『あのこは貴族』を観た。
あらすじ:
階層による「普通」が全然違うことの驚き。
まぁ別に階層だけでなくても他人のおうちとの「普通」の差に唖然とすることがありますが…。冒頭から華子のおうちの正月の風景が出てくるのですが、まずここで私たち庶民とはまるで異なる彼女の家の「普通」をみせつけられるわけです。
なんてたって高級ホテルで正月に会食、しかも畳部屋なのにイスとテーブルで食べるんですか?????
しかも話題が華子が婚約破棄されたことに対して、家族たちによる強引なお見合い話へとスライドしていく。跡継ぎがどうだ、そこそこ遊んでる相手の方がいいだと、華子の気持ちを聞かずに勝手にと縁談を決めようとする家族たち。お婆様の話していた考えもかなり浮世離れしていた気が…。きっとお婆さまにとっては聞かされた話が「異常」に聞こえて、自分の「普通」の領域を越えてたのかもなぁ。
こんな感じで良家の「普通」をまじまじと見せつけられるわけですが、華子はここから徐々に自分が抱いていた「普通」とはかけ離れた世界に足を踏み入れていくのです。
まず、ネイルサロンの担当をしている女性に男を紹介してもらいます。
待ち合わせ場所に着いた途端、恐らくこのお店だろうと一見おしゃれなお店の前に留まりますが、実はそこが待ち合わせ場所ではなくはす向かいの大衆酒場。
関西弁で話す気さくな男性を紹介され、飲み物何にする?ラテかな?紅茶かな?と茶化されてしまう華子。とっさに化粧室に逃げ込むも汚い便器に驚愕し、慌ててタクシーに乗って逃げてしまう。
私にとっては見慣れた風景で、大衆酒場の方が肩ひじ張らずに居心地よく楽しめるお店ですが、華子にとっては苦痛だったんでしょうね…。
実際華子が通うカフェなんて、メニューを見ずしてほしい飲み物が置いてあるお店だったし、幸一郎と食事する店なんてまぁ敷居の高いお店で、彼らの「普通」と僕らの「普通」はこんなにも違うモノかと。
とはいえ華子さん、幸一郎とお付き合いし結婚していく上で、自分の「普通」とは違う世界に驚きを隠せなくなっていくんですね~。
いわゆ「上には上がいる」というやつ。
特に華子が驚いたのが幸一郎のおじいちゃんに素性を事前に調べられていたこと。初めての顔合わせで自己紹介する華子。姑から色々質問を浴びせられ小言を言われるも、難なくクリアしていくわけですが、おじいちゃんから「君の家のことは調べたよ、幸一郎この縁談は進めていってもらって構わない」と言うのです。外に出るや否や幸一郎に「調べたって何を?」と聞くんですが、幸一郎は「興信所に頼んで君のことを調べたってことでしょ?うちはこういう家柄だからさ、普通するでしょ?」と。政治家を輩出するほどの良家ですから、家に傷がつくようなことがあってはいけないわけで、調べるのは当然のことだと、きっと幸一郎は言ったと思うんですが、華子にとってはこれまで経験したことのない出来事。
他にも結婚することが夢だった華子が、政治家の秘書として疲労困憊の幸一郎にこれからの夢の話を聞かせてとせっついたとき、幸一郎から「これは目的だから、夢とかじゃないし。君と一緒だよ」と。
え?わたしの抱いていた結婚という夢は目的だったの?と。箱入り娘が外の世界、階層の違う人種と出会っていくことで、こんなにも違う「普通」があるのかと思ったことでしょう。
自分が抱く理想の結婚と、家族が押し付ける結婚や子作り。自分が歩みたいペースで歩かせてくれない良家ならではの悩みは、美紀との出会いで大きくか変化していくわけです。
なんだかどの章に関しても感じたことが多々ありすぎていつも以上に文章まとめるのが難しく下手さが増してしまうなぁ。この映画を観終えて、一番最初に思ったことは、『友だちって素晴らしいな』なんだった。
私には想像もできないくらい知らない世界の「良家」の話だったけれども、【榛原華子と相楽逸子】、【時岡美紀と平田里英】この2組の「友情の強さ」が刺さった。良き友人関係があれば、あんなにも人は活き活きと生きていけるのかと圧倒するほどだった。原作本も手に入れたので、この後、好きな台詞と好きな表現を探していきたいと思います☺︎
好きな映画が増えました。
■公開情報
『あのこは貴族』
2月26日(金)全国公開
監督・脚本:岨手由貴子
出演:門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静河、山下リオ、佐戸井けん太、篠原ゆき子、石橋けい、山中崇、高橋ひとみ、津嘉山正種、 銀粉蝶
原作:山内マリコ『あのこは貴族』(集英社文庫刊)
配給:東京テアトル/バンダイナムコアーツ
(c)山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会
公式サイト:
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