【短編小説】 anemone
深夜を回ってすぐ、インターホンが鳴った。
この時間の来訪者なんて思いつくのは一人しかいない。
「寝た振りでもして出るのやめようか」とか、「でも電気ついてるのバレてるし出るしかないか」とかそんなことを3秒くらい考えた後、ものすごく重い腰を上げてため息混じりに玄関に向かった。
がちゃり。と鍵を開ければやっぱりそこにいたのは想像通りの人物で。
「いやあ、ごめんごめん。先に連絡しようとは思ってたんだよ、本当に。」
「まだ何も言ってないですけど。」
「だってそういう顔してるじゃん」