにしてた時期です。思春期の自意識。

耳に付けてるのはイヤリングです。痛くてすぐに付けなくなった。

通っていた大学を休学し、浪人のため東京に引っ越してきたあたりですね。せっかくできた友達とも離れて、また一人になってしまった。



こうした髪色は、家族には不評でした。

「その髪で(地元に)帰ってきてこないでほしい」と、そのようなことを言われたこともあります。

東京ならともかく、地元にはこのような髪色の人はほとんどいませんでした。
いるとしたらやはり大学生くらいのもので「遊び盛りの若者のイキってる髪色」みたいな見られ方をされやすかったのかなと思います。


実際のところこの時期は、美大を目指して浪人しており、毎日予備校に通っています。誰とも遊んでない。




いつだったかヘアチョークで髪を染めて、少し色落ちした後の写真です。我ながらめちゃくちゃ綺麗だと思う。


ヘアチョークという髪専用のチョークがあるんですが、かなり色が入りづらく、使いづらいので、あんまりリピートはしませんでした。大きなイベントの日などにはいいかもですね。やはり地の髪がハイトーンじゃないと難しいとは思うけど。






2019年 2月

青紫寄りのカラーを入れることで、黄色さを打ち消し、より白に近くなりました。

ここまで白かったのは後にも先にもこの時期だけかな?


結構気に入ってましたが、この色を維持するのはめちゃくちゃ大変でした。
何回もブリーチしないといけないし、カラーも必要だし、かなりお金がかかります。オマケに毎回頭皮痛いし。

なのでこれくらい白かった時期はそんなに長くなく、徐々に金髪に戻っていきます。


だいぶ後になってから、一緒に予備校に通っていた人たちに話を聞くと、「髪白い人がいて怖かった」と言われました。すまんな。





2020年 1月

この時期の髪は、前の写真ほどしっかりブリーチしてるわけではないんですが、紫シャンプーというものを使うことで、髪の黄色味を割と抑えています。


色々ありますが、僕はこれを使ってます。



金髪・白髪にしてからは、黒ハットを好んでかぶっていました。見た目も好きだったし、新しく黒髪が生えてるところ(いわゆるプリン頭)を隠すこともできて都合が良かったです。

「恰好だけはアーティストみたいだね」と家族に言われ、目眩がするような屈辱を感じました。






2020年 4月

結局大学に落ちちゃって、もう一浪します。バイトのため髪を黒くしました。またしてもセルフカラー。ここから1年間は黒髪です。

自分の手で髪を黒くした時の感覚、悔しさはよく覚えています。またいつかハイトーンカラーに戻してやる!!と、神に誓って髪に誓いました。


ちなみにセルフで黒髪にするのは、黒くなりすぎて不自然になったりするので、できれば美容院に行った方がよかったですね。



久々の黒髪でしばらく過ごすと、「楽だなあ」と心底思いました。ドライヤーが早い早い。必要以上に目立たずにすむしね。黒髪は便利ではある。




2021年4月

大学に受かって、また髪を少し染めました。以前の大学に入りたての時の同じような色をしていますね。


本当はまた金髪にしたかったんですが、浪人が終わった途端思いっきり明るくするのがなんか恥ずかしくて、でも染めてはみたくて、妥協案としての色でしたね。三浪が思春期ぶるなよ。




2021年 5月

結局すぐにまた金髪にします。自分で言うけど、こっちの方が似合ってると思う。そうだろ??

この金髪はブリーチ後にカラーを入れていない、いわゆる「抜きっぱなし」の状態です。カラー代がかからないので、比較的安価です。


これまで何度もセルフブリーチを行ってきましたが、このように金髪を継続する場合、髪全体ではなく、根本のみを明るくする必要があります。(リタッチカラー)

根本のみにブリーチ剤を付けることは、とてもじゃないけど自分だけじゃできないので、やはり美容院に通う必要があります。



この時期の美容院に通うペースは2ヶ月に1回くらいでした。

友達の紹介で、カラーとカットのモデルとして営業時間後に美容院に通っていました。
(モデルなんて書くと格好いいですが、要はデビュー前の美容師の練習台みたいなものです)

毎回担当してもらう美容師の人とはすっかり友達になり、一緒に映画を観に行ったり、RADWIMPSのライブに行ったりしてます。




2022年10月

2年くらい金髪の時期が続きます。

リタッチを繰り返すうちに、だんだんと全体的に明るくなってきているのがわかります。ちなみに金髪の時は、基本的にワックスなどでヘアセットをしてません。元々髪が傷んでるので、ボサボサになりやすい。


ところで、これは男性の場合が多いかもしれませんが、髪を染めると職務質問される確率が上がります。

僕はなぜか人よりも職務質問をされることが多いのですが、それはいつも赤や金に髪を染めている時期で、黒髪の時に警察官に声をかけられたことはありません。人は人を見た目で認識し、判断し、カテゴライズする。

ただ実のところ僕は割と職務質問というイベントが嫌いではないです。警察官と話す機会なんてあまりないからね。



女性の場合は、自己防衛的な手段として金髪が有効らしいですね。髪を染めてから、駅でおじさんにぶつかられなくなったとか、痴漢に合わなくなったなど、実際に周りの人からも聞きます。彼女もそんなこと言ってた。

そんなことして身を守らなきゃいけない社会ってなんなんだよって強く思うけれど、髪を染めることがプラスになる場面もありますね。





2023年 3月

髪が長くなったりもしています。似合うかは別として、長い方が昔からなんとなく好きです。



さて相変わらずお金はないのですが、なぜ髪を染めるんだろう。

社会では基本的に黒髪の方が"良い"とされるのに。男性の場合なんて特に、髪を染めて良いことなんてほとんどないのに。印象は悪いし、髪は傷むし、お金はかかるし。


この答えは、未だに正確に言葉にできないんだけど、要は自分が好きな自分でいたいってだけなんだと思います。

着たい服を着るように。履きたい靴を履くように。自分が好きな自分の姿であることで、自分をもうちょっと好きになりたい。特に僕は、それが苦手だから。




僕は黒髪の自分より、明るい髪の自分の方が好きでした。ちなみに赤はそんなに好きじゃなかったです。
これは本当に、単なる好みの問題だと思います。つぶあんよりもこしあんが好き、みたいなもん。

(パーソナルカラーとかも関係あんのかな? その辺あんま詳しくない)


別に、派手な髪色にすることで誰かに覚えられたいとか、目立ちたいとか、そういう気持ちは全然ないんです。たまに誤解されちゃうんだけど。




この年に祖父が亡くなったのですが、「葬式には黒髪に染めてきて」と母に言われました。
伯父が「気にしなくていい」と言ってくれて、結局そのまま行ったのですが、何が正しいのか僕はよく分からないです。







2023年 6月

就活のため、黒髪にしました。

結局僕はたぶん大学院に行くのでひとまず就職はしないのですが、ともかくこの時期は、「就活生は当然髪を黒くすべき」みたいな流れに沿って黒くしました。

僕の場合は別に、髪色が絶対譲れないこだわりというわけではないので、特に抵抗なく黒髪にしたのですが、この慣習に納得がいっているかというと、正直納得してないです。



会社員はお金を貰う立場なので、会社や社会のコードに従わなければいけない。

お客様や取引先の相手と関わるとき、髪色が派手・華美だと違和感や不快感を与えうる。


理屈は分かる。

けれど、そもそも「髪を染めていると印象が悪い」みたいな感覚が、個人的にはあまり馴染めないのです。美大生だからなのかもしれないけれど。Z世代だからかもしれないけど。




本当に、ただの個人的な、子どもじみたワガママなのかもしれません。

でもそういった類の常識、マナーに、どうしても少し肌が合わないのです。別に何色だっていいじゃないか。中身がいちいち変わるわけではあるまいし。



当時は疑問を持っていなかったけれど、多くの学校が染髪を禁止する理由がよく分かりません。化粧禁止はもっと分かりません。

髪と頭皮にダメージが入るから、健全な成長のために義務教育期間は禁止、とかなら理解できます。でも実際の校則にはそういった理屈はないような気はします。


ちょっとズレるけど、「正しい箸の持ち方」とかも、よく分からないんです。食べられればそれでいい、じゃダメなんでしょうか。めちゃくちゃ食べ方が汚かったら別かもしれないけど、その持ち方で普通に扱えるのなら、別に誰も困らないと思うのだけれど。




たぶん、イメージなんだろう、と思います。

黒髪の持つイメージ。金髪の持つイメージ。
正しい箸の持ち方のイメージ。間違った箸の持ち方のイメージ。
真面目というイメージ。ヤンキーっぽいというイメージ。
健全というイメージ。育ちが悪いというイメージ。


人は人を見た目で認識し、判断し、カテゴライズする。
事実よりも、イメージ作りが重要なのでしょう。その方がわかりやすいから。特に会社なんかは、利益のためにイメージを大切にしなきゃいけない。


でも、そのイメージってそんなに本質的なことなんだろうか。本当、よくわかんねえよ。


坊主頭を強要する野球部は減りつつあります。(まだまだあるけど)。
少し前まで語られた「男女の役割」なんかはステレオタイプになりつつあります。(まだまだあるけど)。


こういう髪色のイメージも、いつか変わっていくんでしょうか。そうだといいな、と思います。






そんなこんなあって現在に至ります。金髪に戻しました。またすぐ黒髪にするかもしれません。

ありがたいことに、周りの人にはとても評判が良いです。金髪の僕の姿に違和感がなさすぎて、しばらく気づかなかったという人も何人かいました。一年以上黒髪だったのにそんなことある?


髪を染めても、いいことなんてない社会。なのにどうして僕たちは髪を染めるんだろう。


それは、ちっぽけな自分を少しだけ愛するための手段かもしれないし、社会に対する自己防衛やレジスタンスなのかもしれない。あるいは気になる人に「ハイトーンの髪の人って良いよね〜」って言われただけかもしれない。

大した理由なんてありません。そう、大したことじゃないんだ。


なんにせよちっぽけな僕らですが、わりと真面目に、一生懸命生きてます。

怖かったらすみません。その辺はカバーできるよう、なんとか頑張ってみます。どうぞよろしくお願いします。






大学の同級生に、カメラに何十万もお金をかける奴がいます。僕はそれが理解できなくて、「なんでそんなにいくつも買うの?」と尋ねたことがあります。

黒髪の彼は言いました。「お前が髪を染めるのと同じだよ」と。


エンドカード




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