ディマシュ・奇跡のボーカリスト
規格外のボーカリスト
音楽通の間では数年前から有名だったらしいけれど、私は2021年8月の『マツコの知らない世界』で知った新参者なので、一度noteにまとめておきたい、と思いながらもかなり時間がたってしまった。
すでに母国カザフスタンでは、国を代表する歌手になっている。フィギュアスケートでも何度か使われていたので、聴いたことがある方も多いかも。
初めて歌声を聴いた時、ひとつの声帯でなぜここまでいろんな声が出せるのか信じられなくて、もう、開いた口がふさがらない…!という感じだった。
どんなに高い音も低い音も、無理して出している感じはゼロ。
どこまでも余裕・・という感じで、今までのボーカリストの概念を壊していく。
こんなボーカリストは、これからも出てこないかもしれない。
それでも5年前の動画を見てみると、今ほど楽々と声を出せている感じが、まだないように感じる。
数年の間に凡人ではできないほどの努力もして、楽器としての体を作ってきたのかもしれない。
6.5オクターブって?
ピアノで確かめてみると、ほぼ鍵盤左端の低音をいくつか残すのみ。(そこは人の声では出せる音ではなさそう。)
音域についてはご本人は公言していないらしく、動画を見ると超音波のような高音も出しているので、もしかしたらピアノよりも高い音を出せているのかも。
声帯をたくみに操りながら、すべてをコントロールしながら歌っている感じがする。
難しい音をいつも完璧に出し、その安定感は、声の調子が悪い時はないんだろうか…?と、人を超越したものを感じさせる。
ディマシュはただ音域が広いだけではなく、いろんな声を出している。オペラ歌手(バス・テノール・アルト・ソプラノ)4パートと、カザフ民族歌手・ポップスターの声・・、一体何種類の声が出せるのだろう。
一般的に『七色の声』という表現はよく使われているけれど、ディマシュの歌声のためにあるのではと思えてくる。
そのことがよくわかる『ストレンジャー』。
ご両親も国民的歌手で、クラシックの音楽学校にも通い、幼少期から恵まれた環境だったかもしれないけれど、どんな音楽教育をしたらこんな声を出せるようになるのか・・。
恐るべしカザフスタン!!
ディマシュを知るまで全く知らなかった、カザフスタンってどこ?
今回の戦争は、カザフスタンにとっても他人ごとではないのではと想像してしまう。
カザフ人は元遊牧民で日本人と同じモンゴロイド。
1936年~91年までソビエト連邦の一部だったため、今は他民族国家となった複雑さを持っている。
中国やロシアでの活動が多かったようだけれど、この数年はアメリカやドイツなど精力的に活動の場を広げている。
本来ならば、とっくに日本でもライブをしていたかもしれない。
来日すれば、ディマシュ旋風が巻き起こるに違いない。
どうかこの声を大切に、周囲からも才能を守られ、自由に歌い続けられることを願わずにはいられない。
《追記》
2022年9月にカザフスタンで開催された"STRANGER ツアー"(合計3時間半)の様子が3本公開されているので、もっと長時間ディマシュワールドに浸りたい方におすすめ。
1年ほどで低音声がさらに深く、豊かに進化していることに驚かされた。
戦争が始まり、カザフスタンにとって切実な平和への祈りを感じるライブ。
おススメはPart3、特に25:10すぎからの『The Story of One Sky』からは圧巻!(日本語字幕をありがとうございます!)
Part1では、さらに進化した『OLYMPICO』が聴ける。
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