光の道は遠く「夜明け前-吉展ちゃん誘拐事件-」
昭和大事件連続上演
光の道は遠く「夜明け前-吉展ちゃん誘拐事件-」観劇。
昭和に起きた大事件の犯人の家族に焦点をあてた作品。
人物たちの思いに触れ、想像しました。肉親ゆえに生まれる憎しみ、愛。そして、保身的思考。何が正義なのか、何とどのように向き合っているのか。
作品を通し、時代を越えて事件を知ることで自分自身や現代を生きていくことも考える。
ただ起きたことを知るだけではなく、自己投影し、人物たちの心と向き合う時間でした。
重い題材でありながらも笑いも含み、軽やかに進んでいく。
詩から始まり、詩で終わりに向かう。終わりの詩に思い馳せる中で迎える終幕。ラストがあまりにもショッキングな描写だった。保が逮捕に至るまでを追う中で生まれた情を潰されるような衝撃。とんでもない演出だな、と。怖かった、、。
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この作品で、一番感情移入というか心近くに感じたのは、山像かおりさん演じるキヨ子。
愛を信じ、愛に迷い、愛を守る姿に胸打たれました。
チャーミングで明るく振る舞いながらも、どこか不安そうで、彼女はどのように生き、何を思うのかを想像しました。
当時、保が36歳。キヨ子は、保より年上。この時代にこの年齢の女性が独身、家族もいない。きっと世間の目は、厳しかったと思うし、寂しい思いをしてきた人だと思う。保は、キヨ子にとって救いであり、求められることで、自分の存在理由を感じていたのではないかな。
実家に連れて行く=結婚だと思い喜んでいたけど、お金を預かって欲しいと言われたり、彼の様子が変わったことで、疑いの念が生まれたと思う。
けど、それを言葉にしたり、彼を否定するようなことをしたら、彼を失ってしまいそうで怖かったんだろうな。
彼の無実も彼の愛も信じたかったんだと思う。
20万円預かってることを内緒にしてたことも、彼の愛が本物だと信じたかったから。都合良く使われてるなんて思いたくないし、愛する彼がそんなことをしたなんて思いたくない。気づかないままでいたい。
けど、20万円のことを話したのは、キヨ子の正義であり保への愛の現れだと思う。
話したことがバレた時は、目を逸らしていたけど、嘘で隠すより保にも自分にも誠実に向き合いたかったんじゃないかな。
彼を失ってしまうかもしれないけど、どんな時も自分の気持ちも彼のことも大切にしたいキヨ子の葛藤や迷いが、切なくも美しかった。
あと、たい焼き、お花のシーン。
どんな時も気遣いができて、空気を感じ取れる人。用意したたい焼きやお花を蔑ろにされたとしてもサッと身を引ける姿に胸が苦しくなった。
やさしい、頑張り屋さん、ほんとに。
どこまでも心尽くすキヨ子に涙が出そうになった。そして、帰りにたい焼きを買って、私は食べるよー!って思いながら食べました。(余談)
自分の用意した物を蔑ろにされると、自分自身を蔑ろにされてるように感じる。残された物を見ると悲しく、惨めさが可視化されるようで、あのシーンは思い出してもチクチクします。
セリフにはないけど、表情や人物の持つ空気感からキヨ子の思いに触れた感覚があり、受け取るものが本当に多かった。私は、かおりさんの表現する「女」が本当に大好きです。
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田島亮さん演じる保(犯人)。
飄々のらりくらりと生き、何かあれば都合の良いことを言い、甘える姿を見てると、憎いけど憎めないヤツとは、このことだな、と。
保演じる田島亮さんの柔らかな雰囲気もあって、これは女性は特に好きなやつ…と思いました。(私は大好き…!)
「犯人」から連想するものとかけ離れているし、実の兄弟に責め立てられても罪を認めず、重ね続ける嘘がどうやって明るみになるのかハラハラ。逮捕シーンでは、家族の前では飄々としていた保とは一転して、焦りや不安のようなものを感じた。
逮捕までを追う中で、保の思いを想像することで情が湧いていたこともあり、ラストが本当に、。
保は、幼少期に患った病で、足が不自由に。身体の不自由さや、家族に甘やかされて生きてきたこと、様々な要因が犯罪に繋がったのかな。
正直、保が犯行に至る理由が私の中でハッキリしないのだけど、これは誰もが犯罪者になりうる可能性があるということでもあるな、と。
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五男の満がなぜあそこまで兄が犯人だと疑い続けるのかわからなかった、、。
証拠甘くない?あれだけで兄を犯人だと固執する満の精神の方が心配。
劇中、「満は、保が好きなんだな」ってセリフがあるけど、全くわからない。好きってどういう意味なんだろう?執着すること?好意的な「好き」ではないよなぁ。
皆に甘やかされてだらしない兄を軽蔑し、恨みまで持っているように見えたけど、、。
もっと満の保に対する思い、二人の関係性がわかれば満の思いにも近づけたのかな、と思いました。
けど、こうして「わからない」ことを考えるのも作り手の術中にはまってます…?
また、逮捕された時、両親が地面に額をつけて、とあったけど、親は子の人生を自分の責任とも思ってるんだろうな。
甘やかしていたのも、身体を不自由にしたのは自分たち親のせいだと感じていたんだろうと思う。
兄弟たちを見ていると肉親だからこそ生まれる憎しみもあると感じる。「身内だから、」と思っていても、自分、家族、生活、と守りたいものがある。
どうか保が犯人ではないことを願うが、それは保身的な気持ちからと思うと複雑で切なかった。
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観劇から数日経った今も余韻として想像が続く。
「楽しい」とは似つかない題材だけど、私の観劇経験の中で今までにないようなアプローチで、演劇って面白いな、楽しいなと思います。
また観たいし、今回の出演者の方の別作品も観てみたい。これからの演劇にもワクワクするような観劇となりました。
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カーテンコール撮影可とのことで。
劇中とは変わり、ほんわか癒されました𓂃
カテコ中も田島さんは、右足を上げていました…!(保は、足が不自由なのです)
田島さん
「X(Twitter)の…あれ?ハート…?」
「ハート♡」←かおりさんとハート作ってて可愛い🫶
「…そうだね?」
「いいね!」
「あ、いいね!💦(笑)」
って、いいね!が出てこなくて頭に❓浮かべてる田島さん可愛いすぎて変な声出ました。
↓そしてこの空気。(愛)
かおりさんの手を引いておふたりで捌けるのもにこにこしちゃった!素敵!
劇中、キヨ子とのシーンもほんわか癒されました。おでこコツンってするのは、おふたりの案でしょうか。可愛い、きゅん(ハート)
20231112観劇。
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