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忘れてもいいかな

グリーンの、私だけに春を連れ戻す、メロディ
私の新しい場所、君の住み慣れた場所

降車駅を逃さないように、耳だけ傾けて

あの駅に触れるたび、
全然さらっと、なんてなれない
心が揺れる
昨夜たくさん雨が降った日の、朝の匂い

あんなに賑わっていた焼き鳥屋さんの
静けさが寂しい

コンビニから漏れるわずかな光じゃ
わからなかった勾配の急な坂道

今でも息吸うように戻れる
あの春の、あの音と、白いイヤホンの感覚を
今でもちゃんと

覚えている

春だったと思う
正真正銘の春だと思う
暖かくて明るくて、白くて、オレンジで

寒いのに
寒くても
春が来ていた

雨の少ない春だった
さよならに涙が出ない季節だった
本当は泣いてた

なんなんだろうね一体
僕はもう苦しくないし
君を好きになんてならないのにさ

東京の空はグレーなはずなのに
思い出せるのはいつでもちゃんと青くて
騒がしいはずの飲み屋街も、ネオンも
全部、クリスマスのイルミネーションみたいだった

嘘つき

それが好きだったな

僕が、それをこの先ずっと忘れないと誓えること

忘れられるはずがないって
嫌味なほど平然と、脳に染みついた記憶を
もう三年も持て余していること

なんて、
びっくりするくらい平気なこと

君はちゃんと知ってるかな

はじめまして、ひろです。 毎日ただ思うことを書いているだけの場所ですが覗いてくれてありがとうございます。明日もたくさん笑いましょうね。