実在しそうでしない、モノがたり
「のど飴」
階段を上がってすぐ、この場所から電車に乗ると、朝の7時50分発、定刻通り、やはり今日も彼はいた。
どこから乗ってくるのかは分からないが、私が最寄り駅から乗ると、彼は既にいて、だいたい座席横の板にもたれかかってスマホをいじっている。中肉中背。特別かっこいいわけでもかっこ悪い訳でもない。
「人生は頑張るものではなくて、こなすもの。」
誰かがそんなことを言っていたような気がする。私もそう思う。ただ淡々と日々をこなす。その繰り返し。大学に行き、バイトをして、帰ってき